「心の穴」
10年程前、私は底知れない虚無感に襲われた。心にポカリと穴が空いたようだ。その物足りなさ埋めようと、映画を片っ端から観たり、売れ筋の本を読んだり、お笑いを見たり、酒を飲んだり、その他、今までに快いと感じたあらゆることをやってみた。でも、砂を流し込むようにサラサラと穴に吸い込まれ、虚しいだけだ。
ある人は、この穴を忙しさで埋めようとするかもしれない。ある人は、異性で、家族で、専門家と呼ばれる人で、あるいは、酒で、薬で。必要以上の金かもしれないし、その金で得た物かもしれない。いずれにしても外からの何かでは埋まらない質のものだ。
今考えると、私が突然感じたその心の穴は、若い頃からずっとそばで口を開けていたののかもしれない。それに気づかないほど鈍感だったか、薄々は気づいていながら目を背けてきたのだろうと思う。
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![奥村一郎(メンタルパートナー、活動家、主夫)](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141991994/profile_4bf5c5cedaa00a00ab849b6876719109.jpg?width=600&crop=1:1,smart)