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22. 将にこれを縮めんと欲すれば(まさにこれをちぢめんとほっすれば)


老子のブラックな一面を見た?


今日のタイトルを直訳すると、「これを縮めようと欲すれば」という事で、また、「これ」とは自然や宇宙全体を指し、万物に対して作為的に縮めようとすればどうなるか?というのが今日のテーマという事になります。

はい、もう薄々おわかりですね。それは「自然態」に対して「不自然な行為」という事であり、それは老子の哲学の中では最も道に外れた行為という事になります。

自然にあるものを作為的にギュッと縮める行為は、何かを自分の思い通りにしたくなるという欲望や執着ということです。

しかしそれが宇宙や自然の調和を邪魔する事になり、逆に大きな問題を引き起こす原因になったりします。

従って、欲望や執着を捨て、自然の摂理に従い、謙虚に行動する事が人生で最も重要であるという事が老子の教えたい事であるのです・・・が。



なんだかこの章で老子は物々しい表現をしています…。


老子は逆説的な戦略家だった?


「縮めんと欲すれば」の例として、いくつか挙げられています。例えば、

◎縮小したいなら、いっぱいまで広げ切る

なんだかちょっと嫌な感じがしますね。ビジネスなどではチェーン展開で広げ過ぎて倒産に追い込まれる会社はその良い例でしょうか?(縮小させたいわけではないと思いますが)

◎弱らせたければ、増強させるに限る

はい、少し恐ろしさを感じます(;'∀')。これは何に対してでしょうか。例えば、人間に対してでしたらちょっと怖くないですか?老子様は一体どうなさったのでしょうか?

◎ダメにさせたいのならば、しばらく元気づけて繁栄させるに限る

え、えっと…。言葉にならないのですが…。ちょっと老子様がサイコパスのように思われてきました。

◎奪い取りたいのならば、しばらくこちらから施しを与えるに限る

ちょ、ちょっと待ってください(;'∀')。いつもの老子様の穏やかで達観したところが私は好きで、老子様のようになりたいと思っていたのですが…。


さすがにこれは受け入れられませんよー、老子様!


逆説的に説いているんです


いやはや、今日の内容は、本当に老子に裏切られたのではないかと言うくらいの衝撃的な表現でした。

だってそんな事、人にしてはいけない事ばかりじゃないですか?なんで今更そんな事を?

しかし、このように老子は、逆説的で残酷な表現をし恐怖を与えることで、人々に、「そのような行為をすると、残酷な結果になってしまうよ。だからやってはだめだよ」と、痛烈に表現をしたのだと私は解釈しました。


というわけで、上記を要約すると、

◎作為的に縮小させない!

◎作為的に弱らせない!

◎作為的にダメにさせない!

◎作為的に奪い取らない!

はい、その様なことは致しません(@ ̄□ ̄@;)!!老子様!


逆説ですっかり恐怖を感じ、二度とそのようなことは致しません、という気分になった次第でございます。


そんな訳で、いかがでしたでしょうか?

作為的で不自然な行為が、如何に自らの首を絞めるという事が皆さんにもおわかりいただけたでしょうか?

この章はいつもの老子とは違う、ドライでスパイシーな章でした!

※解説の中でも、老子のあまりの常識破りで裏の手を使う知恵が、権謀術数的で政治的ではないかという疑いを強めている、とも書かれています。










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