『昼は散歩、夜は読書。』 三浦展 (而立書房)
特に何か探しているわけでもなく、本屋さんの棚を見ていたら、こんな素敵なタイトルの本が。本棚の表紙も素敵。
三浦展さんは有名な方だなとは思ったけれど、それより社会、都市、個人史も網羅されているという雑多な感じが気になって手に取った本です。
まえがきを読んで、クリエイティブに自由に発想して文章書けて、「昼は散歩、夜は読書」して暮らすことができる方ってどうやったらなれるんだろうと思い、ページをすっ飛ばして後半の個人史から読みました。
著者は学生の時からこういうのが好き、これは好きじゃない、したくない、というのが自分でよく分かっていて、その方向性を現実的に見極めれているのがすごい。
その分、すごく行動(読書も含む)もされている印象で、「現実に何ができて何ができないか、何がしたくて何がしたくないか」かなり考え抜かれたようです。
私自身学生時代には、随分悩んだ思い出があり最近も友人とその話になったのですが、当時したいと言っていたことが、今考えるとなんで?みたいなことも多くあるので、したくないことをもうちょっと自分で理解しておけば楽だったのかもしれない、と思ったり。(遠回りしました)
と昔に思いを馳せながら読み進めると、著者はパルコ「アクロス」編集部での環境に「ハマり」、自分が本当に腹落ちするまで考え抜くことを徹底的に鍛えられたそうです。
「自分で自分自身を精神分析をするようなことが求められているのです。医者兼患者なのです。自分の内面を掘り起こすのです。出ないと面白い記事になりません。」
著者は消費者心理の分析と将来の予測についてこのことを述べていますが、何かを創り出すって、こういうことなのかな。
アート作品も感動するのはそういう作品なのかもしれない。
自分自身の仕事もちゃんと重要なところで掘って掘って掘り起こせているか、その時間が取れているか、反省のきっかけをもらえました。
あとは文章のプロとしての助言、言文一致体(「ナレーションを書くつもりで原稿をかく」)だったり、「ですます調」と「である調」を統一しないことなども参考になりました。
「逆に、話すときにそのまま文章になるように話す」というのも、普段話すと支離滅裂になりがちなので是非心がけたい点です・・。
個人史をガーッと読んで、コラムや本の紹介のある前半をパラパラと読んだ感じです。
前半はマーケティングに興味があったり、社会や都市について深く考察したい人向けかな。
キャリアってこうやって出来上がっていくんだ、と新たな視点をもたらしてくれた本でした。