「プレッシャーの中での練習」が、緊張をコントロールする
○プレッシャーの中での練習
試合の緊張感を生み出せるよう、練習の段階からプレッシャーをかけて取り組むことで、緊張に対応できるようにすることができます。試合慣れをするために数多くの練習試合を行ったり記録会に出場したりはできますが、それでも緊張感を持った実戦が経験できる機会は限られています。そこでなるべく実戦の雰囲気を経験できるよう、練習の段階からプレッシャーを感じる空気づくりをしておくのです。
たとえば野球のノックで「全員がエラーをせず、ホームに捕りやすいボールを送球して終わり」とする練習を行っているチームがありますが、これは緊張感を取り入れた練習の具体例になります。エラーが続くといつまでも練習が終わらないので、ほどよい緊張感が得られることが主眼になっています。
「練習は試合のように、試合は練習のように」と言われるよう活動しているチームもあるかと思います。普段の練習では厳しさがあるけれど、試合ではなるべくプレッシャーを与えずのびのびと臨むスタンスです。これによって試合で受けるプレッシャーにも慣れていくでしょう。
先述した元々特性不安の性格を持っていて緊張しやすい場合や、本番でどうしても力をうまく発揮できないようなケースがあるかと思います。しかしこのように練習からプレッシャーを感じていれば、緊張を克服する訓練にもなります。練習を重ねることで、自分の能力を最大限に発揮させることができるようになっていくのです。
また、本番で受けるプレッシャーに対応する能力を磨くこともできます。
例えばサッカーで2点差をつけて試合を進めていたものの、相手に1点返されるとそこから点差を維持させたいにもかかわらず試合を優位に進めることができず、受け身に回るようなシーンを見たことがないでしょうか。ほかにもバレーボールやテニス、バドミントンと、どのような競技においてもあてはまるケースがあると思いますが、試合を優勢に進めながらも追い上げられて流れを徐々に悪くするような場面を想像してみてください。
そういった状況や判断も、プレッシャーをかけた練習により経験しておくことで試合慣れした選手へと成長していけるのです。
こういったケースでは、プレッシャーを脅威に感じるのではなく、挑戦的に行動しようと心を入れ替えれば良いとされています。経験や先入観などによって形成される思考や思い込みを〝マインドセット〟と言いますが、脅威に感じてしまうマインドセットを変化させて挑戦する状況を作っていくのです。自らプレッシャーによって悪い流れを作ってしまう状態になるのを、挑戦的な思考を保てるよう練習から訓練し、試合中に適切な状況判断ができるような選手になっていければいいでしょう。
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