意識的処理と注意散漫への対処
緊張には、意識や注意の向け方に2つの原因があってパフォーマンスが下がってしまうことを前回までに説明しました。
ひとつは、過剰に意識することで自動化された動きが崩れてしまう「意識的処理」。もうひとつは、いろいろなところに注意が向いてしまいプレーに集中できなくなる「注意散漫」です。こういった現象があるということを頭に入れて理解しておきましょう。そして「あがり」への対処法は後の記事で詳しく説明しますが、これら2つの原因が起きたときの対処をここでは簡単に触れておきます。
緊張から「意識的処理」の現象が強く出るようであれば、自分の動作以外にあるポイントを注視し、意識を他の1点に向けるといいでしょう。これを〝クアイエットアイ〟と言いますが(こちらも後の記事で詳しく説明します)、プレーの前にどこでもいいので1点に視線を向けることで、動作とは別のポイントを強く意識するのです。注視した点に意識を集中させることでプレーの自動化を保護し、自身のパフォーマンスを維持します。
緊張から「注意散漫」の現象が強く出るようであれば、失敗などの不安から来るマイナスイメージを持たないようにすることが必要です。後の記事で説明する〝リラクセーション〟を行ったり、メンタルトレーニングで説明する〝ポジティブシンキング〟によって考え方をプラスの方向に向けるなど、冷静な心理下でプレーすると好結果が得られやすくなります。
また指導者は、緊張した選手に対してこれらの現象を個々に見極め、アドバイスする必要があります。
意識的処理が出ている選手には、落ち着かせるために技術的なポイントを指示すると余計にプレーに意識を向けてしまうため、逆効果になります。そして注意散漫が出ている選手には、マイナスイメージを想起させるような言葉を使ってしまうとさらに注意が散漫になってしまうので、指示する際の言葉には気をつけなければなりません。選手の特性を掴んで、ベストなパフォーマンスへ導いてあげることを意識してください。
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