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連なり重なる塊

数珠つなぎ、鈴なり、芋づる式。最後のは少々不穏ですが、世の中には関係のあるもの同士が寄り集まって一つになっている、ということがあります。

そんな複数でワンセットなもの達についての雑談。

トーテムポール

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トーテムポールは動物や顔のような不思議な彫刻が、積み重なるように施された木製の柱ですが、その出自は北アメリカ大陸北西海岸の先住民族にあります。施された彫刻は一族に伝わる伝承や歴史上の出来事を表したもので、柱の一番上には一族を象徴する彫刻が為されており、それを見ることでどの一族ものなのかが分かるのだそうです。

トーテムポールにはいくつかの種類や役割があり、一般的にイメージしやすい屋外に佇んでいるものの他に、家屋の柱として機能しているものもあります。変わったところで言うと、不義理を働いた者の家の前に辱めのために立てられる "Shame Pole" というのもあるのだそうです。

見せしめにする対象をあしらった、屈辱的な巨大装飾柱。朝起きて家の前にそんなの建ってたら、メチャクチャ嫌ですね。

さて、そんな異国の文化であるトーテムポールですが、何故か日本の小学校に佇んでいる事があります。それは昭和の小学生たちが、授業でトーテムポールを学校に建てていたからなのですが、一体なぜなのでしょう。

昭和以前の日本では、町に立ち並ぶ電柱は木造が主流でした。それが耐久性の観点から昭和の初期にコンクリート製のものに取り替えられていったのだそうです。すると行く宛のない巨大な木の柱が、世の中に溢れてしまいます。そこで、それを有効活用するために、小学校でトーテムポールを作るようになったのだそうです。......有効?

内側に重なる

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トーテムポールは彫刻が積み重なるように施されていますが、こんどは内側へ内側へと重なっている物について。

内側へ内側へ......つまりは入れ子構造のことですが、入れ子構造の工芸品といえば有名なのはロシアの "マトリョーシカ人形" ですね。"マトリョーシカ" はロシアで一般的な女性の名前であるマトリョーナの愛称だそうで、特に入れ子構造であったりその仕組を指す言葉ではないそうです。

マトリョーシカが最初に作られたのは 1892 年、その後 1900 年のパリ万博で国際的に知名度が上がり、ロシアの代表的な工芸品になったのだそうで、歴史としては意外と新しいものだったのですね。しかし描かれている柄については、ロシアの伝統的な衣装であったりおとぎ話のモチーフであったりと、ロシアの歴史を感じさせるものが主流なのだそう。

ところでこのマトリョーシカ、もともとセルゲイ・マリチュンという芸術家がデザインしたものなのだそうですが、なんと日本からロシアに渡った人形から着想を得たものなのだとか。そう言われてみると何処か日本の民芸品のような、懐かしい雰囲気を感じる気がしてきます。

入れ子構造をもつ民芸品というのは世界に沢山ありますから、この構造には何処か人を惹きつける魅力があるのかもしれませんね。

ということで、次はもっと大きな規模の入れ子について、思いを馳せてみることにします。

入れ子の惑星

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大きな規模の入れ子。じつは私達の足元のこの惑星が、巨大な入れ子になっているのだという説があります。

地球空洞説と呼ばれるこの説は、ハレー彗星の名前の由来にもなった "エドモンド・ハレー" によって提唱されました。彼によると地球内部は、空気の層で区切られた入れ子構造になっているとのこと。なぜ見ることのできない地球の内側に対して、こんな仮説を立てたのでしょう。

地球上には磁気偏角という現象があり、北極点と磁北にズレが生じています。これは地理上の地球最北端とコンパスの指し示す北が異なる、ということですね。このせいでコンパスを頼りに航海に出た人々が、不幸な目に遭ってきました。

ハレーはその原因が、地球の内部に磁場を狂わせる何かがあるからだと考えたそうです。そして地球の密度は月の密度よりも小さいという話から、地球の中は空洞で、そこには地球と異なる磁極をもつ外殻が同心球状に入れ子になっており、それらが自転することで一番外側の外殻(我々から見た地上)の地場が乱されるのだ、と結論づけました。ちょうどこんな構造です。

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さらに、この内部の空間は発光性のガスによって明るく、生き物が暮らすこともできるのだそうで、なんとあのオーロラとは、この発光ガスが地下世界から漏れ出してきたものなのである!......と、だんだんファンタジーが過ぎてきましたね。

もちろん現代では、地球の内側は空洞でも入れ子でもないと、この説は否定されていますが、創作の中にも度々地下世界という表現がありますし、やっぱり "そそる" お話だなぁと思います。

おわりに

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入れ子と書いていて真っ先に連想したのが玉ねぎだったのですが、そういえば童謡に "剥いても剥いても中身がない〜" みたいなのありますよね。今だに何処まで剥けば良いのか分からなくなる時がありまして......いや、ホントどうでもいいんですけども......

おしまい!



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