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流れ行くものたち

川は流れてどこどこ行くの〜なんて歌がありますが、改めて調べると年代的にどこで知ったのか......という気持ちになりました。

とはいえきっと誰かのカバーだとか、その歌を使った CM なんかが、テレビやラジオで "流れて" いるのを聴いて覚えているのでしょう。

そんな、流れるものについての雑談。

彗星が連れてくるもの

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流れるもの、というと流れ星が思いつきますが、あれは流れ行こうとする姿ではなく、燃え尽きる最後の姿。どちらかといえば彗星のほうが "流れ行くもの" に適切かもしれません。

彗星は大きな楕円を描き太陽を周回しながら、たまーに地球の近くにもやってきますが、昔から彗星が近づくと世にデマが蔓延るという傾向があります。

例えば 1910 年にハレー彗星が地球に接近した時には "地球上の生き物が滅びる" という説が流れたのだそう。曰く、彗星の尾の猛毒が地球を覆い尽くすとか、磁場やら引力やらの影響で空気がなくなるのだとか。なにそれ怖い。

当時を知る方が、当時の思い出を元に "空気のなくなる日" という物語を書いています。

これによると、ハレー彗星の影響を受ける 5 分の間、どうにかして耐えれば生きのびられる、と言われていたようで、息を止める訓練や自転車のチューブに空気を詰めて備えるといったことが、大真面目に行われていたそうです。

なんだか笑ってしまうお話ですが、当時はまだそれだけ未知のものだったということなのでしょう。ちなみに前回のハレー彗星の接近は 1989 年でしたが、流石に世界を巻き込んでのデマは起きなかった様子。

進歩しているぞ人類。この先どこへ流れ着くのでしょうか。

この世ではない何処かへ

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流れる人類といえば平安時代の頃には、海の果てへと自ら望んで流れて行く人々がいました。

その航海を指して "補陀落渡海 (ふだらくとかい)" と言い、それは遥か南方、観音菩薩が住まう浄土を目指す、片道切符の航海です。

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航海にはこのような船が使われたそうです。ものものしいですが、まさに浄土を目指す捨身の業のための船、という出で立ちですね。

ところで僕は、この補陀落渡海というものを最近知りました。

"パプリカ" というアニメーション映画があり、その中で "安全保障の補陀落渡海は、カニも夢見る非線形" という台詞があるのですが、先日、何かの拍子にこの台詞を文字として見かける機会があり "なんじゃそりゃ" と思い検索してみたのです。

ずっと何言ってるかわからなかったので、スッキリしました。いや、文字で見ても何言ってるかはさっぱりなのですが。

こんな風に、何だか分からないものが、何かが切っ掛けで分かるようになる、という事がしばしばあります。次は受取手がそういう体験をすることを狙って作られたものが、今も遥か彼方を流れているというお話を。

地球人の形見

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"ゴールデンレコード" というものがあります。それは 1977 年に打ち上げられた宇宙探査機、ボイジャー1 号・2 号に搭載された金メッキの円盤のことで、地球外知的生命体に地球のことや、人類のことを伝えるためのものです。

カバーを開けると、中にはアナログレコードが入っています。そこには地球上の言葉や歌、自然の音、音声データ化された画像などが収録されており、これを異星人に聴いてもらおうというわけですね。

ところで、異星人はレコードプレーヤーを持っているのでしょうか?もし持っていなければ、どうやってこのレコードを聴いてもらいましょう?

それを解決するために、レコードのカバーが役に立ちます。表面に描かれた記号群からは、宇宙で最もありふれた "水素原子" を表す記号を手掛かりに、レコードを再生する方法が読み取れるようになっているのだそうです。夢がありますね。

ボイジャーは 2025 年頃に発電機構が寿命を迎え、宇宙空間を流れ行くだけの存在になります。予測では生物のいそうな星の近くを通るのは、早くても 4 万年後なのだそう。

その頃にはきっと、人類は今と同じようには過ごしていない事でしょう。もしかしたらゴールデンレコードを回収するのは、遥か未来の、地球人の子孫なのかもしれませんが、どちらにせよこれは、今の地球人の形見のようなものになるのかもしれませんね。

おわりに

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ボイジャーといえば昨年の 10月31日に、ボイジャー 2 号が約 8 ヶ月ぶりに地球と交信をしたそうです。地球側の設備メンテナンスのため、長らく交信ができていなかったみたいですが、久々にボイジャー 2 号に指令を送ったところ、きちんと "hello" と返事が帰ってきたそうですね。

訳すなら、 "やーっと起きたのか地球" ですかね?




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