Memu

小説やエッセイなどを書いています。

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  • エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」まとめ

    エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」のまとめのマガジンです。一気見するのにぜひご利用ください。

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短編小説「夏の海、不可解な幻想」

“いつだって不可解なことは夏にある” 誰かの声が聞こえたところで目が覚めた。  夢を見ていたのか。隣では、誰かが僕の肩にもたれかかって寝ていた。一瞬自分が何をしていて、どこにいるのか分からなかった。僕は寝ぼけながら車内を見渡す。    すぐに思いだす。隣で寝ているのは僕の彼女で、僕は海へ行こうとしてこの電車に乗った。ふと車窓を眺めると、想像以上に美しい海の景色が広がっていた。  少しボケた頭で景色をうっとりと眺めていると、急にゴーっと音を立ててトンネルに突入した。なぜか少し違

    • 短編小説「浮ついた友情、深夜2時の彼女との恋」

      「また明日、会えるの楽しみ」 「そうだね、おやすみ、また明日」 「おやすみ」 彼氏との電話を切り、眠りにつこうとすると、 1通のメッセージが届いた。親友のあまねだった。 「起きてる?」 「起きてるよ」 送った瞬間電話がかかってくる。 私たちはたわいもない話で盛り上がり、幸せなひと時を過ごした。 「明日は何するの?」 「明日は彼氏と会うよ」 そういうと彼女はあからさまに落ち込んだ様子で 「そっかー、楽しんでね」 と言った。 あまねの気持ちは分かっている。 私も同じ気持ちだか

      • エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑶~彼の長所~

        ※⑴、⑵はこちらから↑ 彼には人を惹きつける魅力がある。 彼の人相は、穏やかで明るい。 彼の人望は厚い。人気者なのである。 彼と私が出会ったバイト先にはいろんな年代の人たちがいるが、皆彼を気に入っていてその日彼が出勤すると知ると喜ぶ。 友人も多く、よくお誘いを受けて出かけている。 人類皆彼のことを好きなのでは、と錯覚する日も少なくはない。 それは、私が彼を好きすぎて色眼鏡で見ているからという人もいるだろうが、私はそうは思わない。 知り合いだけではなく、よく居酒屋で隣

        • 短編小説「失うことの感情」

          「お兄ちゃん、どうしてるかな」  私の部屋に飾ってある写真を見て姉がつぶやいた。 「実はね、この間、メッセージが来たの」 「え?」  姉の私とは似つかない大きな瞳を見開いて驚いていた。 「お兄ちゃんから?!」 「うん」 「いつ?!」 「2か月前くらい。突然連絡がきてびっくりした」  その時の私も、今の姉のようにとても驚いた。 「なんで早く私たちに言わなかったの?」 「お兄ちゃんに、家族には言わないでって言われたから、」 「だからって」 「私も言わなきゃって思ったんだけどさ、言

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        短編小説「夏の海、不可解な幻想」

        • 短編小説「浮ついた友情、深夜2時の彼女との恋」

        • エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑶~彼の長所~

        • 短編小説「失うことの感情」

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        • エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」まとめ
          3本

        記事

          エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑵~過去と比べて~

          私たちは先輩後輩から、友達を経て恋人になった。 そして、付き合った当時私が彼に抱いていた感情は、恋愛感情とは少し違うように思えていた。 ”好きだったから付き合いたかった”というよりは、 ”一緒にいてとても楽しいから付き合いたかった”と思っていたと思う。 彼の方の当時の気持ちはいまいちよく分からないが、以前聞いたときは「見た目はタイプだったけど、”年下とはもう付き合わない、私は年上が好きだ”と言っていたのを覚えていたから、まさかあなたと付き合うなんて考えもしなかった」と言

          エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑵~過去と比べて~

          エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑴~出会い~

          約1年前、私はまさにノリと勢いで恋人ができた。 かといって相手が誰でもよかったわけではない。 しかし付き合った当時、彼に特別恋心を抱いていたわけではなかった。 彼と出会ったのは付き合い始める約2年前、私が勤めていたバイト先に大学1年生の秋を迎えた彼が仲間入りした時だった。(私は専門学校2年目) 最初はお互い人見知りをしてなかなか喋らなかったが、徐々に趣味の話などで盛り上がれるようになり、いつの間にか仲良しの先輩後輩の関係になっていた。 そして彼が大学2年生の冬、私が専門

          エッセイ「恋愛の進捗はちょっとずつ」⑴~出会い~

          短編小説「恋の繰り返しが終わるとき」

          『会ってみたいな』 SNSで知り合った彼。 何となくで続いたメッセージのやり取りでついにこの展開へ。 元彼と別れてから約1年、当たり前に出会いもないし、まあ1回会ってみてもいいかと思った。 「いや、待てよ。」 やり取りの内容を思い出して、よく考えてみた。 「体目的の可能性あるよなぁ、やめとこうかな」 でも、そうじゃないかもしれないし、年下だし、雰囲気いいし、まあ、それ目的でも、いいのではないかと思った。彼氏がいるわけでもないし、ちゃんと付ければ問題はない。まあ無理やりされた

          短編小説「恋の繰り返しが終わるとき」