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【競馬ゲーム感想記事③】ダービースタリオン(Switch)



最初に

 競馬歴20年、寝ても覚めても競馬の事ばかり考えている人間による競馬ゲームの感想記事となります。
 つまり、競馬初心者やちょっと競馬見ているだけの人間がやった時に分かりにくい内容がある・・・という点については問題点としないものとして扱います。(ゲームの内容そのものが分かりにくいといった場合は問題点として扱う)
また、Ver1.1.2でのゲーム内容について感想を述べます。
(当初からの改善点については言及します)
あと、ウイポとの比較が多いがこれに関しては現代生き残ってる競馬ゲームがこの2つしかなく必然的に比較しないといけないであろうと考えているためです。ご了承ください。

ゲーム概要

ジャンル:競走馬育成趣味レーション
発売日:2020年12月3日(木)
対応機種:Nintendo Switch™

「ダービースタリオン」は、2,000万円の資金と1頭の繁殖牝馬がいるだけの小さな牧場からスタートし、生産した競走馬をレースへ送り出し、レースで獲得した賞金を使ってより強い馬を作り出していく「競走馬育成シミュレーションゲーム」です。

Nintendo 紹介記事

シリーズでおなじみの血統や配合理論の奥深さはそのままに、

レースシーンやサウンドなどのクオリティを大幅向上しました。

コントレイルなど最新のライバルたちが待つ晴れ舞台で、

愛馬の名前が実況されるのを聞きながら、

ゴールを駆け抜ける瞬間を見届けるのは、まさに馬主体験そのものです。

この冬、あたらしい競走馬育成ライフがあなたを待っています。

ダービースタリオン公式サイト

競馬ゲームといえばダービースタリオン。SFC時代はミリオン売り上げたキラータイトル。
間違いなくかつての競馬ブームを語るのに欠かせない存在となっており、競馬ファンでもない人たちがこのゲームをプレイして競馬の道に入ったという話はかなり多い。
しかしながら、そんなキラータイトルも1997年ごろから競馬そのものの売上が落ちて競馬ブームが落ち着いたり、そもそも64(2001年発売)以降のダビスタはアドバンス(2002年発売)を除き、04、PSP、オンライン、DS、GOLD(3DS)とはっきり言ってクソゲーを連発しまくった。(ソシャゲであるダビマスは強い馬がほぼ負けない大味な所こそあれどなかなかの出来ではある。)
なおかつライバルのウイニングポストが実在馬の存在を押し出しその上、番組を充実させたり過去の名馬を走らせられる等の圧倒的なデータ量を武器にゲームを押し出していった結果、ウイポシリーズに流れる人が後を絶たなかった。

そんな中、ダビスタGOLD以来6年ぶりにダビスタswitchが発表された。
これがダメならもうダビスタを買う事は二度と無いだろう。
そんな思いで本作を発売日に買ってプレイしたのであった・・・

プレイ内容について

775時間プレイ。
最強馬育成とかは特に考えていないが一応中央重賞は全制覇した。
エンディング及び海外G1勝利のみ未達。

評価点

・相変わらずしっかりとレース面での演出はしっかりしている

これは基本的にどのシリーズでも損なわれているという事もないが、今作でも健在。
出馬表を見る際には実際に流れる本馬場入場曲を、レース前のファンファーレも現実のものを使っている。レースに行こうと決定ボタンを押したら馬券の締め切りブザーが鳴るのが芸が細かい。
また、レース中のカメラもウイニングポストのようにドアップだったり引きすぎだったりで各馬がどこにいるんだかわからないと言ったようなカメラにはならない。
今作ではレース中にも競馬中継のようにタイムが表示されるようになっており、ラップタイムも表示されるため現実の競馬さながらのレースが見る事ができる。
また、今作から追加されたラジオNIKKEIの小塚アナによる音声実況は違和感なく音声を流す事に成功している。
ライバルのウイポは馬の発音を設定しようとするとアクセントが滅茶苦茶になるし、テレビ東京矢野アナの実況は盛り上がりがないわで微妙であるためこの点に関しては圧勝である。

・どんな脚質の馬でもレースに勝つチャンスが生まれた。

過去作のダビスタを糞ゲーと化していた要因が消えたのは大きい。
04なら内枠先行でないと終了。
DSなら外差し馬でないと終了。
3DSだと内差し馬出ないと終了。(外差し馬はまだ可能性あるが)
と、逃げがダメか差しがダメかの2択と化していたのが近年のダビスタだったがその点は大分解消された。
それでも内の馬は詰まると言った点はあるが、確実に詰まるというわけでもないし全然ましにはなった。

・レースごとにコメントが表示されるようになり、その内容を保存できる

今までのダビスタだと馬に対してのコメントは幼駒の際にしか表示されていなかったが今作ではそれに加えレース後の調教師コメントが追加されることになった。これによってある程度の適性が走るたびに割り出されていく事となり、馬の特性が徐々に分かっていくという仕組みになっていく。
また、幼駒コメント及びレース後コメントは過去作では保存できず各自メモしていくしかなかったが今作ではこの発言を保存することができる。
これによりゲーム外における無駄な作業を減らすことができるようになった。
ウイポだと何戦かすればほぼ全ての適性が出て来るのだが、そもそも馬の特性など数戦で分かれば現実の競馬関係者は苦労しない。
これに関してはリアル重視のダビスタの場合この仕様でいいと思う。

・ゲーム内で3代先までの仮想配合ができるようになった

これにより他のサイトでの外部ツールを使わずとも自分で配合を考えることができるようになり、自分が作りたい馬のプランがかなり立てやすくなった。

・直線までスキップができるようになった

ウイポでは2004年からできていたがついにダビスタでもできるようになった。
これによりゲームテンポがある程度改善されることとなった。
直線でのスキップができないのが惜しいが、今まで一切できなかったことを考えれば立派な進歩であるといえよう。

・ちゃんとラップタイムが意味のあるものになっている

先ほどレース中にもラップタイムが出ると言ったがこれに関してはちゃんとレースの展開に影響を及ぼしている。
ちゃんとハイペースなら前潰れの展開に、スローなら逆に前残りの展開にしっかりなっている。これにより逃げ馬が少ないなら自分から逃げて優位を獲りに行く。逆にハイペース見込みなら抑えるといった競馬の本来あるべき戦略性が生まれている。ウイポは一切ラップなど影響がないためこの点においては優れている。

・様々な要素による逆転要素

このゲームはCPU馬との能力差があろうとも、展開だったり相手がどん詰まり(これに関しては問題点でもあるのだが)したり、逆に自分の馬がするする内から抜けて最短距離で突き抜けると言った要素により逆転できる要素が十分に存在している。
これにより、多少微妙な馬を走らせることになっても期待を損なわせる事がなくなる。

・牡牝の産み分けがやりやすくなった

どうしても牝馬限定のG1を勝ちたい(このゲームは阪神JF及び桜花賞が最難関G1)といった際になるべく牝馬の駒を増やしたいといった場合に今作で追加された子宝地蔵により毎年5000万円払う事で牡牝の出る割合が大幅に変わる。5000万円最大まで払えばほぼ出てくる馬は牝となる。
この子宝地蔵は終盤にならないと解放されない(今作は馬主ランクで使える施設が決まる)が、こんな機能は終盤のG1埋めの際にしか使わないためさほど問題はない。

・競馬初心者にもわかりやすくしている

自分にはあまり関係ないが、今作は今までと違って用語集を用意したり、テレビの解説形式でダビスタのいろはを教えてくれるのでこれを一通り見れば競馬が全く分からなくてもある程度分かる・・・はず?

・ある程度G1を勝つとブックフル(種付けできない)というのがなくなる

産まれるのが遅くなり、5月に種付けしようにも馬がいない・・・という問題がある程度解消される。
勿論現実の生産者はこうはいかないだろうがノーザンはつけ放題だろうしこの形で問題ないのでと感じた。

・ブリーダーズカップ(プレイヤー対戦の復活)

まあこれはそもそもGOLDがおかしかっただけなのだが。

賛否両論点

・難易度が高い

間違いなくシリーズでは1,2を争う難易度の高さでしょう。
まず、凝った配合とか高い馬にどういう馬をつけるのがベストかというのを真剣に考えないと全G1制覇すら無理。凱旋門賞やドバイなんて夢のまた夢です。
あととにかく最近の時流で強い牝馬がゴロゴロ現れてきており、その馬たちは殆ど桜花賞及び阪神JFに出てきているため何かしらの馬がこの2つに出てくるため、異常に難易度高いです。自分は全制覇に176年かかりました。

・次走の予定を予備登録できるようになった

過去作では次走このレース出したいなと思っていてもその週にならないと登録する事ができず、うっかりAボタンを連打してしまって、そのレースが過ぎてしまう。そもそも忘れてしまう。といった事故が多発していたが、今作では先に登録を行う事ができるようになった。これは評価点である。
当週から2か月先のレースまでだが。

そう、なぜか2か月先のレースまでしか登録できないのだ。これによりG1馬を3か月後のレースのために立ち上げていこうと思っていても先に登録できないのだ。ウイポなら1年先までできるのに。

・ゲームのテンポについて

過去作よりは絶対に速い。調教に関しても即座に調教メニューを選ぶことができ、スキップも速攻でできる。画面も近年の作品同様一つの画面に全馬を詰め込んでいるためスムーズに選択することができる。
一方馬の詳細な指示(調教や出走登録)を行う際にはAボタンを押す→調教師のコメントを聞く→Yボタンを押す→メニューが出て来る。
このYボタンを押すというワンクッションがいらないのだ。
調教師コメントの後即座にAを押すとメニューが出るようにすればよかったとは思う。
だが、流石に長時間やるとその点は大して気にならなくなっていた。

・功労馬という形で2頭牧場においておくことが出来るようになった

今までは繁殖として持てるのは8頭。それ以上は放出するしかなかったが、新たに種牡馬及び繁殖牝馬で2頭だけ功労馬としておいていけるようになった。(種付けは不可能)
この点自体は評価点ではあるのだが、問題は繁殖に8頭、功労馬に2頭埋まった場合。
この際、馬の交換というのを行う事ができずに、交換したければ、結局1頭放出するしかなくなるのである。
なので実質的な持てる馬は1頭増えただけの9頭みたいなものである。

・どん詰まりについて

勿論自分の馬が詰まったらイラつくが他の馬も詰まる可能性があるのでそこは一概には悪とは言えない点がある。

問題点

・相変わらず中央の番組しかない点

ダビスタが全国版になった1992年と違って今や地方どころか海外にまで幅広いレースを出走できるようになったのだがダビスタの世界では未だに中央とドバイと凱旋門賞で止まってしまっている。
これによる最大の問題点としては様々な距離があり、G1も一通りそろっている芝馬はまだいいのだがダート馬のローテーションである。
年2回しかG1がない上にそのG1は12月、2月と集中しておりそれが終わると2月~12月までG1が存在しない。現実では地方競馬を走らせればいいのだがそれがないためダート重賞で常に59㎏を背負って戦っていかなければならないのだ。
もっと悲惨なのはダートでマイルすら走れない馬の末路だ。
フェブラリーSもチャンピオンズカップも走れない。ダート短距離重賞は数えるほどしかない。結果として1月からのローテは
根岸S→大和S→千葉SorコーラルS→栗東S→プロキオンS→NST賞→室町S→霜月SorカペラSといったローテを永遠と走らせることとなってしまう。
目標とするG1もないただただ虚しい小銭稼ぎを行う馬が爆誕してしまうのだ。
せめて、ダビマスでコラボした大井競馬場でさえ走れるようにしてくれればJBCを目標にすることである程度その問題が解消されたのだが・・・

・種牡馬が持つ大系統の種類が少なすぎる

まず大系統というのはロイヤルチャージャー系、ネイティヴダンサー系・・・といったいわゆる種牡馬の祖先はこの大種牡馬に繋がりますよといったものである。
ダビスタではこの大系統が15種類存在している。また、競走馬の4代前(母母母、母母父、母父母、母母父、父母母、父母父、父父母、父母父)の父親の大系統が8頭中7頭違う場合見事な配合となり、勝負根性アップ。

まあ他にも色々配合理論があり様々な効果があるが、ここでは置いておく。
大事なのは大系統が7種類違えばよいみたいな配合理論が結構ある点。
では、ダビスタswitchでつけられる種牡馬が持つ大系統を全部見てみよう。
ナスルーラ系、ロイヤルチャージャー系、ニアークティック系、ネイティヴダンサー系、スインフォード系、ヒムヤー系、マッチェム系
以上!

7種類必要なのに7種類ぎりぎりなのだ。(一応種牡馬が本来持っている他系列もあるため選択肢は多少増える)
しかもスインフォード系は2頭(ノヴェリスト、モンズン)、ヒムヤー系は1頭(ダノンレジェンド)、マッチェム系は1頭(カルストンライトオ)しかおらずそれ以外は4種類のどれかしかいないのである。

これに関しては、ダビスタの問題というよりは現代競馬における問題点と言えよう。今日本にいる系列は大体がサンデー系かキンカメ系かでしかない。
じゃあ欧州はというとノーザンダンサー系かダンジグ系。米国はというとミスプロ(キンカメと同じ)、ノーザンダンサー系、ナスルーラ系。
これしか事実上存在しないため、必然的に似たり寄ったりな大系統持ちばっかになるのだ。
しかも数少ない系統を持つ4頭も海外種牡馬であるモンズン以外はどいつもこいつも使いにくくなかなか初心者には扱える種牡馬ではないため結果的にそこまで爆発した種牡馬が生まれにくいという観点がある(もしかしたらガチ勢は大系統はどうでもいいというのはあるのかもしれないが)。

アプデにて改善された点

このアップデートの量を見ても分かる通り色々あるのだが、特に酷かったのを挙げていく。

・ロード長すぎ

このゲームが最初クソゲー扱いされた元凶。
何しろ、アプデ前は


このありさまである。

アプデしても遅いじゃねーかと思うかもしれないが、動画は最初のほうのアプデであり最終アプデの現在はプレイに支障をきたさないレベルにまではなっている。

アプデで改善されたからよかったものの、このまま突き進んでいたら点数が10点は間違いなく下がっていた。

・レースでのどん詰まりが酷すぎた

前述にてレースでのどん詰まりはアクセントとして必要みたいな事を自分は述べたが、アプデ前はその言い訳すら通用しないレベルで酷かった。
何しろ、内枠に入ったが最後逃げなければ即終了で今までと何も変わってないレベルであった。外枠に入ってしまえば展開次第なのだが。
この点はアプデを行い、最後の直線にて馬群がばらけるよう調整されてある程度は解消された。
その結果、福島や札幌のダートだと外ラチ沿いまで回ってしまう馬がでてしまったが、余り(ゲーム的には)コースロスを起こしてるようには見えないのでまあ良しとした。

・繁殖牝馬が死ぬと当該繁殖はセリ市や庭先に当分(確か100年ぐらい)出て来なくなる。

繰り返しのゲームであるダビスタにとって、仮にその繁殖が大物を出さなかったとしても次のチャンスがあるというのが無いのは痛かった。
流石にアプデで早い段階でその点は修正されたが。

・総評

おすすめ度 70点
一応汚名挽回はできた作品だと思う。
ダビスタ最大の魅力である数少ない情報から適性を割り出し馬を活躍させていくという要素は守られているし、ゲームバランスやロード問題もアプデを重ねていく事でかなりましになっていった。
ただし、未だにレースの完全スキップができない。ローテーションに多様性が持たせられない、レースバランスは未だに怪しいと言った旧作から持つ問題点を解消できないでいるため、次回作では流石にこの辺りのポイントは何とかしなければいけないのではないのかと感じた。

だが、64以降レースシーンを3D化してからレースバランスが滅茶苦茶になっており、完全にこのシリーズはファンから見放されてはいたがこの作品ではかつてのゲーム史及び競馬史に名を刻んだタイトルとしての意地は見られた。そんな作品であった。


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