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「B2からの刺客」12/16,17三遠ネオフェニックスvs佐賀バルーナーズプレビュー

はじめに

今回は12/16、17に行われる三遠ネオフェニックスvx佐賀バルーナーズの簡単なレビューをしていく。

現在中地区首位、勝ち負けの数で全クラブ首位のアルバルク東京に並ぶ三遠としては、ホーム豊橋市総合体育館で行われるこのカードは是が非でも連勝し、優勝戦線をリードしたい試合となっている。

一方で佐賀としても激戦の西地区をうかがい、ひとつでも順位を上げるために負けられない対戦と言えるだろう。

両クラブの現在地と注目選手を紹介していくので、ぜひ観戦の参考にしていただきたい。

なお各種スタッツに関しては、Bリーグ公式ウェブサイトから引用させていただいた。



首位快走・三遠ネオフェニックスの現在地

12/10(記事執筆時点)現在、三遠は16勝3敗で中地区首位、全クラブ中でも首位のアルバルク東京に得失点差で及ばない2位に位置づけている。

バイウィーク明けはアウェイ北海道戦に連勝、水曜に行われたホーム川崎戦でホーム連勝記録の途切れる手痛い敗戦となったものの、続くアウェイ広島戦では強豪・広島相手に堂々の連勝を飾り、4勝1敗の好スタートを切った。

三遠の好調の要因としてはやはり高いオフェンス能力がまず挙げられるだろう。1試合平均得点数は全クラブ中1位の89.2点。バイウィーク明けも既に100点ゲームでの勝利を2試合記録するなど、その破壊力はますます磨きがかかっている。

このオフェンス能力を支えているのがスリーポイント試投数とリバウンドであり、スリーポイント試投数は全クラブ中1位の11.1回、リバウンド獲得数も全クラブ中1位の43.1個を記録している。

三遠は速い展開から素早くスリーポイントを放ち、外したとしてもリバウンドを取ることで次なる攻撃に移り、守備でもリバウンドを奪取することで攻撃の回数を増やすことができている。その結果、攻撃の回数と得点効率が共によくなり、高い得点を記録することができていると言えそうだ。

またスリーポイントを相手に意識づけることで守備を外側に広げさせ、ゴール下を攻める通常の2点攻撃の精度が高くなるのも三遠の特徴だ。三遠の2点シュートの成功率も全クラブ中1位となる55.9%を記録しており、スリーポイント、リバウンド、通常の攻撃が共に高水準を叩き出す好循環が生まれている。

佐賀戦でも自分たちのバスケを貫き通し、ハイスコアを狙っていきたいところだ。

B2からの刺客・佐賀バルーナーズの現在地

佐賀バルーナーズは昨シーズンのB2西地区で45勝15敗の好成績を納め、プレーオフを勝ち上がってB1に昇格したクラブである。

今シーズンも勢いそのままに10勝9敗で現在ひとつの勝ち越し。激戦の西地区にあるため地区内の順位こそ伸びていないものの全体順位は13位で、得失点差も+19をマークしており、充分にB1で通用していると言っていいだろう。

佐賀の特徴は堅守を軸に、着実に加点していくスタイルにある。

昨シーズン、佐賀はB2でチーム失点数を最少の4357失点に抑え、得失点差+515をマークしている。B1でもこの堅守はいかんなく発揮されており、今シーズンはチームの1試合失点数を全クラブ中3位となる73.3点に押さえ込んでいる。

佐賀より失点が少ないチームが現在首位を争う宇都宮ブレックス、アルバルク東京のみと考えると、そのディフェンス力の高さが分かるだろう。

ディフェンスをより細かく見ていくと、ディフェンスリバウンドの奪取数は全クラブ中5位の27.9本、ブロックショット数は全クラブ中1位の3.5本をマークし、ゴール下付近で粘り強くプレイできていることが分かる。

一方、オフェンス面では平均得点こそリーグ20位の74.3と伸びていないものの、1試合の平均フリースロー試投数は全チーム中2位の19.9本をマーク。フリースローによる獲得点数も5位となる13.4点を記録しており、相手のゴール下に着実に攻め込み、フリースローを獲得していることが分かる。

総評すると、佐賀バルーナーズはゴール下の粘り強い守備で相手の攻撃を止め、自身は確実にゴール下を攻めることで加点して勝利を狙うスタイルのクラブと言えるだろう。ゲームのテンポ自体は決して速くなく、得点数も伸びないものの、ロースコアでの勝利をものにすることができる。

2021ー22シーズンから指揮を執る、佐賀の宮永雄太HC兼GMは佐賀のバスケットについて「堅守から連動するオフェンスへと展開する」と称している。

B2時代から継続して取り組んだチーム作りがB1でも通用していることが、データだけを見ても充分に分かるものとなっている。

三遠vs佐賀の展開予想

ここまで紹介した通り、三遠と佐賀はある意味対照的なチーム作りを進めていることが分かる。三遠はトランジション、スリーポイントを軸とした速い展開で大量得点を狙うバスケで、佐賀は堅守を軸としたバスケで勝利を狙っている。

では、この両チームの勝敗を分けるものとはいったい何なのだろうか?

実は一見対照的に見える三遠と佐賀で、共に高い水準を記録するプレーが存在している。それがリバウンドとフリースローだ

三遠は先に述べたようにリバウンド獲得数がリーグ1位、オフェンスリバウンド獲得数2位、ディフェンスリバウンド獲得数1位を記録している。佐賀はディフェンスリバウンド獲得数リーグ5位をマークしており、共にリバウンドに対して高い意識を持ってプレーするクラブであることが分かる。

また佐賀はフリースロー獲得数でリーグ2位だが、その上を行く1位のクラブが他でもない三遠なのである。

三遠vs佐賀は共にゴール下で激しく攻防を繰り広げ、フリースローの1点1点が勝敗を分ける、好ゲームになりそうな予感が漂っている。両クラブのゴール下が勝敗を分ける展開となりそうだ。

三遠と佐賀の注目選手を紹介

三遠の注目選手 #1ヤンテ・メイテン

三遠の注目選手としては、今回ヤンテ・メイテンを挙げる。

メイテンは2022ー23シーズンに加入した外国籍選手だが、22ー23シーズンは故障もありわずか12試合の出場に留まった。その間は1試合平均17.4点をマークする活躍を見せており、メイテンの故障と共に三遠も成績を下落させてしまっている。

加入2年目となった今シーズンはコティ・クラーク、デイビッド・ダジンスキーがスタメンで出場しており、シックスマンとしての出場機会が主となっている。

昨シーズンのメイテンはゴール下からスリーポイントまで何でもこなす万能型ビッグマンだったが、今シーズンはアウトサイドシュートやアシストに強みのあるクラークの加入によって、主な仕事場が相手のゴール下に変更。

それに伴ってスリーポイント試投数、成功率共に低下しているもののリバウンド、特にオフェンスリバウンドによる貢献が目立つ選手となっている。平均出場時間は昨シーズンの約27分から約21分に減少したものの平均リバウンド獲得数は変わらず、平均オフェンスリバウンド獲得数3.0本はチームでもトップの数字である。

メイテンは201cm/109kgと外国籍選手としては決して大柄ではないものの、ゴール下の位置取りやジャンプのタイミングの取り方のうまさによってサイズで上回る外国籍選手相手でもリバウンドの競り合いを制している。その技術面から身長を逆サバしている疑惑まで一部で出るほどだ。実際逆サバ読んでると思う。

佐賀戦ではリバウンドの激しい競り合いが予想される。メイテンがゴール下で存在感を示すことで得点の機会が増え、より勝利に近づくことだろう。

佐賀の注目選手 #2レイナルド・ガルシア

佐賀の注目選手はレイナルド・ガルシアだ。

ガルシアは2020ー21シーズンに佐賀に加入した外国籍のポイントガードの選手である。

佐賀は1試合平均得点74.3点と得点は伸びていないものの、ガルシアはリーグ17位となる平均得点15.3点を記録している。スリーポイント成功率32.7%、フリースロー成功率78.5%などいずれの指標もよく、チームの得点源として機能している選手だ。

更にポイントガードとしてもリーグ8位となる平均4.4アシストを記録しており、自分で攻めてよし、周りを活かしてもよしという万能性を有している。

ディフェンスにおいても2020ー21シーズンにB2のスティール王に輝くなど、積極的な守備で相手のボールを奪い取る動きが可能だ。

前節の茨城戦では2試合とも出場時間は30分を超え、それぞれ14、19得点をマーク。B1初挑戦となる今シーズンもB2時代そのままのパフォーマンスで佐賀を牽引している。

三遠は佐々木隆成、大浦颯太と、オフェンス能力の高いポイントガードが揃うチームだが、ガルシアも能力面において遜色はない。それどころか外国籍の恵まれた体格を活かしてポイントガード同士のマッチアップで優位性を作り、攻守両面でアドバンテージを得ることもできるだろう。三遠としては特別な対策を講じなければならない選手のひとりだと言える。

まとめ

今回は12/16、17に豊橋市総合体育館で行われる三遠ネオフェニックスvs佐賀バルーナーズの簡単なプレビューを紹介した。

三遠と佐賀は対照的なスタイルを持つチームであり、リバウンドやフリースローなどのワンプレーワンプレーが勝敗を左右する、非常に好ゲームの予感が漂う顔合わせだ。

三遠は大野篤史体制2年目、佐賀はB2時代からの継続性によって現在のスタイルを積み重ねており、どちらに軍配が上がるか非常に楽しみだ。三遠ブースターである筆者としては、今シーズンのホームゲームわずか1敗のホームアドバンテージを活かし、佐賀の堅い守備を突き破る三遠の選手たちの活躍をぜひ見たいところである。

また私事だが、この佐賀戦は両日筆者も参戦予定だ。連勝目指して熱いブーストを送りたい。
最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。次回執筆予定は未定。

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