プレゼンティーズムー企業が抱える健康関連コストの多くを占める!ー
近年、「プレゼンティーズム」や「アブセンティーズム」という言葉を耳にすることが増えてきました。
意味は大まかには理解していたとしても、正しく理解できているか不安な方は多いのではないでしょうか。
「プレゼンティーズム」「アブセンティーズム」という2つの言葉は、どちらも労働生産性や企業に影響を及ぼすもので、この状態にある従業員がいることで企業としては大きな経済的損失につながる可能性があります。
今記事では、「プレゼンティーズム」に絞って解説していき、言葉の意味や企業に与える経済的損失などをご紹介します。
プレゼンティーズムとは
プレゼンティーズムとは、「presenteeism(疾病出勤)」が言葉の由来で、心身や体調の調子が悪いにもかかわらず会社に出勤することを指します。
この状態で出勤すると、本来のパフォーマンスを発揮することができず、業務遂行能力も著しく低下してしまいます。体調が悪いことで集中ができない状態に陥るのは誰でも経験があることでしょう。
しかし、この状態は本人であれば不調を感じていたとしても、企業としては把握しにくい状態でもあります。企業が把握していない状態で生産性は低下し、経済的損失を発生させてしまうのです。
経済産業省の2015年「健康経営オフィスレポート」にプレゼンティーズム・アブセンティーズムの意味がこのように書かれています。
アブセンティーズムとの違い
アブセンティーズムは、プレゼンティーズムと同様に心身や体調の不良により業務に支障をきたしてしまう状態を指す言葉です。
アブセンティーズムの言葉の由来は「absenteeism(欠勤)」を意味しており、会社に出勤しても早退してしまったり、そもそも出勤できなくなる状態を意味します。
こうなると1人分の労働力が足りなくなり、その分の業務を他の従業員が負担しなくてはなりません。
プレゼンティーズムは出勤はするものの体調が万全ではなく生産性が低く、会社に経済的損失を与えてしまう可能性があり、アブセンティーズムは心身や体調の調子が悪く、出社できず(もしくは早退)労働力として活動することができない状態を意味します。
プレゼンティーズムによる労働生産性の低下について
一時的な睡眠不足や風邪などの体調不良であれば、過度に問題視する必要はありません。
しかし、軽度な体調不良の状態から休養を取ることもままならない状態で業務に就き続けると、体調不良が悪化したり、新たな疾患を発症する可能性があります。
このような悪循環から結果として、プレゼンティーズムを長引かせてしまう原因にもなります。
プレゼンティーズムの状態で長期的にあるということは、業務に集中できない時間が長期間続くということです。
ジョンズ・ホプキンズ・ブルームバーグ公衆衛生大学院の教授らによって、労働生産性の損失における症状の割合について以下の調査結果を発表しています。
プレゼンティーズムは、誰でも感じたことのある症状だったり身体的不調も該当します。上記のように片頭痛や肩凝り、眼精疲労などの一般的な身体の疲れなども該当するのです。
プレゼンティーズムが企業に与える経済的損失について
実際に企業がどの程度プレゼンティーズムによって企業に影響を与えてしまっているのか、以下の図表をご覧ください。
この表をみると、企業が従業員にかかる健康関連コストのうち、74.7%もの割合がプレゼンティーズムによるコストだと分かります。
表を見ず、意味合いだけ知っている状態だとアブセンティーズムによる損失のほうが多いように感じてしまいがちですが、実態としてプレゼンティーズムは医療費よりも圧倒的に大きな割合を占めており、現代社会において早急に取り組むべき課題であるとも言えるでしょう。
企業みずから働く従業員の健康管理を
プレゼンティーズムは、企業が抱える健康関連コストとして多くの割合を占めるものです。
企業として従業員の健康状態を正しく理解し、対策をとっていくことが労働生産性の向上につながります。
また、従業員の体調不良は企業にとっての損失であることを正しく理解し、従業員だけに任せるのではなく組織全体が課題解決をしていくべきなのです。
いきなりプレゼンティーズムの状態を減らそうと施策をおこなっても効果的ではないかもしれません。まずは自社で働く従業員の現状を把握することから始めてみましょう。