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プロジェクトの抽象性とデザインが持つ力
ここでの「抽象性」とは、具体的な形や詳細がなく、概念やアイデアが曖昧で多様な解釈が可能な状態のことです。この性質がプロジェクトのコミュニケーションにおいてどのように影響するか、これが今回の論点の始まりです。
1. プロジェクトの抽象性とその課題
プロジェクトは抽象的な性質を持つ。ゆえに不確実なものである。
プロジェクトは目標、期間、資源、関係者など、多様な要素が複雑に絡み合った「動的なシステム」ゆえに、多様な解釈や期待が絡み合う。そのため、関係者は自身の経験や知識に基づいてプロジェクトを捉え、自分中心のコミュニケーションを行いがちである。その結果、共通の理解を得ることが難しくなる。
このコミュニケーションの状況は、ウィトゲンシュタインの言語ゲームに例えられます。言語ゲームとは、言葉が特定の状況や文脈の中でどのように使われるかによって意味が変わるという考え方です。
つまり、各参加者は自身の経験や知識に基づいて、他人とは異なる文脈で言葉を使うため、「同じ言葉でも異なる意味として受け取られる可能性」があるということです。それこそが、コミュニケーションにおける誤解を生む原因となります。
結果、プロジェクトのリスクが増大していきます。
このコミュニケーションの難しさを克服するための、適切な方法論やアプローチの確立が重要というのが私の認識です。
2. デザイナーが持つデザインの力
デザインのプロセスは、抽象的な概念やアイデアを具体的な形に落とし込む行為です。この「デザインのプロセス」こそがコミュニケーションの難しさを克服するためのアプローチではないか。
例えば、デザイナーは、多様なデザイン言語を駆使し、複雑な情報を整理・構造化することで、コミュニケーションを促進し、問題解決を支援します。色、形、レイアウトといった視覚的な要素に加え、タイポグラフィ、写真、イラスト、動画など、あらゆる表現手段を駆使することで、具現化し、他者との共有を可能にします。
ビジュアルやプロトタイプ意外にも、プロジェクトの目標や進捗状況を視覚的に表現することも、関係者間の共通認識を醸成し、プロジェクトの成功に貢献することができます。
「デザインのプロセス」は、プロジェクトを推進するための戦略的なツールとなり得るのではないか?これが私の核となる考え方です。
3. デザインの力をプロジェクトマネジメントに応用するプロジェクトデザイナー
私はデザインの力をプロジェクトマネジメントに応用する「プロジェクトデザイナー」という職種、または役割を提唱しています。
「プロジェクトデザイナー」は多様なアイデアを具体化し、チーム内の認識を統一し、コミュニケーションを円滑にします。
具体化の手段は、絵やプロトタイプにとどまらず、プロジェクト全体の設計にも及びます。この具体化のプロセスにより、参加者間の認識のズレを表出させ、修正する機会を提供します。
これにより、プロジェクトの不確実性が減り、成功率と推進力が高まる効果が期待できるのではないか?
さらに、このアプローチは組織内の知識共有や意思決定のプロセスにも有効です。プロジェクトデザイナーは、様々な人の媒介者として機能し、プロジェクトの円滑な進行に寄与します。
「プロジェクトデザイナー」という新しい職種や役割を提唱することで、これまでとは異なる価値やアプローチをプロジェクトの世界に浸透させていく。そんな企みが私にはあります。
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