書籍刊行PRイベントに行こう in 米国(その1)
著者が各地を回ってトークショーや朗読をしたり、サイン会をしたりする書籍の刊行PRイベントに行くのが好きなのだが、当分開催されないだろう。これまで、書店のイベントスペースのほか、ホテル、図書館、公会堂、教会堂など、著者の知名度、人の集まりぶりに合わせてさまざまな場所で行われるイベントに行ったが、ホテルを除いては密集だったので...。最近はもっぱらオンライン開催になっている。
今のうちに(?)これまでに行った主なイベントを回想したい。
Alison Arngrim(『大草原の小さな家』のいじわるネリー)
Confessions of a Prairie BitchのPR
今は他州へ移ったが、日系自動車企業の北米ヘッドオフィスが集まり、大きな日系コミュニティがあることで知られるサウスベイの図書館で。
これは、「日本にはドラマ版『大草原の小さな家』ファンが多い」から? と思ったが、会場には日本人どころかアジア人が見当たらず、たぶん日系人は私たちだけだった。
ちなみに、公立図書館のイベントで入場無料、本の押し売りもなかったので、サイン用に前日に本を買いに行った。そしたら、Barnes & Nobleの店員さんが「アリソンは知人だよ」と言う。「そうなん? 明日、図書館に来るんですよ」と言っておいた。彼はそのことは知らなかった。
黒い帽子でキメた夫と一緒に来場したアリソン。
すっかりどっしりして、しかもトーク中にペットボトルのコーラをがぶ飲みするのはちょっとびっくりしたが、気さくで明るくて素敵な人だった。お連れ合いもトーク後の本の販売などまめまめしく手伝っていて、とても感じがよかった。
本の内容の話以外で印象に残った話は、ふたつ。
『大草原』で夫のパーシバルを演じ、後にエイズで亡くなったスティーブ・トレイシーとの思い出。
そういえば、お連れ合いはパーシバルに似た雰囲気だったかも。ちょっと控えめで、妻に押されているように見えるけど、むちゃくちゃ懐が広くて優しいの。
もうひとつは、今もローラ役のメリッサ・ギルバートと親交があり、「昨日も彼女の息子の学芸会を見に行ったの」と言っていたこと。みんなロサンゼルスにいるのね...と思った。その後、ローラは再婚を機にミシガンに引っ越したらしいが。
サイン会のとき、「日本で見ていました。日本のBBCみたいな放送局で放映されていたんですよ」と声をかけると、「私の声はどうだった? 違和感なかった? フランス語の吹き替え版を見たことがあるんだけど、すごく妙なのよねえ」と答えてくれた。
本も、ある程度ドラマを見ていた人間にとってはとても面白い。愛のあるビッチの大活躍。
Elizabeth Gilbert(Eat, Pray, Loveの著者)
Big Magic: How to Live a Creative Life, and Let Go of Your FearのPR
Eat, Pray, Loveのファンなので、勇んでチケットを購入する。書店主催だが、近所の有名ホテルの宴会場で行われた。
集まったのは500人くらいだっただろうか、なかなかの話し手で結構盛り上がったが、特に沸いたのは質疑応答に入ってから。つい自分の話が長くなる質問者が多かったが、ひとつひとつ真摯に答えていた(シェリル・サンドバーグが冷淡だったのと比べると格段に)。
たとえば、
最近読んで良かった本は? これはリズのファンっぽい質問だ。彼女が2冊を熱っぽく紹介すると、大勢がメモをとっていた(The Light of the Worldと、Girl Waits with Gun)。
豪州から来たという女性が自分を振った男性について語ると、
F--k You! と一喝...。で、別の人が好きな言葉は? と聞くと、F--kですって...。
Eat, Pray, Loveにも記述があったように、リズがうつに悩んだことを知っている質問者が、自分も精神的につらい、一体どうやって乗り越えたのか、と涙声で質問。本当にすがるような気持ちで質疑の列に並んだのが伝わってきた。彼女が声を詰まらせると、リズは"Honey, take your time, we are here for you"と言っていた。優しい! 親身!(シェリル・サンドバーグが冷淡だったのと比べると格段に)リズの答えは、"One day at a time"だった。先の心配をせず、まず今日を生き抜きましょう、医師の助言もよく聞いて、ということだった。
そして、きっかけは忘れたのだが、ある質問者がリズと共にオリビア・ニュートン・ジョンの"Country Road"を歌うことに。聴衆全員が立ち上がってそれぞれにスマホで歌詞を見ながら、フルコーラスの大合唱になった。
こうして見ると、先に朗読されたBig Magicに関する質問が一切ないな。人物にひかれて集まった人が多かった、書店もそれを見込んで大会場を用意したということだろう。
Caroline Kepnes & Lena Dunham
ProvidenceのPR(2018年)
テレビシリーズ『GIRLS/ガールズ』のクリエーター、レナ・ダナムが、自身が関わる出版レーベルから出た新刊のイベントに同席。当然、その知らん著者よりもレナ目当てで行く。書店のせっまいイベントスペースで足りるのだろうか? と要らない心配をしたが、余裕だった。
始まる前に、隣席の女性2人がFacebookにブチ切れてアカウントを消した話を色をなしてまくし立てていて、その印象ばっかり残ってる...。
で、2人のトークと凡庸な質疑応答の内容も全然覚えていない。ひとつ、サイン会の話になったときに、レナが「Not That Kind of Girl出版イベントで、1人1人に違うメッセージを入れようと決めていたんだけど、あれは後悔した。途中から疲れてネタも尽きて、Nice Shirt!とか書いてたんだよね」と話してたことくらい。
イベントについて、個人的には、「紙の本がもれなくついていて、その料金が入場料に含まれている」のが今のところ不満だ。
マジで紙の本要らないので...。カップルや家族連れ(ヒラリーのときは多かった)で来て、何冊も持ち帰ってるのも気の毒。せめて電子版が選べたらいいのに。
これからイベントに行きたい方へ。
イベント情報の見つけ方:
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その2では、シェリル・サンドバーグ、サリー・フィールド、ヒラリー & チェルシー・クリントンのイベントについて書こうと思う。