失語症の方とのお話の工夫、その前に③
失語症の方の家族や周囲の方への「失語症の方との接し方の工夫」として、
よく挙げられているのは、次の4項目です。
1.ゆっくり落ち着いて話す
2.短くわかりやすく
3.絵や漢字が伝わりやすいことがある
4.失語症の方の注意を向けて
いざ、やってみるとどうでしょうか をテーマにして、
今回が3回目、「3.絵や漢字が伝わりやすいことがある」です。
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前回は、主治医の診察を待っている失語症の方に「あと5分」とごく短く、それでいて最も伝えたいポイントだけ絞りました。
今回は、時間を少し戻して、この失語症の方が何か困っている様子で、それを確認するところです。
「絵や漢字が伝わりやすい」と言い切ってますが、実際は患者さんによって個人差があります。例えば、絵や時の理解が得られるかもしれないけれど視力障害により、描いた(書いた)絵や文字を見ることができない方もいます。
上手な絵よりも、伝わる絵。
と言うのは簡単ですが、
描くとなると、大抵の方が躊躇されるのを見てきました。
もしかして、小中学校で「きれいな絵を描かないといけない」と教え込まれてきてしまったでしょうか。
絵は優劣を評価する対象となっていて、描いて人に見せることへの抵抗感を身に着けてしまったでしょうか。
あるいは幼少期、大人に「自由に描いていい」と言われて、ほんとに自由に描いたら「何なのこの絵は?」呆れられたり、「きちんと描きなさい」と説教されたり。
個人の体験が、失語症の方とお話するときに影響するということになるでしょうか。
ゆっくり話すと、周りから急かされたり、
ことばを選んで短く話すと、もっとたくさん話すように促されたり、
絵を描いたら、上手に描いてと言われたり
個人が自分の話し方・聴き方を把握できているか。
わからないまま、無理に身に着けようと、あるいは身に付けさせようとしていないか。
失語症の方とのお話をしようとすることは、
その人が自分の話し方・聴き方を見直すきっかけになるのではないかと思います。
「急ぐ癖があるかも」、
「長々と話過ぎてるかも」。
「絵」についてはどうでしょうか。
自分はあまりに下手な絵を描いて、患者さんに笑われることもあります。
笑ってもらえたら、それはそれでいいのかな、と思います。
失語症の方に「下手でごめんなさい」と言ったら、「いいえ、大丈夫ですよ」と励ましてもらったこともあります。
絵が下手でありながらも交流できた、むしろ、下手だから交流に進むことができたのではないかと、ポジティブに深読みしています。
こう思うのは、自分が「弱いロボット」に書かれていたことの影響を受けているからかもしれません。
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「失語症の方との接し方の工夫」を自分はどのようにしているのか、家族や周囲の方が実践するときのヒントとなることを考えていきたいと思いました。
今回は「3.絵や漢字が伝わりやすいことがある」で、
「上手下手ではなくて、交流につながる絵」を挙げました。
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