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95枚のスライド:再利用第二弾

2年前に脳腫瘍で亡くなった夫の高次脳機能障害の話をしてきました。

と、書いて気づいた。

年を超えたので、3年前になるんだ。

亡くなった翌年は「昨年夫が亡くなって」がパワーワードだった。
その後、「一昨年夫が亡くなって」になって、あー、丸1年が経過しちゃったんだ、「2年前」「一昨年」の話になったんだなと思った。
そして、今年は「3年前」。明らかに時間は経過しているのだなと思った。

というイントロはどうでも良くて(笑)

3年前に脳腫瘍で亡くなった夫の高次脳機能障害の話をしてきました。

以前、彼がお世話になった障害者支援センターで初めてお話させて頂いた際、手話通訳さんが入ったことや、時系列で具体的に話を聞きたいというご要望を頂いたりで、膨れ上がった95枚のスライド。
思い出を掘り起こしながら、色々な感情と向き合いながら、彼や自分と対話しながら、泣きながら、酔っ払いながら作った95枚のスライド。

これを再利用しなくてどうするんだ!と思い、PRし続けたらソーシャルワーカーさんの会で話してほしいとお声がけを頂き、第二弾を話してきました。

いやいや、ありがたいことですーーー。

前回は当事者さんやそのご家族、当事者の会で彼を知っていた人たち、ご支援くださった方々が参加されていたので、会場ですすり泣きしている声が聞こえてきたり、講演終了後には、ご自身の体験談や共感したという声を多くききました。

今回はソーシャルワーカーさん達ということで、視線も視点も違う(笑)
興味関心のツボや、質問のポイントが支援者側で、制度的なことや、病院との連携のお話等、なかなか面白かったです。終わった後に関係者の方々とも懇親会(飲み会)があったのですが、どの論文にどんなことが書いてあったかや、高次脳機能障害は精神障害者手帳(精神疾患)なのか?とか、色々マニアな話で盛り上がりました。感情ではなく、客観的にこの現状をどうしようか、という話が出来るのもまた面白く、刺激になりました。

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今回の講演は、知人限定でSNSに投稿していました。
いつも自己ツッコミをしてしまうのですが、SNSに投稿しておきながら、広めたいけれど、友達限定のSNSに投稿するとか、広められると恥ずかしいとか、これって何なんでしょうね(笑)

結果、今回はオンライン視聴があったからか、彼を知る方はもちろんのこと、思いもかけない方々が参加してくださっていて、正直びっくりしました。
だって、週末ですよ? 昼の2時間ですよ?
聴けなくても損はしない、無料講演会ですよ?
その時間を確保して向き合ってくれようと思った、ってすごいことじゃないですか。
事前にも、みーにゃんさんが話すなら絶対聞こうと思った、とか。
なぜこの人が?という方が参加してくださったり。
ありがたすぎるーーー。

そして、彼を良く知る知人のみなさん。彼の元上司。
私の友人たちも参加してくれていました。

彼の高次脳機能障害の話はもちろん、それを一番近くで見てきた家族として思っていたこと。離婚することも当然考えたこと、などを正直に、生々しく話した講演会。
彼は何も悪くなくて、脳腫瘍とそれによる後遺症の高次脳機能障害がいけないのですが、そんなことも大っぴらに話してきました。
なんだか、彼をディスってるような気もして。
私が悲劇のヒロインぶってる気もして。
そうはならないように、事実ベースに分かりやすく伝えたい思いに沿っているかと悩みながら、でも話したいことをぶつけた講演内容でした。

結果的に、我が家を直接知る方々からは、いろんなシーンを思い出した、そんなことになっていたとは思わなかった、あの頃辛かったんだね、自分が知っていたのはごく一部のことだったと気づいた、彼のことを思い出した、会社としても中途障害者に対応する制度がなく苦慮していた、等色々な声を頂きました。

彼を直接知らない方々からも、高次脳機能障害の様子が良く分かって勉強になった等の声を頂きました。

ほっ(笑)

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少し前に、彼の会社に勤めていた私の知り合いから連絡があった。
彼が亡くなる数年前に退職していたため、彼が亡くなっていることを知らずに、たまたま私に連絡をくれたのだった。

「ダンナさんから私が会社でお世話になっていた話、聞いてない?」

と聞かれ、おぉ、そうか、知らないのか!と思い、彼が亡くなった話をすると、LINEのやり取りの文章であっても、相当驚いているのが伝わった。

そして、教えてくれた。

彼女はメンタル休職から復帰したばかりで新しい部署に異動していたこと。その部署で、彼女は彼と仕事上の関わりがあったこと。
分からないことを、彼がとても優しく教えてくれたこと。
彼女にとって、質問しやすい彼が癒しの存在であったこと。
いつも彼がちゃんと彼女の話を聞いてくれたこと。

おおおおーーーーー!
まじか!


彼が退職する頃は、脳腫瘍の進行に伴い高次脳機能障害も進み、理解力もどんどん低下していき、会社にはご迷惑をおかけしてばかりで申し訳ない気持ちだった。かといって、辞めてしまうと彼の居場所もなくなるので、何か仕事がないかと日々葛藤をしていた。

入社して、病気だった期間の方が元気だった期間よりはるかに長い。
会社に労働力としてお返しできていないことが心苦しかった。

でも!
そんな彼が仕事が出来ていたころの話を聞き、
誰かの支えになっていたことも知り、
とてつもなく嬉しくなった。

彼が会社に貢献していた時期もちゃんとあったのだなー、と。

そして、メンタルダウンをしてから復帰したばかりの人には、彼の穏やかさ、ゆっくりさ、待つ姿勢は癒しになっただろうな、とも思った。

その彼女も講演会を聞いてくれていた。
そして、感想と共に、全く知らなかった状況に驚いたことや、彼がどれだけ優しかったか、彼に「私、みーにゃん知り合いです」と伝えたときの嬉しそうな優しい笑顔が忘れられない、ということをLINEしてくれた。

彼女は今は復職支援の仕事をしているらしく、内容的にも色々と考えさせられたようだった。

こうやって、誰かの何かのお役にたてたのなら、彼も喜んでいるだろう。








何人かから、「今日はダンナさんにご報告するのかな」と言われたよ。
ご報告、したよね。飲みながら、号泣しながら。
ほんとに、あの涙は何なんだろうね。
でも、あなたがしてきた経験は、世の中のお役にたっているよ。
よかったね。次の出番があると良いね。

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