神々は暇を持て余している
困ったときの神頼みなんて言いますが、現代人は神頼みしている暇もないのかもしれません。それでは神頼まれる側はいかがお過ごしでしょうか......というような雑談。
科学の及ばぬ場所で
理解の及ばないことを指して、神か悪魔の仕業だ!なんて言ったりします。それは、科学で解き明かされていない事象への諦めであったり、自分の信じる神の存在証明であったりするわけですが、そういった解明されていない科学の隙間に見出される神を "隙間の神" というのだそうです。
古くは哲学者のニーチェが "ツァラトゥストラはかく語りき" の中でそれらしいことを言及しており、その後しばらくして "隙間の神 (God of the gaps)" という言葉が使われるようになったのだとか。
遥か昔、科学はこの世界のルールとしてポピュラーなものではなかったので、古今東西形は違えど、世界は神々が起こす奇跡によって、成り立っていました。しかし、科学が世に広がるにつれ、かつて神々の奇跡であったそれらは、何かしらの学問によって説明ができるようになっていきます。
今では不思議なことが起きても、まずは "科学的に説明できるはず" という姿勢で観察することが多いですから、神々の領域はもう "隙間" と呼ぶほどの大きさしかないのでしょうね。
やがてその隙間すらなくなってしまう時が来たなら、その時代の神というものはどうなるのでしょう。奇跡は科学にすっかりお任せいただいて、初めてのバカンスを楽しんでもらいたいものですね。
ところで、神様由来のものに星座がありますが、すでに現世で暇していそうな星座がいたりします。
へびつかい座
よく占いなどで聞く、黄道十二星座というのがありますね。あなたは何座ですか?僕はてんびん座です。
さて "黄道十二星座" と言うからには、それは地球から見た太陽が通過する見かけ上の空の経路 "黄道" にあって、 "十二の星座" から構成されているわけですが、実は黄道上には星座は十三個あります。
十二星座からあぶれてしまった十三個目の星座、それが "へびつかい座" です。
そもそも十二星座というのは、遥か昔に黄道をカレンダーと同じように 12 等分し、等分された各領域に位置する星座を "黄道十二星座" とすることにしたのですが、そのとき、へびつかい座はどうも中途半端な場所にいたらしいのです。また、へびつかい座を入れてしまうと星座の数は 13 になり、それではカレンダーと数が合わなくなってしまいます。古代人は "見なかったことにしよう" と思ったのでしょうね。
ちなみに現代の地球は、黄道を十二等分した領域と十二星座の位置が、ほとんど対応しなくなっています。また、1995 年頃にはへびつかい座も含めた "黄道十三星座" と言う概念が提唱されました。しかし、へびつかい座の立ち位置は今でも特に見直されてはいませんね。へびつかい座よ、暇かろう。
"黄道十三星座" が望むところかは置いておいて、彼の立場が見直されるためには何か、人知を超えたスーパーパワーが働かないとダメそうです。
機械仕掛けの神様
人知を超えたスーパーパワー。そんなものは、もちろん人間が生み出すことはできませんが、創作の世界でなら話は別。その世界では作者が神ですから、その力を物語の中で振りかざすことは、いくらでも出来るわけです。
例えば、ポケットにビスケットを入れてみてください。そしてそれを力一杯叩く。するとあら不思議、洗濯が面倒臭くなりましたね。
ところが、有名な童謡ではポケットを叩くたびにビスケットが増えます。まさにスーパーパワー。ビスケットが増えること自体もそうですが、ビスケットが砕け散ったら楽しい童謡になりませんから、これは童謡が成り立つためのスーパーパワーとも言えます。
物語に突如現れては、神の如き力(あるは神そのものとして)で、手詰まりにみえた場面をひっくり返して、物語を成り立たせてしまう。元は舞台演劇からの言葉ですが、こういうものを "機械仕掛けの神 (deus ex machina)" というのだそうです。
漫画でいえばデスノートに "ジェバンニが一晩でやってくれました" というシーンがあります。新世界の神になろうとする者の野望を、古から続く機械仕掛けの神が打ち砕くとは。
こういうものはあまりに鼻につけば、ご都合主義だと言われてしまうわけですが、ほどよく使えばドラマチックな展開になりますよね。おそらく、機械仕掛けの神の外箱には "用法用量を守って、正しくお使いください" と書いてあることでしょう。
おわりに
ちなみにこの "おわりに" というのは僕にとっての機械仕掛けの神。これを書くことで、なんだかしっかり締まったような気になります。
え?そうでもない?いやいや、これでいいのです。
なんたってここでは、ワタシが神なのですから。
なんてね。
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