【自動車工学】トルクカーブの見方
ネットでポルシェの全負荷トルクカーブを見つけました。
こういうのを見ると、ターボ(718と718S)の低速トルクすごいですね! と普通の人は思ってしまいます。しかし38年間もいすゞ自動車でディーゼルエンジンを設計・研究・開発していると見方が違います。プロですから。
ターボチャージャーにはターボラグという応答遅れがあります。タービンとコンプレッサのイナーシャ(慣性モーメント)が主因です。ですからアイドル状態でアクセルをベタ踏みしても、その瞬間のトルクは無過給状態の全負荷トルクです。つまり同じ排気量のNAエンジンです。そして1秒ほどして、ようやく定常状態の全負荷トルクの80%程度となります。
そこで定常状態、1秒後、0秒後(アクセルを踏んだ直後)の全負荷トルクカーブを下図に示します。
ですからアイドル状態から、アクセルベタ踏みで0~100km加速(718Sで5秒程度)を行った場合のトルクは、下図の赤丸・赤線になります。ただしエンジン回転速度はこんなもんだろうという値です。これを見ると、低速トルクすごいですね! とはならないですね。
同じトルクのNAエンジン(981SPYDER)と比べると下図となります。3000rpmまではNAの勝ち、3000rpm以上はターボの勝ちです。ミッションとファイナルのギヤ比、エンジン制御プログラムで、あまり差はないようにはなっているでしょうけどね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?