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組織とボタン- ボタンを隠した人

ボタンを隠した人

「ボタンを隠した人」から考える象徴の扱いと組織の再生

ある社員がボタンを隠し、それによって業績が向上したが、数年後に新人がボタンを発見し、再び混乱が始まる。この物語は、象徴的存在をどう扱うべきか、そしてそれが組織の再生にどう影響を与えるかを考えるきっかけを提供している。

組織論的には、これは「問題の根源を隠す」ことの短期的な効果と長期的なリスクを示している。ボタンを隠したことで、一時的には社員が行動を起こす環境を作ることに成功した。しかし、象徴的存在が復活したことで、根本的な課題は解決されていなかったことが露呈する。組織は、象徴を排除するだけでなく、それをどう扱うかを戦略的に考える必要がある。

行動経済学では、これはサンクコストの回避と関連づけられる。ボタンが社員たちに無駄な注意を向けさせる「コスト」を隠すことで、生産性が一時的に向上した。しかし、その存在が再び注目されることで、潜在的なコストが復活してしまう。隠すことは根本的な解決策にはならないのだ。

社会心理学的に見ると、これは「選択肢の喪失」による一時的な安定と、それが再び回復された際の混乱を描いている。ボタンが象徴するのは「可能性」であり、それが消えたことで社員たちは目の前のタスクに集中できた。しかし、その可能性が復活したとき、再び不安や迷いが生じている。

皆さんに考えてほしいのは、「象徴をどう扱うべきか」という問いだ。隠すという行為は短期的には効果的だったが、長期的な視点では課題を先送りにしているにすぎない。あなたがこの社員の立場なら、ボタンを隠す以外にどんな選択肢を考えただろうか?象徴を隠すのではなく、新たな形で意味づけする方法を考えてみてほしい。

組織とボタン - PROLOGUE


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柏木誠|プロジェクトデザイナー
アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加やAIの研究の資金にします。