幼少期からのIB教育は子供にとって幸せなのか?
娘の学校では、定期的に学校のアップデートや学年毎にカリキュラムの内容を保護者に説明する会、各国の行事イベントなど保護者が参加できる機会があります。
先日参加した「幼児教育における遊びから得る学び」についての会でとんでもない気付きを得たのでnoteに書いていきたいと思います。
こんな方たちにお勧めです。
・英語教育に注力しているけど将来どう活かせるのか悩んでいる
・インターナショナルスクールは日本と海外でどう違うのか知りたい
・日本の義務教育を通して育った子供が世界に出ていく時に必要なスキルを知りたい
・子供が学校に行きたがらない、あるいは不登校になってしまった、今後の選択肢を知りたい。
などなど、インターナショナルスクールに通っている方もいない方も、
「結局子供にとって幸せな学びの環境って何だろう」という話です。
学校ではどんな授業をやっているのか?
娘は現在、4−5歳児クラスに在籍しておりますが
学年としては下から3つ目。
主に一つ下の3-4歳児クラスとほぼ同じカリキュラムになっていて、来年はkindergartenに上がる。
カリキュラムの内容を見る限り
朝8:15-14:45まで、40分1コマの授業が日によってスケジュールされている。
主に1週間で行う授業の内容は以下の通り
・Art 3コマ
・Swimming 2コマ
・Mandarin(中国語) 4コマ
・Music 3コマ
・PE(運動) 2コマ
・Library(本を選び、借りる)1コマ
・Messy play(はちゃめちゃ遊び)2コマ
・Host Nation(マレーシアに関する事やマレー語)1コマ
それ以外の時間は、全て遊びの時間。
5歳の娘の場合、大体一日の半分は一人遊び、もしくは集団遊びの時間です。
勉強ではない授業の内容とは
娘に話を聞く限り、学校では「お勉強してないよ?」とのこと。
そんなはずない、、と思って先日、parents meetingという2者面談があったので各教科の先生と授業の内容や娘の様子について聞いてみた。
すると納得の回答。
例えば授業の内容はこんな感じ。
PEのクラスではボール遊び、紙飛行機飛ばし大会
swimmingでは、でっかい浮き輪だったりおもちゃで各々好きな遊び
mandarinでは中国語の歌を覚えたり簡単な挨拶などなど
musicでは木琴を叩いて遊ぶ、各国の歌を選んで歌う
HostNationではマレー語で色と数字を紙に書いた「ぱくんちょ」を作ってきて、家に帰ってからもそれでずっと遊んでる。
そして、週に一度のmessy playではスライムだったり、粘土だったり、絵の具や水遊びだったり、とにかく家ではできないmessyな遊びをして服を汚して帰ってくる。
これは子供にとっても一番好きな時間で、毎回違うテーマで準備してくれるので学校には感謝しかありません。
遊びから得ている学びとは
ではそんな遊びからどんなスキルを習得しているのか。
そこで先日、保護者向けに開かれた「IB教育における幼児期の学び」をテーマにIBのPYP(幼児教育)専門の講師と話す機会に参加してみました。
主に2歳〜6歳くらいの子供を対象にした会だったのですが、
なんと参加したのは私含めて保護者3名。
学校側の先生1名。計4名の非常にこじんまりした会。
朝8:15-9:15という非常に早い時間帯なので、
(子供をdrop offしてから参加するため)毎回コーヒーと紅茶、ちょっとしたsnackがあるのが非常にありがたい。
まずはコーディネーターからPYP(IBの幼児教育)の説明。
一人遊び〜少人数〜集団遊びにおける学びの変化など
それぞれサンプル写真をみながら「子供が何を学んでいるか」について話合うのですが、例えばこのような写真。
ex)シャボン玉を吹いて遊ぶ子供
→シャボン玉液をつけることで液体が風船玉状になる
→空気よりも軽いので風に煽られて飛んで行く
→中身は何でできているんだろう?
→吸ったらシャボン玉はできない
→万が一口に入ってしまうと苦い味がする
などなど。これ一つだけでもこれだけの学びがあります。
そして次第に、ひとり遊びから、他者との関わりを要する遊びへとシフトしていくとより高度なスキルを身につけていく。
ex)お買い物ごっこ
計算能力、交渉スキル、荷物の重さ
ex)おままごと
レシピの段取り、加熱によって食べられるかの判別、適切な配膳
などなど、あまりちゃんと考えてこなかったけど
遊びって深いなぁ、、と漠然と素人ながらに思いました。
そして何より一番刺さったこと言葉が
”子供は皆、自由であること”
子供たちは、先生や親にあーしろ、こーしろと言われながらルールを覚え、社会秩序も守りつつ遊びを通して学んでいくわけですが、大前提として子供達は皆「自由であること」がまず確立されていないと、遊びから得られる学びを最大限吸収することができない。
なので大人がまず第一に子供の自由を尊重すべきであるということでした。
特に一人遊びの段階では、遊んでる姿を見ると思いもよらない行動にでる子もいます。
そんなとき、親の役目としては危険を回避し、あとは見守るだけでいいと。子供はその自由が確立された遊びの中で、学び、自信をつけているのだということでした。
私は娘に対して、これまで「あれはだめ、これも危ないからだめ、、」とNGばかりを告げてきた為に警戒心の強い、いい意味では「手のかからない子」に育った一方で、チャレンジングな性格には育たなかったのかなと、少し後悔しました。
他のプログラムに置いてもそうですが、これからIBのプログラムを学んでいく上で特にこの「自信」というのは、探究心を求められるテーマにおいては一番大事な部分と言っても過言ではないくらい、必要不可欠であると感じたのです。
他国の親の悩みとは
その会に参加していたのは、フランス人のお母さんとインド人のお父さん。
ざっくばらんに話をする中で、外国人が他国で子供を教育する上での苦労や葛藤を知ることになりました。
まず、第一に共通点として自分たちの子供(3-5歳)が
母国語は「話せる、聞ける」けど「読めない、書けない」
このままマレーシアで育てるとしたら、もし母国に帰った時に、自国の学校のクラスに追いつけないのではないか、、。
個人的に、日本語は欧米系の言語と比較して発音も違ければ字体も異なるため特にその悩みが顕著だと思っていたのですが、他の国でも状況は同じようです。
特にインドなんて、同じ国内でも400言語以上あるというのだから、もはやその中の一つを1言語にカウントにしてたらキリがない。。基本はもうごちゃまぜだよ!ミックス!!だそうです(笑)
ある意味、インドで生きていく上では言語の壁なんてないのかもしれない。
(余談ですが私も大人になってからインド人の英語にはかなり苦しめられた経験があり。。全く英語に聞こえないけど兎に角早口&本人たちは英語喋ってる感を強烈に醸し出していてインド人同士はそれで通じ合ってる。。すごい世界だ。)
それを聞いた講師も「そうだよね」と苦笑い。
その後、そのインド人のお父さんの話に胸を打たれたのです。
ホームスクールを希望するインド人の父親
「そもそも子供の教育はホームスクールでいいと思っていた。なぜなら、その子独自の考えや、やりたい学び、必要な学びが効率よく学べるから。ホームスクールであればテストの点でいちいち周りと比較することもなく、その子が潜在的に持つスキルを集中して伸ばせる。でも、やはりどこかで他者との関わりが必要だと感じていた。その点において、学校というのは子供にとって必要な場所であると私は考えたのだ。そしてこのIB教育をしている学校に、遠くから通わせることになって、幼少期こそ一人遊びがメインだったし、コロナ禍ではそもそも学校がクローズしていたから、友達との関わりというのは本当に最近になってから、少しずつ経験しているのだと思う。」
簡単にまとめるとこういった内容の話をしていた。
今まで私の頭の中に”ホームスクール”という文字は全くなくて、
それこそ日本だと学校にいけない理由がない限りはホームスクールなんて選択肢としてないものだと思っていたけど、世界は違った。
「ホームスクールが世界では最先端を行ってる」という話はチラッと聞いたことがあったけどその理由や親の考えというのを初めて知ったので目から鱗。
そして、今まで自分がいかに他者との比較でしか、教育の良し悪しを判断できていなかったんだなと思い改めることとなった。
そのインド人のお父さんに、「自分の息子に将来どういう道に進んで欲しいのか?」と聞いてみたところ返事はこうだった。
「今のところ彼(息子)は、家で端から端まで車を並べて遊んだりしていて、私はそれをずっと見守っているんだ。一人の時は集中しているけど、私が何か質問したり、声をかけると急にシャイになって上手くできなくなる。だからきっと彼は何か集中しながら物を作ることが得意なような気がしている。それがエンジニアなのか、科学者なのかはわからないけどね。」
お父さんは、子供の遊びを見守りながら何が得意で、どんなスキルを伸ばしていくべきかを明確にしていた。
しかも子供は5歳で、まだ世の中知らないことの方が多いし「まずは色々経験させてみよう」と一般的には考える親が多いはずだけど、そのお父さんに関して全く違った。
”なるべくその子が得意なことを伸ばそう”
これは、インドに生まれて、世界各国で仕事をしてきた上で最終的に今マレーシアに拠点を置いて生活しているお父さんの人生観が大きく反映されているのかもしれない。
奥さんとも教育面でよく議論になるよ、と言っていたけれど二人の意見で共通していることは「子供自身にとって一番快適な学びの場を選択をしよう」ということでした。
子供が一番幸せな学びの環境とは
・大人になってからアドバンテージになるから語学をやらせたい
・受験勉強のために睡眠時間を削ってまで勉強をさせたくない
・学校の授業を蔑ろにしてまで塾に通わせたくない
これも全て親心ではあるけれど、結局そこに子供の意思が反映されてなければただの親のエゴだということをインド人のお父さんの話を聞いて今回改めて痛感しました。
私が思うに、子供が幸せな環境で学べているかどうかは
「チャレンジしたこと、できるようになったこと、失敗したこと」など、
学校で起こったこと全てを経験として自信に繋げられているかどうか
で判断するのが一番わかり易いのではないだろうか。
これは5歳の娘に対してもそう思うし、やがて学年が上がって高校生になった時でもその尺度は判断基準として間違っていないと思う。
もし子供自身が納得するような学びの場でないのであれば、カリキュラムや学校を変えるべきだし、別の国に学びの場を移すのもあり。ホームスクールだって、youtubeで独学で勉強するのだって今の世の中合理的な選択だと思う。
学びの良し悪しを学校だけで判断するのは危険で、
なぜなら特にインターナショナルスクールの場合、生徒や先生も常に変化するので、その時々で子供にとっての学校の評価点は常に変動しているから。
反省というか、ただただそのインドのお父さんの話が衝撃で、そういうマインドって親の私から見ても学ぶことが多い。
異文化とはまさにこのことで、自分たちとはバックグラウンドも生きてきた世界も何もかもが違う外国人の保護者の意見を聞くことは娘が学校で学ぶことと同じくらい価値がある。
今後もなるべく保護者と関わる機会があれば参加をしていきたいし、インド人だけではなく、中国人、韓国人、の教育マインドを知り得る機会があると思うのでその時には必ず書き留めておこうと思います。