【優し異世界①】優しいキモチになれる本/¥0電子書籍
#マンガ感想文 #一智和智 #優し異世界シリーズ #¥0で読める電子書籍 #全13巻
収録作 1.おじいさんとおばあさんがハンパなく強かった場合の桃太郎 2.おばあちゃんといっしょ! 3.王妃の追撃を自力で逃げ切ったから王子様のキスを必要としなかった姫君 4.勇者と鉄仮面の騎士 5.橋をふさぐキレやすい将軍 6.橋をふさぐキレやすい将軍とその部下 7.勇者のはじめてのひと 8.とある母子の物語 9.鬼に金棒を与える
9作品もの短編が収録された、無料電子書籍。全体的に中世ヨーロッパ風のファンタジー作品が中心だが、個人的にお気に入りの第1話と第3話を紹介したい。
まず第1話は、タイトル通りの桃太郎異聞。
ーーむかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ芝刈りにではなく「破壊神(シヴァ)狩り」に。 おばあさんは川へ洗濯ではなく「選択」に行きました。
ーーおばあさんは龍神から「選択」を迫られる。 「壱……俺に食われて死ぬ」 「弍……俺に八つ裂きにされて死ぬ」 しかし、その身に鎧も武具ひとつ付けず、たったひと振りの刀のみを携えたおばあさんは、どちらも選らばず、 「参 お前を三枚におろして殺す だ」
と、第3の選択肢を自ら宣言する。そして、おばあさんと龍神の一騎討ちが始まった。 「さすが龍神、かたい鱗だねぇ!」 刀を振るうおばあさんと龍神との激戦の最中、どんぶらこー、どんぶらこーと流れて来た桃は川を下って海に流れ出て、鬼ヶ島にたどり着いてしまった。 桃の中から生まれた赤ん坊は鬼の手で取り上げられ、その場で食われそうになるが、 「まてまて、大きくなってからのほうが食いごたえあるぜ。それまで奴隷だ」
鬼の一言により、子どもは裸に下履き1枚の姿で足に重い鉄球付きの足枷を嵌められ、鬼達に重労働を強いられて育つ。ある日、食べ頃になった子どもはいよいよ鬼に食べられそうになるが、子どもを喰らおうとした鬼の頭は、横からまっぷたつに斬られた。
「お前らが都を荒らしてる鬼か」
そこに現れたのは、二刀のおじいさんとひと振りの刀を携えたおばあさん。鬼達はふたりに挑みかかるが、破壊神や龍神をも倒すほどの凄腕の魔物狩り師歴うん十年であるふたりにとっては鬼などさしたる相手ではなく、瞬く間に鬼ヶ島中の鬼達は全滅させられた。 なぜ人間の子どもがこんなところにいるのかと訝しむおじいさんとおばあさんだったが、ふたりは笑顔で子どもに尋ねる。
「わしらの家来るか?」
そうして子どもは鬼達の奴隷の身から解放され、幸せな日々を送れることとなった。
めでたし、めでたし。
第3話。こちらはがらりと変わって中世ヨーロッパ風の世界。甲冑に身を固めた3人の騎士達が剣をかざし、若く美しい女に迫っている。
「おまえが今、この国でいちばん美しい女か……」 「悪く思うな、これも命令だ」
そのとき、先頭に立って剣をかざしていた騎士が頭部に不意の襲撃を受ける。
「団長!」
背後にいた騎士のひとりが叫んだその瞬間、白銀の甲冑を身に付け、白いマントをまとい、武装した7人のドワーフを従えた女騎士が突如として現れる。
「やはり王妃の手のものか……」 「もう二番目ですらないっていうのに、自分より美しい女を殺し続けるつもりかね?」
7人のドワーフの1人が、好戦的な口調で女騎士にいう。 「お嬢、捻るぜ」 「殺すんじゃないよ」
そして、7人のドワーフ達は一斉に3人の騎士達に襲いかかった。
「わはは、お妃お抱えの腰抜け近衛兵どもがあ!」 「七人の……ドワーフうううう!」
「鏡よ鏡……か。義母さまは死ぬまで変わらないね」
近衛兵達が城に逃げ返っただろう後、女騎士は顔からその白銀の甲冑を外し、殺されようとしていた娘に問う。
「大丈夫かい?」 「はい」
笑顔で答えた娘に振り返った女騎士の顔は年相応の皺があるが、それでも充分に美しかった。七人のドワーフを従え、森を守る白銀の騎士。
『彼女の名はスノー・ホワイト いつまでも美しく気高いひと』
このシリーズは単行本と同人誌も発売されているが、AmazonKindleの電子書籍版は全13巻すべて無料。こんなオイシイ作品を購入しないのはもったいないにも程があるので、是非とも購入するべし!
©️優し異世界シリーズ/電子書籍版全⑬巻/¥0
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?