総合通販とは?単品通販との違いや運用に必要な知識を紹介
昨今オンラインショッピングの人気が高まる中、単品通販と総合通販という言葉を耳にすることがあります。単品通販と総合通販は様々な部分で違いがありますが、今回は総合通販の概要に関して説明いたします。
総合通販とは
総合通販とはその名の通り、様々な商品を取り扱う通販のことです。特定のジャンルや商品に絞ってリピートを主軸とする単品通販とは異なり、単独のジャンルに特化して販売していないため、見込み顧客を属性から予測することは難しく、広告・宣伝においては多くのユーザーにアプローチする必要があります。
自社ECサイトは企業や個人が独自に管理する販売プラットフォームであるのに対し、ECモールは複数の企業が一つのプラットフォームで共存するオンラインモールです。具体例としてはAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。単一の企業が独自に運営し、商品やサービスを所有・管理するプラットフォームの自社ECサイトとは対照的に、ECモールはマーケットプレイス型ECモールとテナント型ECモールの大きく2つに分類されます。
前者の具体例はAmazonです。各ショップはモールに「出店」するのではなく、商品を出品します。ユーザーからみて、マーケットプレイス型のECモールではテナント型ECモールに比べて各ショップの独自性は見えづらいです。
後者の具体例は楽天市場とYahoo!ショッピングです。イメージとしては、大型のショッピング施設。モールサイトは施設そのものの建物。その中に、各ショップがそれぞれ店舗を構えて運営する。マーケットプレイス型と比べると、テナント型のECモールのほうが店舗のオリジナリティを出しやすいです。
ECモール5社の比較
国内で特に利用者が多い大手ECサイトを中心に、それぞれの特徴を以下に記載いたします。
楽天市場:日本にECサイトが普及し始めた90年代後半からスタートしている老舗ECモール。連携している楽天カードのポイント還元率の高さが人気で、ほかにも多数の連携サービスがあり、多くの会員を獲得しています。すでに知名度が高く、集客力は高いです。また、出店には厳しい審査基準が設けられているので、ブランド力もキープされています。定期的に開催される「お買い物マラソン」・「スーパーセール」などのキャンペーンもユーザーからの人気が高く、ショップにとっては売上アップのチャンスが多いプラットフォームです。
Amazon:マーケットプレイス型の代表格ともいえる存在のECモール。Amazonの特徴の1つといわれるサービスが、「フルフィルメント by Amazon」、通称FBA。EC販売で発生する業務、保管・梱包・出荷・配送・返品を一貫して行うシステムです。商品は1つからでも出品がOK。ショップとしての体制が整っていなくても、簡単にオンライン販売をはじめられるため、個人で出品している人も多いです。
Yahoo!ショッピング:ヤフー株式会社が運営するテナント型のECモール。初期費用・月額固定費・売上手数料が0円が特徴。短期間だけの出店も可能なので、ポップアップ的にネットショップを開きたい事業者にもおすすめです。
au payマーケット:KDDIグループが運営する総合ECモール。ポイントの還元率が高いのが特徴。auユーザーなら購入金額に応じて利用料金が割引になるなど、通信サービスと連携したユーザーの囲い込みに注力しています。
Qoo10:比較的若年層の女性向け商材の販売がメインのモール。運営元は世界有数のマーケットプレイスのeBay Japan合同会社なので、越境ECとしての強みを持っています。
単品通販との違い
総合通販は、単品通販と様々な部分で違いがあります。
例えば単品通販は特定の商品カテゴリーやブランドに絞り、主に化粧品や健康食品など日常的に使用される消耗品を取り扱います。これに対して総合通販は、家具から服飾雑貨、化粧品に至るまで複数の商品カテゴリーを扱います。
また、単品通販は取り扱う商品数が少ないため、商品開発や広告宣伝にかかる労力やコストも小規模で済み、運営をスモールスタートしやすい特徴があります。一方、総合通販は、取り扱う商品の数が多いため、仕入れ費用や商品の在庫・状態を管理するための費用が発生してしまい、初期投資額がかかりやすいです。
どちらにもそれぞれ利点と課題があり、事業者は市場ニーズや運営リソースに応じて適切なモデルを選択することが重要です。
モール型ECのメリット・デメリット
ここでは、総合通販のメリットとデメリットを解説します。
メリット1:集客力が高い
ECモールは楽天市場やAmazonなどのモール自体の知名度が高く、オウンドメディアやSNSに力を入れなくても一定数のアクセスを獲得できるため、集客がしやすいです。
メリット2:簡単にECサイトを作ることができる
あらかじめ用意されたテンプレートを使用することで自社のショップページの作成が可能なため、構築期間やコストを抑えることができます。
メリット3:決済方法が充実している
クレジットカード決済をはじめとする電子マネー決済、コンビニ支払い、銀行振込、代引取引など幅広い決済方法に対応しています。
メリット4:実店舗がなくても始めることができる&個人でもスタートできる
事業者登録をすればすぐにショップページを公開できるため、個人でも簡単に始めることが可能です。
デメリット1:販売手数料や月額利用料などのランニングコストが高い
出店料やシステム利用料、在庫管理費など様々なランニングコストがかかるため、一般的に自社ECサイトと比べて管理費が割高になる傾向があります。
【参考ページ】
楽天市場:https://www.rakuten.co.jp/ec/plan/cost_detail/
Amazon:https://sell.amazon.co.jp/pricing
デメリット2:出店しやすいため競合が多く、価格競争が起きやすい
企業担当者だけではなく個人でも簡単に出店できることから、競合が多く価格競争が起きやすくなります。競合よりも優位に立つために価格をむやみに下げ、結果的に粗利が少なくなってしまうケースもあります。
デメリット3:ブランディング効果が薄い
ショップページを簡単に作成できることがメリットである反面、自社ECサイトとくらべてカスタマイズ性にかけるためブランディング効果が薄くなる可能性があります。
ECサイト運営の利益構造
ECサイト運営において、商品の利益の把握が大事です。商品単位で、「どの商品が利益を生むのか」「どの商品が赤字の原因になっているのか」を考えることで、全体的な黒字・赤字の課題となる部分が発見しやすくなります。特にECサイトで商品1個を販売したときの利益である「限界利益」が大事です。
上記の図のように、3,000円で商品を販売しても最終的に残る利益が650円と少ないことがあります。総合通販は、1つ1つの商品の利益は少ないものの、大量の商品を販売して利益を伸ばす薄利多売のビジネスモデルです。そのため、利益を上げるには集客力を高くし、多くの商品を売る必要があります。
ここに総合通販の難しさがあります。
ECサイト売上の方程式
ECサイトの売上は「アクセス数 × 購入率 × 客単価」の掛け算で表すことができます。売上目標に対してどの要素が足りていないかを把握し、それに対して適切な対策をする必要があります。例えば、アクセス数を増やすためにはSEO対策や広告出稿、購入率を高めるためにはページの作りこみやインセンティブの付与、客単価を上げるためのクロスセリングやアップセリング戦略など、具体的なアクションを定めて、それぞれの成果を定量的に評価することが重要です。
最後に
ここまで、総合通販の特徴やメリット・デメリット、ビジネスモデルについて説明いたしました。
記事内でも触れた通り、ECビジネスにおいては、モール型ECサイトと自社ECサイトの特徴を理解したうえで、うまく使い分けることが大切です。
EC事業を新しく開始した企業や、新規顧客を獲得したい企業にはモール型ECサイトがおすすめです。ランニングコストがかかる点や価格競争の激しさなどに注意しながら、自社のビジネスモデルに合ったECサイト運営を目指しましょう。
追記
イーシーグロウカンパニーでは、社内で活発にナレッジ共有をおこない、クリエイター同士が互いに学び合う環境づくりを進めています。上記は新卒メンバーを中心におこなった勉強会の内容を要約したものですが、当日は積極的な意見交換がなされました。自分が足りない知識は、社内で助け合うことができる環境だと思います。
イーシーグロウカンパニーへの入社をご検討されている皆様のご参考になればうれしいです。