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上顎の骨が溶けていた( ˙꒳˙ )マヂカヨ

前回の続き。前編はこちら。歯医者トラウマが歯医者を選ぶお話。

15年ぶりに歯医者の診察台に乗る。
”とうとうここまで来てしまった…。もう引き返せないんだ( ノД`)”
不安に押しつぶされそうな私に、キレイな歯科衛生士さんは言う。
「ちょっと見せてねぇ、どれどれ」
と言いながら、私の口の中を観察する。


冷たい金属の感触が歯茎に当たった。
「左上のここが痛いの?」

「そう、そこに白いものがあるあたり。これって、何?」

「ああ、これね。これはねぇ、歯石よ。シ セ キ。」

ゲッ!親知らずじゃないのか!あほみたいに親知らずかもぉなんて言わなくて良かった。
でも、歯石ってあれだろ?食べかすの慣れの果て?え?歯は磨いてたのに、あんなにでっかい歯みたいなのに成長するわけ?ええ???ええええええ?どうして?超恥ずかしい。うわーーーーーん、帰りたい。

「えー!歯石なんですか?怖い。」マジであんなでかい歯石が口にあるなんてホラー。

「でしょー、怖いよねぇ(笑)これ、取っていくからね。ふふふふ、歯石取るのちょっと痛いかもよ、どうする?麻酔したい?」

「うえええええ、お、お願いします。麻酔の前の麻酔もお願いします。痛いの怖くて。」

美人歯科衛生士さんは笑いながら、
「あはは、麻酔の前の麻酔ね(笑)、脱脂綿につけたやつね(笑)OKOK。」
と、手早く麻酔をし、歯石を取ってくれた。


なんだろう、ここの人たち、ノリがよいというか、明るい。
私の口腔内を見ても、今までの先生たちのように、
”ああ、これは…(やばくて口に出せないのか?)”とか
”ひどいねぇ…。(よくここまで放置したねと言いたげ)”と不安を煽るような表現はしない。
実際は私の口の中の状態はひどいだろうに。

「痛かったよねぇ、よく我慢した。でも治るからね。一緒にがんばりましょう。」
”や、や、優しい。なんて優しいの。”
この一言で、美人歯科衛生士さんが神に見えた。
歯医者に虐げられた過去から、この一言でイチコロになる私。(ちょろい)

この歯医者なら通える!

そう確信した瞬間だった。


レントゲンを撮り終え、しばらく待っていると
「はじめまして~よろしく~ぅ」(うぇ~い)
と、これまた軽いノリの先生登場。
看護師さんや歯科衛生士さんは美人ぞろいなのだが、先生たちは大学生みたいだ。(いや、若いという意味ではなく、ノリが大学生みたいなのね)
ヒカキンにしか見えないのだ、これでも院長らしい(笑)
先生、年は私ぐらいと見た。(50歳)

治療後、いろいろな話も交えつつ説明をされる。
「一応今日できる処置はしたからね。今ある歯はできることなら抜きたくないから、明日まで様子見て。」

ほお、抜かないでも治療ができるんだ、最近って、医療の進歩だな、と感心していたが、翌日になっても痛みはさほど変わらなかった。

「先生!やっぱり痛い、歯を抜いてほしい。歯無くなっても痛くないほうがいいです…。寝られへんし。」
と翌日泣きついた。歯医者へ行っては歯を抜かれ続けた人生だ、今更、歯を残せなんて言わないわ。歯の一本や二本、惜しくはないというところまで私は抜き続けてきているので、吹っ切れが早い。それより、こんな私の歯を一本でも残そうと考えてくれた先生ありがとうだよw。


「では、抜きます~。いくで~。」




で、歯を抜いた後、先生はまだ何かを処置していて
「おおおおおお!すごい。」
と思わず口に出した。

「きんにくちゃんさん、見て!ほら!」
と先生は嬉しそうにピンセットに挟んだレバーみたいな赤い塊を見せてくる。(子供か!)

「大きなやつ取れたなぁ」
と満足そうだ。

「ん、それ何?」キモいわぁ。

「これはな、歯根嚢胞言うて、膿や。これが悪さしてたんやな。あははは。」

笑ってるけど、笑うことなのかわからない。
でも、先生が笑うし、私もひぇぇぇと言いながらも笑えてくる。

なんだ、この歯医者は。いい意味でおかしい。
口コミが賛否両論なのはこのせいだろう、でも私は好きだこのノリ。





その夜は二日ぶりに熟睡ができた。


しかし、この日から長い長い歯の治療が始まったのだ。
歯根嚢胞で上あごの骨が溶けているし、歯周病だし、下の奥歯のブリッジも無くしてしまっているし、上あごの歯も抜いちゃったし、すべてまるっとインプラントすることにしたし、前歯も古くなってるし…




私が小さな頃、今のような歯科技術ならば、私の口の中はこんなになっていなかったかもしれない。虫歯菌と歯周病に乗っ取られることなかったかもしれないな…。
そう思いながら、2,3週間に1度は先生と美人歯科衛生士に会いに行くのだった。意外と楽しみにしている自分がいる。