亡き母の記録②〜担当医からの告知

程なくして、担当医がパソコンを持って現れた。
挨拶をした後、パソコンの画面にCTの画像を開いて、担当医は母の腹部の状態を説明した。
「お母様のお腹に溜まった腹水の検査とこの画像の結果から、お母様のご病気は『肝内胆管がん』だと思われます。持って2、3ヶ月だと…」
ドラマとかでよく言うステージいくつとか、手術のこととかは言われなかった。

母は聞こえていなかったのか、担当医に聞き返していた。
「『肝内胆管がん』と言って、肝臓内外に巡っている胆管のうち、内側の胆管にがんができているんです」
ゆっくりと少し大きめの声で母に向かって説明した後、担当医は私の方に向き直り続けた。
「これからのことについてはソーシャルワーカーから説明がありますので、娘さんは談話室の方へ」

談話室ではテレビが流れていた。何をやっていたかは覚えていない。流れる音声を聞きながら、スマホで肝内胆管がんを調べていた。調べながら、先生の言い方を考えるともう治療をできる段階ではないことを感じていた。

ソーシャルワーカーさんは資料を持ってすぐにやってきた。
「…お待たせしました」

今入院しているK総合病院は急性期病院で、手術や化学療法を行えない母の場合は療養型の緩和ケア病棟施設に転院しなければならないことと、どんな病院があるのかを説明された。東京の地理や病院のことについてはほとんど何も知らないので、ソーシャルワーカーさんに勧められた施設のうち、RK病院に決めた。

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めのぷ
つれづれに書き連ねていきます。よろしくお願いします。