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ほんの小さな出来事にも意味がある


日常の些細な出来事が気づきを与えてくれる



※今日はストーリー調で綴ってみたいと思います。
最後までどうかお付き合いください。




最近、家の近所にある高さが10メートル以上ありそうな大きな木々を、
業者さんが切り始めている。

かなり大きな木なのだが、その土地の所有者が不明で、
何十年も放置されていたようだ。
ということは、所有者が判明したのか?

どちらにしてもそこは整地され、歩道になるとのことだった。


その木は私の家の2階の窓から、向かいの家の後ろ側に見ることができる。

それは私の家から見えるたった一箇所の貴重な緑だった。
自然が大好きな私にとっては本当に貴重な癒やしの緑だった。


その緑が日々段々と少なくなっていくことに一抹の寂しさを覚える。


しかも毎日、毎日チェーンソーの音が周辺に響き渡り、
生活の中の小さなストレスになっている。


そしてその前の道は通行止めとなり、
そこを通ろうとする車は迂回を余儀なくされた。
そしてちょうど我が家の真ん前の道にその迂回路を案内する警備の人が立っていた。

女性で60代くらいだろうか。
顔周りにはタオルを巻いて、ヘルメットを被っている。
全身防備してとても暑そうだ。
タオルの隙間からは色黒の肌が見える。

もう長いことこのお仕事をされているのだろうか。


その工事が始まって何日か目のある日、
私は外出するために外へ出て、車に乗り込もうとした。

すると、あの警備の女性が私に近寄ってきた。

「こんにちは。あの花は何の花ですか?綺麗ですね。」

家の小さな庭の家庭菜園に植わっているオクラの花の事だった。


あれはオクラの花だと説明すると、
その女性はそれを眺めながらなんとか長い時間ずっと立っていると言っていた。

それはいつまで経っても園芸初心者の私が、
初夏に何気なく植えたオクラだった。

私が入って10年近くも経ったこの家のこの庭。
近所から目立つ場所にあるために放っておくこともできず、
なんとかこの庭の穴を埋めようというプレッシャーが私を毎年襲う。


そんな事情で慌てて買った3本198円の安価なオクラの苗だった。


それが今、大輪の花を咲かせている(大げさだが 笑)。
オクラの花はクリーム色の花弁で、大きくダイナミックで、
遠くからもよく見え、観賞用としても成立しそうだ。

しかし、こんなところでこんなふうに誰かに喜んでもらえるなんて、
なんと感慨深いことだろう。

庭を諦めきれずに中途半端にいじっていたが、
たった一人でも世の中の誰かに喜んでもらったことがわかると、
もう一度、庭をやっていこうという気持ちになれた。

正直、この庭が重荷になっていた。
庭を綺麗に保つためにはコストや労力、知識や技術が必要なのだ。
基本、庭付き一戸建てとは夢物語だと思った方が良い。
きれいな庭に簡単に憧れると、時間やお金を奪われることにもなり兼ねない。



私がこの家に来た頃は、暑い日、寒い日、日当たり、水やりなど、
それぞれの植物で違うということを全く知らなかった。

それを見かねた夫の親が、色々植えてくれたり整備してくれた。
その時、私はそれをただ眺めるだけだった。

その後、その植えたものをどうして良いかわからずに放置していると、
ある時は毛虫のような虫が大量に湧いたり、
ある時は雑草が生い茂り、背丈を伸ばして行った。
どんどん荒れ地のようになって行った。

私は庭の手入れのお手伝いを、シルバー人材さんなどを呼んでお願いしたいのだけれど、
夫に相談するとなぜか猛反対して、急に衝動的に草を刈り始めたりして、
終わるとぐったりして、その後はしばらく何もできずに放心状態になっていたりする。

なんだか庭付き一戸建てなど不幸の始まりみたいだ。

そんなわけで、この庭が原因で何度でも夫と揉めているし、
それは現在進行系だ。


家庭菜園も、私が好きで始めたものではなかった。
この家に来たときに既にあった。


というか、私が今住んでいる家は、元々は夫と前妻で建てた家だ。


キッチンは前妻の体のサイズに合わせて造られていた。
それがラッキー(?)なことに、前妻と私は身長がほぼ同じようで、
違和感なく使用させて頂いている。

それだけはハッピーなシンクロニシティが起こったと今だに思いこんでいて、なぜだか前妻さんに親和感を抱いている。


夫と前妻は裁判離婚をした。
でも良く話を聞いてみると、どうやら親同士が揉めていたようだ。
裁判に持ち込んだのも、前妻の親のようだった。

何があったかは細かいところはわからない。
ただ、前妻が育児ノイローゼになっていたのに、
それを夫の親が育児放棄をしていると思い込み、
厳しく叱責したようだった。

それを心配した前妻の親が、
前妻を実家に戻らせるために敏腕弁護士に依頼し裁判に持ち込み、
無理やり養育権を勝ち取って子供を連れて出ていったという事だ。

そのシナリオというのも、全て弁護士からの指示通りだったと推測する。

第三者から見ると、当の本人達は、まだまだ世間知らずの若者だったし、
二人の関係は恋愛の延長線上にあり現実的ではなかった。

そんな息子、娘を憂う両家の親はお互いに干渉しすぎ、
それぞれの子を支配していた。


また、両家の親は孫ができたことで、孫を奪い合おうとしていたこともなんとなく垣間見える。似たもの同士とはこのことだ。


話がだいぶずれたが、そんないわく付きの家の庭。

それでも諦めずに少しづつ何かを植えて、
何とか少しづつ根付いていったことでなんとかなっていくものだと、
今回、庭に咲いたオクラの花を喜んでくれた警備の女性によって気づかせてもらった気がする。


一期一会とはこのことだ。このご縁に心から感謝したい。
本当にありがとうございます。


次の日の朝、沸かしたコーヒーがちょうど1杯分残っていた。
氷を入れ、その警備の女性に差し出すと、
「美味しい、美味しい」と言って喜んで飲んでくれた。
帰り際にはできたオクラを数本だけどお裾分けさせてもらった。

こんなことしかできないけど、警備の女性への感謝の気持ちです。
出会ってくれて本当にありがとうございました。

この庭のオクラの花と警備の方との出会いは小さな出来事だったかもしれない。
しかしそれは、これまでこの家に遠慮がちに住んでいた自分をもうそろそろ卒業しても良いかな、と思える出来事だった。

それは私にとって小さな自信と大きな意味をもたらしてくれた。

小さな出来事や、知らない人でも、それは必ず意味や気付きを与えてくれる。
それは実は自分の思いが他者によって表出されるという事でもあると思う。

だからこそご縁を大事にし、出会った人に常に感謝の気持ちを持つことが大切だ。


どんな些細なことも、些細な瞬間も意味があることを忘れずに、感謝の気持ちを持って生きていきたい。





それでは最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
皆さんの貴重なお時間をいただき、心から感謝いたします。

皆さんの一日が素晴らしい一日でありますように。



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