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サンディフック後のサンディフック Elizabeth Williamson著「Sandy Hook: An American Tragedy and the Battle for Truth」

2012年のサンディフック小学校銃乱射事件を受けて跋扈したアレックス・ジョーンズら否定論者、陰謀論者と犠牲者の親たちの闘いを膨大な調査と取材をもとに再現したルポ。

印象に残った記述はふたつ。

犠牲者の親たちが、機に乗じてつけこんできた人に対して「銃撃犯よりも怒りを感じた」と語っていたこと。
たとえば、子どもの無事が確認できないまま待機場所で地獄の時間を過ごしている家族に向かって「お子さんが亡くなったそうでお気の毒です」と言ってきた一般人がいたという。
それがどこかで得た事実だったとしても、警察が正式に遺族に伝える前にそれをする卑しい心根はおぞまし過ぎる。

もうひとつは、事件後に地元で起きたこと。
寄付が集まりすぎて、また集めた元もいろいろ怪しいところも出てきて用途に揉めた。
オモチャなどの物品は大量廃棄せざるを得なかった。
企業が犠牲者の追悼として特別に作った限定のスニーカーを関係ない人が身につけたり、転売したりし始めた。
こういうことはむべなるかなと思うが、あまりにも大きな注目を集めた事件の後の社会の記録として興味深かった。

さらに10年遡って池田小の事件が起きたとき、叔父の職場に池田小の児童の保護者が数人いたようで、後に叔父が「小学校に有名人が慰問にきて、子どもだけでなく親までサインをもらいに行ったりしている。亡くなった子の親ならまだしも、それ以外の親が嬉々として享受しているんだ」と苦々しそうに言っていたのを思い出す。
もちろん、私がそれを聞いてオイオイと思ったのは保護者じゃなくて叔父に対してね。
「被害者は被害者ムーブをしろ」という叔父の勝手なやっかみでしかない。


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