"スネア抜き"について【ボカロリスナーアドベントカレンダー】
こんにちは!!!
今年もボカロリスナーアドベントカレンダー、始まりました!!!!!!
そんなわけでこの記事は「#ボカロリスナーアドベントカレンダー2023」の参加記事となります。こっちは裏!
今回は、というか今回も。ドラムの話をしていきたいと思います!!
記事タイトルの通り"スネア抜き"について。
カッコ悪い名前だなと思ったあなた、慧眼です。これ私の造語です。だって調べても名前付いてなさそうだったんだもん・・・。
この"スネア抜き"というのがどういうものなのか話していこうと思います。
"スネア抜き"とは?
まずは結論から。
読んで字のごとく、「スネアを抜いたリズム」のことです。
「スネアって何?」と思われた方は、ぜひこちらのシリーズを読んでみてください。この先ハイハットとかバスドラとか出てきますが、それらについてもこのシリーズ内の記事で解説されています。
ちなみにスネアについて解説している記事はこれ。
"スネア抜き"の効果
次に特徴的な例を挙げつつ、スネア抜きによって曲にどんな効果がもたらされるのかを解説しましょう。
この曲でいうと、注目すべきは2番Aメロです。時間にして2:02~2:19でスネア抜きが使用されています。
はい、抽出しました。後のセクションも比較のために聴いてほしかったので、2:12~2:26の部分を採譜しています。
このうち静かになる前の前半部分がスネア抜きですね。そして後半が8ビートです。
上に貼ったシリーズで書いているように、ドラムにはいくつかの部位があります。そして、その中でも最も曲中で使われ最も存在感があるのがスネア。このスネアがあるかないかではドラムにかなりの違いが生まれます。
スネア抜きという技法を使うことによって、曲に変化がつきます。どんな変化かと言うと、ピンポイントで捉えるなら当然「スネアがなくなる」という変化です。そしてスネアがなくなることで何が起こるか?ちょっと静かな印象になります。
この曲では、1サビを終えて短い間奏を挟んでからこのスネア抜きの2番Aメロに入っていますね。サビで上がりきったテンションをここで一度落ち着けるような意味合いがあります。そしてこの後通常の8ビートに戻ることで仕切り直し、というわけです。
前に「半テン」や「倍テン」といったものの解説をしましたが、これらはリズムの変化です。対してこのスネア抜きはボルテージの変化。スネア、バスドラ、ハイハットの3点セットのうちいずれかを抜くでもボルテージの変化が見込めますが(つまり、"バスドラ抜き"と"ハイハット抜き"も存在します)、中でも特に変化が強いのがスネア抜きです。
たとえば途中で歌だけになって演奏が止む、といった展開になる曲を聴いたことはありませんか?効果の方向性はこれと一緒で、純粋に音の数を減らすことでインパクトを薄め、曲の熱量を落とそうという試みになります。
"スネア抜き"の具体例
他にも具体的な曲を聴いてみましょう!
該当部分:0:13~0:24、1:21~1:32、1:44~2:06
この曲はAメロでスネア抜きが使われていますね。静かな立ち上がりからだんだん盛り上げていってサビに繋げていく、という流れの曲で使われることが多いです。特に近年はこの構成をよく見る印象がある、頻出の曲展開です。
余談ですが、この曲はAメロ以外にギターソロでもスネア抜きが使われています。他を静かにすることでよりギターを目立たせる狙いなのでしょうが、全体のおよそ1/6を占めるギターソロの全体でスネア抜きを使うのは、なかなか大胆な展開だと思います。これを演奏するギタリストはさぞ緊張することでしょう。
該当部分:1:02~1:14
こっちはBメロで使われているパターン。Aメロとサビの間であえて勢いを落とすことで、Aメロからの変化を生みつつもサビで一気に盛り上げる"タメ"としてスネア抜きを採用しています。
こちらもAメロでのスネア抜きと同様、非常によく見る傾向の展開です。
該当部分:0:00~0:13、2:26~2:31
この曲では冒頭と落ちサビで使われています。
冒頭でスネア抜きを使うのは、Aメロで使うのと同じ要領ですね。本格的にイントロを始める前のタメとして使っています。
そして落ちサビ。落ちサビとは盛り上がりを落としたサビなので、同じく盛り上がりを落とす効果のあるスネア抜きは非常に相性が良いんです。
該当部分:0:20~0:32、0:39~0:52、1:43~1:49、1:58~1:59
1番目の例と同じくAメロでスネア抜きが使われている曲ですが、先ほどの例と一番違うのは1番Aメロの最初ですね。0:20~0:26の部分ではスネアどころかハイハットなどのシンバル類も抜けています(厳密には、このAメロではハイハットの代わりにライドシンバルが使われています)。そして、その後にはライドシンバルが参加した状態でのスネア抜きとなっており、スネア抜きのパートの中でも音の増減によって展開を持たせています。
該当部分:0:19~0:33、0:50~1:00、1:59~2:10
直前の例はシンバル類も抜けてバスドラのみとなっていましたが、この曲では逆にバスドラが抜けてハイハットのみとなっています。このパターンもあります。
バスドラもなくなってさらに音数が少なくなるので、かなり静かに聴こえますね。この曲のようなスローテンポなバラード系の曲に使われることが多く、他にも細かいニュアンスの違いをドラムで表現したい時に使われている印象です。
該当部分:0:41~0:51、1:47~2:00、2:27~2:33、2:40~2:56
最初に紹介したのと同じく、Bメロでスネア抜きが使われていますね。ただここで注目したいのはそこよりも3つ目の、2:27~2:33の部分です。他に挙げた曲たちと比べて最も大きく異なる点、それは4つ打ちでないことです。これまでの例は実は全て4つ打ちだったんですが、気付いていましたか?既に気付いていたという方はとても鋭いです。
スネア抜きだからといって、必ずしも4つ打ちになるわけじゃないよ!ということを言いたくてこの曲を貼りました。4つ打ちにすると均等なバスドラからリズミカルな印象を与えるので、それを回避して細かいニュアンスを表現したい時に使われるパターンになります。
まとめ
以上、"スネア抜き"という概念についての解説でした~。
このリズムはバンドサウンドの曲では特に、それこそ「半テン」や「倍テン」に匹敵するくらいよく出てくるパートだと思うんですが、不思議と文章で解説されているところを見たことがありません。だったら誰かが解説しないと!と思い筆を執った次第です。
もしかしたらちゃんとした用語名があって、それを私が知らないから出会えてないだけなのかもしれませんが・・・。もしこれについての正式な用語を知っている方がいたら、こっそり教えてくださいw
ちなみにですが、今回の記事であえて説明を放棄しているところが2箇所あります。その話に触れるだけでもうひとつ記事が書けそうなボリュームだったり、それを説明するにあたって別の事前解説を用意する必要があったりで今回は省かせてもらいました。曲を聴きながら読んでいて「あれ?ここはどういうこと?」と思った人がいたら、そこはもしかしたら私が省略した部分かもしれないです。ナイスセンス。
それらについては今後順を追って説明できたらなーと思っていますが、ひとまず今回の"スネア抜け"の解説としてはこれで完結ということで!
いつも言っていることですが、それ以外の些細な部分でもわからないことがあったり、「ここは違うんじゃない?」と意見したいことがあったらぜひコメント等で教えていただければと幸いです。
はい、というわけで #ボカロリスナーアドベントカレンダー2023 参加記事、「"スネア抜き"について」でした!
この記事は12/1のゆるめ枠(2枠目)で、次の担当は苔氏さんです!
ちなみに1枠目となる本枠で次の担当は私です(!?) 自分で自分にバトンタッチ。
アドベントカレンダーはまだ始まったばかり。みんなで書くのも読むのも楽しみましょう!!
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