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背筋『口に関するアンケート』

巻末に記された「口に関するアンケート」


最後まで読み進めると、
気付いたら物語の結果に誘導されていた。

彼らはアンケートが問うたように、果たして本当にそのような結末を迎えたのか……。

結論、「そんな感じがしてくる」ですよね。
信じちゃう。

ずるいですよね……。アンケートって形が!

例えば

「Q. あなたは2019年に〇〇市で殺人を犯しましたか?」
□はい □いいえ

ってアンケートで問われれば
「とりあえず、私は殺人なんてしてないけど、〇〇市で殺人あったんや!」ってなる。

アンケートで尋ねるってことは本当に起きたことなんだなって解釈して、信じてしまう。
しかも紙面だとつい信頼してしまうというか。そこも、ずるい。

私たちが文章を読んで分かるのは「これは何らかの媒体で録音されたなんかの記録なんだな」ってことと、
話し手がそれぞれ最後に「話は終わりです」などと、自分の話をそれとなく締めている、というだけ。

だから正直、最後のアンケートを見るまでは「なんかの取材の記録なのかな?オカルト誌に掲載するため」とか

「百物語」的に皆がそれぞれ経験した怖い話を順々に話しているのかなとか色々想像しました。でも、なんか一緒の場で話している感じじゃないな、うーん?となったり。

だから、最後のアンケート。
これはずるい。って思った。
こんなやり方ありかよ!みたいな(笑)

そういう結末に落ち着いたって解釈しちゃうじゃん!みたいな!

そして、こういうのがまた「災いの元」となるような認識のズレに繋がるんじゃないかなって気がしてきます。

視覚的な面白さ


あと、文字の赤がどんどん赤黒くなっていくのも、面白かったですね。
「あ、なんか悪い方向に進んでる」っていうのが視覚的に分かるし、面白い。

そしてやっぱりこの本の特徴と言えばサイズ感だと思うんですが、
なんでこのサイズ感なんでしょう?

文量も凄く少なかったですし……
そもそも書籍として販売できる量なのかなみたいな。
背筋さんの人気はうなぎ登りですし、この文量でも販売できる!と出版社が判断したのは理解できますけど……。

文量に合わせたサイズ感なのかな?
それとも、このサイズ感にしたくて文量を調整したのかな?

いずれにせよ、なぜこの本はこんな不思議な形をしてるんだろう……。

ブックカバーも付けられないですし、何より話題が過ぎ去った後に書店の本棚に収納された時、他の本に埋もれちゃうんじゃないかなとか思ったり(笑)

私の勝手な想像では

・口元に持ってきた時に読者の口と重なるサイズ感にするため(最後のアンケート部分で、音読に関する質問もあったし、ぐっと本との距離を縮めて読むことは想定していたのかな?なんて。)
実は、私も読みながらつい音読したんです……本のサイズが小さいから絵本を読んでいる気分になって、つい読んでみたくなって。(蝉の声は聞こえなかったですが笑)

"ささいな"ズレで災いは起こるんだよ、というその"ささいな"感じを表現するため

そういう、物語を踏まえてのサイズ感なのかなと……🤔
皆さんの中で、他に自分はこう思ったとかあれば、聞きたいです!

怖くて、それでいて視覚・展開面で戦略的な1冊だなあと感じました!

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