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4つ打ちって何?【ボカロリスナーアドベントカレンダー】



突然ですが問題です。


この曲のサビは4つ打ちでしょうか?



・・・答えを出す前に、4つ打ちについて少し紐解いていこうと思います。



4つ打ちとは

Wikipedia先生曰く、こうあります。

4つ打ち(よつうち)とは、主にダンス・ミュージックにおいてバスドラムにより等間隔に打ち鳴らされるリズムのことを指す。曲の中でバスドラムを使い、1小節に4分音符が4回続くリズムであることからそう呼ばれる。ディスコとエレクトロニック・ダンス・ミュージックで多用されるビートである。簡単に言えばダンス・ミュージックにおいて「ドン・ドン・ドン・ドン」と延々と低い音が入っていれば、そのことである。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

たとえば4つ打ちでないリズムに8ビートがありますが、その代表的なものに「ドッタンドドタン」ってやつがあります。ここではバスドラムは「ドッ」「ドド」の部分(正確には「ド」が2つ分です)になるのですが、「ドッ」と「ドド」で差異ができていることからわかるように、等間隔に鳴らされていません。
だからこのリズムは4つ打ちじゃないよ、ってことですね!


4つ打ちの例を挙げてみましょう。

この曲はバスドラム(以降バスドラと呼びます)が鳴っている時は常に「ドン・ドン・ドン・ドン」とひたすら等間隔になっています。まさに引用文のとおりですね。
PVではバスドラを叩くのと同じタイミングで女の子が足をトントンって動かしていて、非常にわかりやすいです。


4つ打ちはロックでもよく用いられます。

シニカルナイトプランと比べてキメや空白部分が多いですが、基本的に等間隔でバスドラが鳴っています。Cメロ後の『は?』の場所~ラスサビ直前までの地帯以外は全部4つ打ちかな?


この曲のサビ等で登場する、「ズッチーダッチー」というリズム。ドラムだけ抽出したものを貼りましたが、これが4つ打ちロックでは頻出のリズムになります。


ですが、「ズッチーダッチー」のリズムが必ずしも4つ打ちというわけではありません。


何言ってんだ当たり前だろと思う方もいるかもしれませんが、これが今回の記事の本旨であり一番重要なところなので、もう一度言います。

「ズッチーダッチー」のリズムなら必ずしも4つ打ちというわけではありません。






ここで冒頭の質問に戻ります。
この曲のサビは4つ打ちでしょうか?


答えは、「4つ打ちではない」です。


ドラム部分を抽出しました。
そこで、先ほどの4つ打ちの定義に立ち返ってみましょう。

4つ打ち(よつうち)とは、主にダンス・ミュージックにおいてバスドラムにより等間隔に打ち鳴らされるリズムのことを指す。曲の中でバスドラムを使い、1小節に4分音符が4回続くリズムであることからそう呼ばれる。ディスコとエレクトロニック・ダンス・ミュージックで多用されるビートである。簡単に言えばダンス・ミュージックにおいて「ドン・ドン・ドン・ドン」と延々と低い音が入っていれば、そのことである。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

大事なのは”バスドラが均等に鳴っているかどうか”です。
ドラムを抽出したものを聴いてみてください。どうでしょう、均等に鳴っていますか?鳴っていませんよね。3つ目のバスドラが半テンポ早く鳴っています。
だからこの曲は4つ打ちではないのです。たとえ「ズッチーダッチー」のリズムだったとしても。

もし「ズッチーダッチー」を4つ打ちだと考えている人がいるのであれば、それは4つ打ちとしてこのリズムがよく使われるため、そして「チー」の部分が聴き取りやすいためにそう考えるんじゃないかと私は思っています。
この「チー」は、裏拍で鳴っているので”裏打ち”もしくは単純に”裏拍”と呼ばれるものです。4つ打ちでかつズッチーダッチーのリズムをしているものは、”裏拍4つ打ち”となります。”裏拍”かつ”4つ打ち”だから、単純ですね。この裏拍4つ打ちが本当によく聴くリズムパターンで、4つ打ちと言われてみなさんが最初に思い浮かべる曲のほとんどがこのパターンになる、と言っても過言ではないくらいです。




本文が終わったので、以下余談です。

「4つ打ちって言ったらズッチーダッチーしてるやつのことでしょ?」という認識をしている人と以前会ったことがあるのですが、「もしかしてこういう考えの人が多いのかな・・・」と思ってこの記事を書きました。いずれ文章にしようかなーとは考えていたので、いい機会でした。

ちなみに冒頭に貼ったアンハッピーリフレインの作者であるwowakaさんですが、自身のバンドであるヒトリエでも「裏打ちだけど4つ打ちじゃない」曲を多く出しています。

該当部分:イントロ

該当部分:イントロ

該当部分:サビ

該当部分:イントロ


投稿されてる曲をサッと見ていっただけでこれだけ出てきます。
wowakaさんは、4つ打ちでない裏打ちのリズムを高BPMで実現した曲が多く、それがwowaka、ヒトリエのアイコンに近いものとなっている印象です。

wowakaさん以外のボカロ曲で4つ打ちでない裏打ちを探すと、こんなところでしょうか。

サビ前半

イントロ、サビ

イントロ、Aメロ

wowakaさんの影響か、ボカロ曲でも割と散見されます。邦楽でも聴くことはありますが、基本的にここまで高BPMではないですね。
夜咄ディセイブくらいの速さならほとんど不自然さがない印象です。




余談が終わったので、以下余談の余談。

今回いちばん言いたかったのは「ズッチーダッチーでも4つ打ちでないリズムが存在する」ということですが、逆に「ズッチーダッチーでないけど4つ打ちのリズム」も存在します。

たとえば、16分のビートがあります。擬音で表すなら「ツクツクタクツク」って感じでしょうか?この曲で言うなら、イントロやサビなどが該当します。
16分というのは、8ビートよりも倍の手数があるってことですね。ただ、裏打ちではありませんがこのリズムもまたダンスビート(とりわけロックで)としてよく使われるリズムです。「ズッチーダッチー」でこそないものの、同じようなノリを持ってると言うことができます。



次です。私が勝手に造った概念ですが、シャルルビートもまた4つ打ちです。手前味噌・・・。

『嫌 嫌 嫌』あたりのサビ後半なんかはわかりやすく「ズッチーダッチー」ですが、シャルルビートとなるイントロ、Aメロ、サビ前半も実は4つ打ちです。



また、裏拍4つ打ちでなく、表拍4つ打ちというのも存在します。

この曲のサビが表拍4つ打ちですね。
表拍となると、「ズッチーダッチー」の「ズッ」あるいは「ダッ」と「チー」が一緒のタイミングで叩かれるリズムです。本来4つ打ちの「チー」のタイミングで叩かれていた場所で音が鳴らなくなるんですね。ですので、音が詰まってる感じが少なくなり、開放感が生まれます。

この曲ではアウトロ前半で裏拍4つ打ち→アウトロ後半で表拍4つ打ちと移行するのですが、先述の効果から表拍4つ打ちに入るところで開放感が得られるんです。音数が少なくなり、曲を爽やかに締めるのにふさわしい展開です。





以上で余談も終わりです。

途中でも書きましたが「裏拍で叩いてさえいれば4つ打ちだ」とうっすら考えてる人がもしかしたらいるんじゃないのかな?という人がいるかもしれないなと思って書き始めた記事でした。

「4つ打ちってよく聴くけど実はよくわかってなくて・・・」って人がもしいたら。もしくはクリエイター側で「ノリで作曲してたけど4つ打ちってちゃんと把握してるわけじゃないんだよな」って人がもしいたら、参考にしてくれたら幸いです。
これでみんなも4つ打ちマスター!胸を張って4つ打ち大好きですって言おうな!





*こちらは #ボカロリスナーアドベントカレンダー2021 の参加記事になります。
今回は2回目なので第2会場からの参加です!!こちらは日程関係なく登録してOKなので、書きたい気持ちがちょっとでもある人は空いてる日に登録していこうな!!


こっちは第1会場





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