親でも先生でもない大人の役割
私には10歳くらいの患者さんが何人かいます。
主訴は頻尿だったり鼻づまりだったり。
基本、刺す鍼ではなくスティック状の「ていしん」や
お灸を使います。
治療しながら「最近何が楽しかった?」とか
「食べ物で何が好き?」と言ったたわいもない話をします。
子どもたちにとにかく気持ちいいからここに来たい、と思ってもらうことを
メインでやってます。
つまり「親でも先生でもない大人」と安心できるつながりを持つことは
子どもの成長に大切なことだからです。
今日はある子ども患者さんママが来院し
首こりの施術をしている最中こんなことを尋ねられました。
ここでポイントは、
ママがそばにいるのに怖いことが起きても
その子がママの胸に飛び込めてないことです。
私も子供の頃にそんな感覚がありました。
例えば、外で遊んでいたら
急に黒い雲が立ち込めて遠くから雷が轟(とどろ)いてきた時
すごく怖くなって、アパートの階段をやみくもに上っていたけど
どこまで行っても雷鳴が聞こえてものすごい恐怖でした。
でもママもパパも助けてくれない!(←これ無意識で思ってたんです)
もしかしたら、その子も
怖いことが起こっても誰も助けてくれないから
とにかく逃げなきゃ逃げなきゃ!と
パニックになってしまったのかもしれません。
もちろん、ママだってママなりに一生懸命その子を
大事に思っているんですよ。
でも子どもはちょっとしたタイミングで
ママもパパも助けてくれないと
無意識で思い込んでしまうことがあるんです。
こういう時、その子が誰か1人でも頼れそうな大人を
思い出すことができれば落ち着けるのです。
子どもが成長して大人になる過程では
親や学校の先生以外の複数の大人が自分に愛情をかけてくれる
体験があると安定したメンタルが育ちやすいのです。
その子は、はりに行きたいと言ったそうです。
私は少しはその子にとって必要な場所となれているようです。
そして冒頭のママから訊かれた質問には、
とにかくママがあなたの安心安全基地だと
言葉以外の方法で伝えること=
赤ちゃんだった時のように
ぎゅっと抱きしめてあげること。
そうすると安心するかもしれませんね。
と、伝えました。