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ニコイチノヨモヤマ
ニコイチと言うと通常、同じような機器を2つ組み合わせて1つにしてしまうことを指しますが、全く違うヨモヤマ同士がくっついたなら、みたいな雑談。
言葉の圧着
水 (water)と油 (oil)はそのままでは混じり合いませんが、文字通り言葉の上ではあら不思議、2つを混ぜて wail というものが簡単に作れます。
このような複数の言葉を混ぜて作られた新しい言葉は "かばん語" と呼ばれます。鏡の国のアリスの作中で、ハンプティ・ダンプティがアリスにジャバウォックの詩の内容を説明する場面で、詩の中に登場する2つの言葉を混ぜ合わせた単語を "かばんのような言葉であり、二つの意味を一つの言葉に詰め込んである" と解説したところから、そのように呼ばれているのだそう。
遅めの朝食のことをよく "ブランチ" なんて言いますが、これもブレックファストとランチのかばん語ですね。
他に身近なところだと "インスタグラム" もかばん語を用いて付けられたものだそうです。インスタントとテレグラムのかばん語なのだとか。
最近は日本語と英語のかばん語で "Yametekudastop" (やめてください + stop) なんてのもありますね。語感がすごく好き。そういえば昔から "ゴメンナソーリー" なんてのもありました。
ちなみに冒頭 wail は、泣き叫ぶことを指す既存の単語として存在するため、これはかばん語作り失敗です。やはり水と油を混ぜるのは難しかった。
冬は虫、夏は草
虫に寄生する性質のキノコを "冬虫夏草" と呼んだりします。なんだか諺みたいな名前ですね。これはその昔、冬は虫の姿で過ごし夏になるとキノコの姿になる1つの生物だと思われていたため、そんな名前になったのだとか。
たしかに虫から植物(菌類ですが)が生えるなんて、なかなか想像ができませんが、じゃあ虫と植物のあいの子のような生き物なんだろうなぁと思うかというと......人間の想像力はおもしろいですね。
その希少性からか、はたまた不思議な様からか、古の時代から不老長寿の秘薬としてその存在が認められていたそうです。しかし、その生態は現代でもまだ謎が事が多く、一番気になる所である、"自然界で宿主にいつどうやって寄生するのか?" という点も明確な答えがわかっていないのだそうです。
そんな冬虫夏草ですが、現在は人工的に培養する事もできるようになり、漢方薬の原料や薬膳料理の材料のほか、害虫に意図的に寄生させて一種の農薬として利用されたりもするそうで、思ったより身近な存在なのかもしれません。
フィジー・マーメイド
グリフォン、ケンタウロス、セイレーンなど、神話やおとぎ話の世界では異なる生き物同士のニコイチは珍しくありません。その中には "人魚" もいますね。
ところがこの人魚、なんとミイラが存在します。
1850 年頃のアメリカでは、フィジー近郊で捕獲されたとされる人魚のミイラが、博物館の目玉展示品になっていたそうです。通称 "フィジー人魚" と呼ばれているこのミイラは、アメリカの博物館をいくつか渡り歩いた後、火災によって消失してしまいました。現実の人魚は泡ではなく、灰になって消えてしまったのです。
その姿がこちら。
思ってたのとだいぶ違う!
さて、見て分かる通りこのミイラは真っ赤な偽物。小猿のミイラと魚のミイラを繋げて作られたものだそうです。しかも我らが日本産。
江戸後期の日本では見世物や土産物として、このような作り物の人魚のミイラが一種の民芸品のようになっていたそうで、当時舶来していた諸外国の人々が面白がって自国へ持ち帰り、世界に広まったのだそう。
そう考えると "マーメイド" ではなく"アジアの怪しいお土産" としては、とてもしっくり来る見た目。
ちなみに先程の写真は本物のミイラではなく、フィジー人魚を参考に張り子で作られた作品だそうです。作り物の作り物とはややこしい。
おわりに
そういえばニコイチどころかサンコイチの話ですが、3色パンって最近見かけない気がします。あの太った三つ葉のクローバーみたいな形やつ。味はすっかり忘れてしまいましたが、なんだか急に食べたくなってきました。
とはいえ、くっついてるのはパンの部分だけで中身はそれぞれ独立しているので、想像の通りの味なんでしょうけど。
何の話だ!
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