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健康経営で企業の業績アップ!?成功に欠かせない経営者の意識改革とは

従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する「健康経営」。

従業員の活力向上や生産性の向上などの効果をもたらし、業績向上や株価向上につながるものとして期待されています。

このような健康経営の考え方が広がるにつれて、経営者の意識も変化してきています。また、意識を変化させざるを得ないような状況にもなってきています。

本記事では健康経営の広がりと経営者の意識の変化について、詳しく解説していきます。

広がりつつある「健康経営」の考え方

日本での広がりが注目されてきている健康経営ですが、そもそもどのようなものなのでしょうか。

「健康経営」は、1992年にアメリカで出版された「The Healthy Company」の著者で、経営学と心理学の専門家、ロバート・H・ローゼンが提唱したとされています。

ローゼン氏は、「健康な従業員こそが生産性、収益性に優れた会社をつくる」と述べ、「従業員の健康を『経営資源(投資)』とみなす考え方」がアメリカで広がっていきました。

▶健康経営に興味を持つ法人の増加

「健康経営」の日本での広がりを証明するデータとして、健康経営に興味を持つ法人数の増加が挙げられます。

経済産業省が、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度である「健康経営優良法人認定制度」

この制度にエントリーする法人が、近年増加してきているのです。

経済産業省(2022)『健康・医療新産業協議会第5回健康投資WG』より弊社作成

健康経営優良法人認定制度は、経済産業省が推進している事業のひとつで、従業員数によって「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」に分かれています。

多くの企業が積極的に健康経営に取り組んでほしいという意図で設けられ、設定された評価項目の実施により認定されます。

「社員の健康をサポート」している企業のイメージは、ステークホルダーからは高評価の対象とされます。ブラック企業への関心が高い現代社会において、健康経営優良法人に認定されることで企業自体のブランド力やイメージをアップできると期待されています。

▶中小企業での関心も高まる

健康経営優良法人認定制度がスタートした2017年には、中小規模法人部門の認定企業は223法人でしたが、2022年には12,255法人と大幅に増加しています。(令和4年3月9日現在)

従業員の健康を経営資源(投資)とみなす「健康経営」の考え方が広がりつつある。  健康経営認定制度にエントリーする法人が8年で約500社から1.6万社に拡大(うち中小企 業が1.3万社) 中小企業経営者の3分の2が健康経営を知っており、まだ取り組んでいない企業の約6割が取り組みたいと考えているとする調査結果がある。

厚生労働省(2022)『産業保健のあり方に関する検討会における検討状況

このような調査結果もあり、健康経営への関心が今後も高まると考えられます。

健康経営に関する経営者間の温度差

このように健康経営に関心を持つ経営者が増えている一方、法令違反にならなければよいと考えている経営者も依然として存在しています。

▶労働者の健康管理をほとんど行っていない

労働安全衛生法により、産業医には次のような内容が義務化されています。

  • 健康診断の実施及びその結果に基づく措置

  • 長時間労働者に対する面接指導及びその結果に基づく措置

  • ストレスチェックの実施、高ストレス者に対する 面接指導及びその結果に基づく措置

  • 作業環境の維持管理

  • 作業の管理

  • 健康教育、健康相談その他の健康保持増進措置

  • 衛生教育

  • 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止措置

  • 月1回以上の職場巡視

  • 月1回以上の衛生委員会への出席

法令に規定されている産業医や衛生管理者の職務が多様化する課題に即しておらず、産業医や衛生管理者の資質、実際の活動内容とも乖離が生じている。
1000人未満の事業場では、産業医の活動時間が少なく、職場巡視や衛生委員会への 出席が中心で、必要な健康管理活動が行えていない事業場が多い実態。50人未満の事業場では、産業保健活動がほとんど行われていない事業場も多い実態。

厚生労働省(2022)『産業保健のあり方に関する検討会における検討状況

費用や手間を抑えるために、義務化されている内容だけの実施を産業医に依頼している事業場もあります。

中央労働災害防止協会(2010)『産業保健活動に関する実態調査結果』より弊社作成

すると、健康相談や高ストレス者への面接指導といった、健康経営につながる取組を行えないことになるのです。

▶経営者の認識不足も

労働者の健康管理への取組は、メリットがたくさんあります。

  • 保険料や医療費負担を抑えられる

  • 離職率を下げられる

  • 労災防止になる

さらに、生産性の向上やプレゼンティーズムの防止にもつながります。

労働者の健康管理への取組は結果として経営にプラスになるのですが、その理解を十分に得ていない経営者の方も多く存在しています。

岸田内閣総理大臣も、参議院予算委員会において健康経営に係る答弁をしています。

「健康経営」に取り組むことは、企業自身の生産性向上に加えて、情報開示を進めることで金融市場や労働市場などでの評価を得やすくし、さらには取引相手先から選定されやすくなるなど、様々な波及効果があると考えています。

第208回通常国会 参議院予算委員会(令和4年3月2日)

健康管理の支援はIT技術で

IT技術の進歩により、健康に関する多くの情報が得られるようになりました。さらに、近年ではIT技術によって健康管理をサポートするという動きも拡大してきています。

▶より身近になったウェアラブル端末

流行のスマートウォッチを始め、最近では健康管理に活用可能な技術開発が進んでいます。クラウドとの連携が可能となり、小型・軽量・省電力のさまざまな用途に合わせたデバイスが次々に登場しました。

ここ数年で低価格化が急速に進み、1万円以下で手に入れられる製品も増えてきています。

▶進む健康管理への活用

多くのウェアラブル端末には、「心拍数」や「歩数」を計測する機能が付いています。

さらに、体温、血圧、心電図、睡眠状況、血中酸素濃度などを常時把握可能なウェアラブル端末も開発され、健康管理への活用がより一層進んでいます。

企業の発展のためには健康経営が有効

健康経営の広がりと経営者の意識の変化について、お分かりいただけましたでしょうか?

とくに若い世代を中心に、健康意識への高まりが強まってきています。優秀な人材を確保するためにも、健康経営への取組は有効となります。

従業員に心身ともに健康で働いてもらうことは、企業の成長へと直結します。ぜひ、健康経営の考え方を、事業に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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