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2025.02.11 日々
週末に来襲した強風を伴う寒波は一段落しましたが、冷気は残る晴れた朝。唯はやって来きます。リビングのドアを開けて、非バリアフリーな敷居をジャンプ。手にはお気に入りのドキンちゃんとくまのプーさんのぬいぐるみ。まずは彼らを炬燵に座っている爺に渡します。日々はここから始まります。
唯は、もうすぐ二歳と五ヶ月になる女の子。両親は近くに住んでいて、もちろん今日もカカ(唯の母)と来ました。早速、リビングと繋がっている唯の遊び部屋にジャンプ、ジャンプと蛙さんになって移動し、粘土やクレヨンや色鉛筆を物色します。
爺は徐ろに炬燵から立ち上がりキッチンへ。小さめの王林と包丁と今朝の折込チラシを一枚持って炬燵に戻ります。王林の皮を剥き、四等分にしてから芯を取り、更にそれを半分にする。甘い香りが立つ。もちろん唯はそれを横目で見ています。林檎は彼女の好物だから。
今日は、建国記念の日。切った林檎は、勤めが休みの婆にまずどうぞ。次いでカカにもどうぞ。唯はそれを微妙な顔をして見ています。こちらには寄って来ません。彼女は一人っ子。トト(唯の父)もカカも彼女を大事にしています。だからこそ、爺は真っ先には、林檎を唯には与えないのです。
唯は感受性の豊かな子で、もっと小さな頃から自我の目覚めを見せていました。例えば、一歳半、まだ言葉は出てこない頃、己が笑われている(もちろん、可愛さ故なのだが)と感じると、まるでドラマの大根役者のようにヨロヨロと床に倒れ、泣き始める。これを私達は「絶望」と呼んでいました。
一年経つと「絶望」はしなくなりましたが、理不尽さは感じている様子です。世の中には自分の思い通りにいかないことがある。それに気づき始めているのです。
世の中は理不尽なことだらけです。唯にはその理不尽さを受け流し、自分らしく、したたかに生きていってほしいと願う爺の2025.02.11の日々です。
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