組織とボタン - PROLOGUE
そのボタンは、ある巨大企業のオフィスの誰かの机の上に存在している。
鮮やかな赤い色が目を引き、ボタンの台座には「押すな」という貼り紙が貼られている。
誰が、いつ、何のために設置したのかは誰も知らない。ただ、このボタンの存在がいつしか社内の文化そのものとなり、社員たちはボタンの周りを通るたびに何とも言えない視線を投げかけるようになっていた。
「押したら何が起こるんだろう?」
そんな疑問を口にする者もいれば、押すことを想像するだけで背筋が寒くなるという者もいた。
押すなと言われている以上、誰も押さない。しかし、そのボタンは不思議と社員たちの頭の片隅に居座り続ける。押さなかった勇気を語る者、押すべき理由を熱弁する者、そしてボタンを完全に無視する者。さまざまな人々がそれぞれの理由を持ちながら、そのボタンを巡る物語を紡いでいく。
だが、ひとつだけ確かなことがあった。
それは、このボタンが組織そのものを映す鏡である、ということだった。
100文字小説「組織とボタン」
season1(13回)を不定期で始めます。リンク先のnoteには100文字小説の考察があります。
1.押さない人
2.無視する勇気
3.会議は続く
4.なぜ押せなかったのか
5.押したフリをした人
6.ボタンを撤去した人
7.ボタンを隠した人
8.ボタンに名前をつけた人
残り5話
壊した人
毎日押す組織
押す人
押さなかった報酬
ボタンを作った人
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アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加やAIの研究の資金にします。