ハラスメントストッパー <看護大学での講師のバイト> 連載4回目
4.紫陽花が咲いて ①
関わるスタッフ同士が 張り合うのではなく、
患者さんへの「より良い」を追求して、行動すること、
それを誰かに押し付けて見て見ぬふりをしないこと
普通のことでありながら、難しい自分が勤める現場。
このことが 患者さんへのケアを妨げる要因の1つではないでしょうか。
ぼんやりと感じ取っていたことが、明かになってきたのは、
通勤路が紫陽花に彩られる時期でした。
リハビリ科の長に
トラちゃんへのハラスメントを見過ごすことができないことを伝えたとき、
「俺だって大変な思いをしてきたんだよ」と言って、取り合うことはありませんでした。
ある日、仲の良い同僚からこんな話がありました。
「カチョーが、俺はいろいろ耐えてきたのにめのす丸さんはトラちゃんを
庇ってばかりと言ってたよ」
過去、人間関係に自分が耐えたのだから、後輩が同じ目に遭うのは当たり前と言えるのでしょうか。
「それでは、何のために勉強してきたのか、わからない…」
思わず声に出ました。
「リハビリ職」という領域に身を置きながら、何を積み重ねてきたのでしょうか。
その優しい同僚は、自分が言ったことを聴いてくれましたが、
ほんとはリハビリ科の長に言わなければならないことでした。
リハビリのことを勉強してきているはずなのに、
他者の痛みになんと疎いことでしょうか。
「人は人として優しくされるべきなのに」
ケアが患者さんに向かわずに別方向に進むことも、
職場のハラスメントも、
繋がっているのではないかと直感しました。
しかし、相手にわかるように説明するとなると難しい。
学生さんに説明できるようになるのか、
果たして講義に間に合うでしょうか。
講義に向けて、別の課題もありました。
おまけ:
上に書いた「人は人として大事にされるべき」は、
去年の「文学フリマ福岡」でのちらしにも使いました。
地図の絵の左上、「目的地」に「人として大事にされるべき」と書き入れてました。
(続く)