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組織とボタン- ボタンに名前をつけた人

ボタンに名前をつけた人

「ボタンに名前をつけた人」から考える命名と行動の関係

ボタンに「希望」と名付け、「希望を押そう」というキャンペーンが始まったが、結局誰も押さず、ボタンは「見るだけで十分な希望」とされてしまう。この物語は、命名という行為が持つ力と、その限界について深く考えさせる。

組織論の観点では、命名による再定義は組織変革の重要な手段だ。「希望」というポジティブな意味を付与することで行動を促そうとしたが、実際にはその象徴性が逆に「神格化」を生み出し、行動が抑制される結果となった。命名が組織文化に与える影響を過信してはいけない。

行動経済学では、これはフレーミング効果に関連する。命名によってボタンの意味をポジティブにフレーミングすることで、行動を促進しようとしたが、実際にはその期待が過剰であったため、逆効果となった。行動を促すには、単に意味を付与するだけでなく、具体的なインセンティブが必要だ。

社会心理学的に見ると、これは「象徴的相互作用」の一例だ。ボタンに「希望」という新しい意味が与えられたが、それが行動を変えるよりも、象徴としての価値を高めるだけに終わった。行動が伴わない象徴的な意味は、時に行動の抑制要因となる。

皆さんに問いたいのは、「名前をつけることで本当に行動が変わるのか」ということだ。ボタンに「希望」と名付ける行為は、ある意味で現実逃避だったのかもしれない。命名が持つ力とその限界を理解し、その象徴が行動を生むためにはどんな工夫が必要か、考えてみてほしい。

組織とボタン - PROLOGUE


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柏木誠|プロジェクトデザイナー
アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加やAIの研究の資金にします。