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組織とボタン- 押したフリをした人

押したフリをした人

「押したフリをした人」から考える信頼と虚構の力

ある社員はボタンを押す勇気がなかったが、押したフリをした。その行為が「ボタンが押された」という噂を生み、結果的に組織の意識改革を促した。この物語は、「実際の行動」と「そのイメージ」のギャップが、どれほど組織に影響を与えるかを示唆している。

組織論で重要なのは「信頼」の本質だ。行動そのものではなく、その行動が他者にどう受け取られるかが組織の変革を左右する。押したフリという虚構が、組織全体の新たな規範を生み出し、その結果が評価されることで、組織の価値観が変化した。

行動経済学では、これを信号送信理論と関連づけて考えられる。彼の「押したフリ」は、組織内で勇気ある行動としての信号を送る役割を果たした。実際の行動よりも、その行動が持つシンボリックな価値が評価されたのだ。

社会心理学的には、これは「ピグマリオン効果」の一例だといえる。彼の行動が周囲に新たな期待を生み、その期待が現実の行動を変える連鎖を引き起こした。この「期待」が、押されたという事実の有無を超えて、組織の中に自己実現的な結果を生んだ。

ここで問いかけたいのは、「真実」と「信頼」の関係だ。押したフリという行為は倫理的に問題があるかもしれない。しかし、それが組織全体を動かす原動力となった点で評価される。このような状況下で、真実と虚構のどちらが重要なのか?その境界線をどのように捉えるべきか、考えてみてほしい。

組織とボタン - PROLOGUE


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柏木誠|プロジェクトデザイナー
アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加やAIの研究の資金にします。