トレンチコートの話
トレンチコートを着こなしたいと、ずーっと思い続けている。時々買うも、やっぱり着こなせないコートそれがトレンチコートである。
トレンチコートを着ない理由は簡単でそれに合わせる服がないからで、制服っぽい服を着ているが、それにトレンチコートを合わせると何故だかわからないが就活生風に見える。バックの中にありもしない筈の履歴書をしたためていそうに見えるのである。
しかし、実際は就活世代の親世代の顔をしているのでフレッシュさのない顔だけが浮く。三つの年号を知ってる感じが、就活生風のファッションを容易く寄せ付けない。
そうなるとパリジェンヌみたいにボーダーに色落ちデニムを合わせて、足元は赤いバレエシューズに緩めのポニーテールをして、トレンチコートをさっと羽織りブランドのポシェットをさりげなく下げてアクセントにとかなんだろうけど、これはこれで何か狙い過ぎてて気恥ずかしいし、今述べた殆どのアイテムを持っていない。
着こなしたい気持ちと裏腹に、どうしても着こなせないもの、それがトレンチコートである。
何故ここまでトレンチコートが好きになったのかは自分でもハッキリとわかっている。
冴羽獠が昔着ていたのが、格好良くてその記憶がトレンチコートを素晴らしい物だと刷り込んだのである。トレンチコートは元々が軍服だけの事はあり冴羽獠は本当に誰よりも素敵に着こなしていた。
しかし、私にはチェスターコートの方が似合うようで、チェスターコートを着ていて褒められた事はあってもトレンチコートを着ていて褒められた経験はない。
なのにトレンチコートの呪縛からは中々逃れられない。
バーバリーの裏地がチェックのがお洒落だとか、アクアスキュータムのが本格的だとか聞くけど、流石にその辺のお高いのを買う勇気はないが、トレンチコートカッコいいなと思い続けている。
ただ、私が着なくても着てる人が周りにいたらそれで良い気もしている。憧れとはそーゆーものかもしれない。