姉も流石に焦った話

私が中学生で姉が高校生だった頃。
家の屋根裏に毎年のようにミツバチが巣を作りひどい時には、蜜が天井から垂れてくる事もあった。
流石にそこまでになると巣を撤去していたが、よくある事というのは慣れてしまう。
巣ができていようが、室内でミツバチが散歩していようがこちらから何もしなければ害がないので放っておく事が多かった。
しかし、そのせいで私は痛い目に遭ってしまったのだ。
姉と2人、のんびりとテレビを見ていた時、少し横になろうと身体を後ろに倒した瞬間、腰の辺りに激痛が走った。
「痛いっ!!」
と大声を上げた事に姉も驚きこちらを振り向く。「どうした?」と聞かれたが私自身、何が起こったのか理解できていなかったためすぐに答える事はできず、原因を確認するため痛みを感じた辺りの床を見ると、そこには1匹のミツバチが横たわっていた。どうやら私が後ろに倒れた時に踏み潰してしまったようだ。その小さな命は、最期の抵抗で私に針を刺したのだ。
「蜂に刺された...。」
泣くのを我慢しながら姉にそう報告すると、どこがツボだったのか笑い始める。しかも爆笑だ。
それがショックだったのか、痛みを我慢する事が限界だったのか、声を上げて痛い痛いと泣き喚き散らした。
その様子に、流石の姉も非常事態だと思ったの血相を変えて部屋を出ていき、しばらくして父と一緒に戻ってきた。。どうやら助けを呼びに行ってくれていたらしい。
父は刺された場所に針が残ってるから刺された場所を見せろと言ってきた。痛みが酷く父親に尻近くの腰を晒す恥ずかしさなど無く、ココだと見せて残っていた針を抜き取ってもらった。
その後の処置も良かったのか、酷い痛みは徐々に和らぎゴルフボール程に赤く腫れはしたがそれも1日経ったら蚊に刺された程度となっていた。
ミツバチだったからこの程度で済んだのかもしれないが、父を呼んでくれた姉には感謝した。もしあのまま、姉が爆笑し続けていたらあの痛みがいつまで続いていたのか…。考えると恐怖でしかない。
後に姉は「刺されたって聞いた時は、そんな大事だと思ってなかったんだよ。でもめっちゃ泣き始めて、これマジでヤバいやつだって思ってさ。流石に慌てたよね。」と話した。
大事で無くても爆笑するのは酷いだろうと私が言うと、「ホントごめん」と結構マジに謝られたので、あの時の私は相当すごい状態だったんだろうなと思った。


この数年後、姉自身も同じ経験をするなんて微塵も考えていなかったことだろう…。

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