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まいにちオノマトペ#1 11月7日「がたぶるピピぴっ」

「まいにちオノマトペ」は、まいにちの暮らしに潜んでいるオノマトペを見つけ、オノマトペにまつわるエピソードを綴るエッセイ。
オノマトペとは、擬音語・擬態語。複数の感覚を写し取る言葉。
暮らしに潜むオノマトペを見つけてみませんか?

がたぶるピピピッ

寒い。寒すぎる。
今日は立冬だという。ならば寒くても仕方がないだろうと納得できるわたしではない。朝から湯たんぽを2度も変えるはめになったし、ズボンのすそをレッグウォーマーで押さえた、おしゃれ度外視な格好でうっかり外へ出てしまった。

身体ががたがた震え、ぶるりと肩が揺れる。
代謝が悪いのか、いっこうに体温が上がらない。困った。

寒さとにらめっこし続けても仕方がないので、なんとか自分を焚きつけて仕事へ誘う。手を動かしてしばらく、カチリという音が体の中から聞こえるような気がして、体と心の調子が崩れる気配がする。

これはいわばセンサーだ。本格的に倒れてしまう前に、心と身体が発するSOS。センサーは、耳をすまさないと聞こえないし、聞こえないふりをすることもできる。

私もときどき聞こえないふりをして、無理をしてしまうことがあるが、もっと若い頃、大学生くらいまでは、センサーの存在にすら気づかなかった。気づかないまま、心や身体の変化に鈍感なまま、崖から落ちるように突然体調を崩していた。

忙しい中のセンサー発動に嫌気が差すが、まあ仕方ないと休憩を増やし、あらゆる温かい飲み物で身体をあたためる。ふと気づく。今のわたしはセンサーを敏感に受け取れるように変わったのだと。

それは、自分を労れるようになったともいえる。
ご自愛、セルフケア、ドクター・ユアセルフ・・・。
自分で自分を労りましょうというメッセージを持った言葉はたくさんあるけれど、どう労ればいいか、入り口がよくわからなかった。

入り口はきっと「センサー」だ。センサーを聞き取り、自分の心や身体と対話することが、労りの第一歩。

あなたのセンサーはどんな音がする?

わたしの今日のセンサーは、「がたぶるピピぴっ」。

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