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いろめがね(仮)

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小説と呼んで良いものなのか、わからないもの
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#文学

無題

澄み渡る5月末の青空は歪んでいた。

まるで溶け始めのバターのようにどろりと垂れてきて、そのまま頭の上から私を押し込んでしまいそうだった。

私が新卒で入社した会社はみんな良い人だ。生活も順調に進んでおり、深刻な問題はない。
しかし私は不安に包まれていた。
何が不安かと問われると、具体的な回答は出てこない。
彼女がいないこと、友人の方が年収が高いこと、ウイルスの蔓延で思うように行動できないことなど

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