【決算】新しい事業モデルの成長余地は?サービス基盤を固めるための今期方針を解説します|メンバーズのIR note
2023年3月期(以下、前期)通期決算を5月10日に発表しました。
前期は、通期売上収益が堅調に推移し過去最高を更新しました。中途採用の強化などの先行投資の拡大により、営業利益は前期比23%減少となりましたが、第4四半期(4Q)単独では改善方針が進捗し、3Q比で成果型チームモデル提供社数は増加し、付加価値売上高の成長率も改善しております。
2023年4月より当社は二代表制に移行いたしました。
今回のnoteでは、決算発表後、投資家さまからいただいた質問と回答をご紹介し、新体制で始まる2024年3月期(以下、今期)および中長期的な成長に向けた方針についてご説明いたします。
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改善方針は着実に進捗
-2月に修正発表した通期計画を達成できた要因は
前期の下期より改善方針を推進し、新規および既存の案件が計画以上に増加したことで、2月に発表した通期修正計画を上回る結果となりました。
具体的には、製販分離による営業体制強化の成果が出始め、成果型チームモデル提供社数は116社となり、3Q末比で13社増加しております。また、事業やカンパニーを横断したサービスの提供も寄与しております。
これにより4Q単独の付加価値売上高の成長率は前年同期比20.7%増と、3Q単独の成長率17.7%増から加速しました。売上収益とともに過去最高を更新しております。
なお、付加価値売上高とは、「売上から外注費等を除いた、社内リソースによる売上」を示す当社独自の指標です。また、成果型チームモデル提供社数とは、「3名以上のデジタルクリエイター(DC)が顧客専任チームとしてお客さま企業のビジネス成果を追求しサービスを提供するお客さまの数」を表しております。
デジタル専門領域で成果型チームモデルを推進しDGTを確立
-統合による新しい事業モデル、『DGT』とは
今期より、顧客専任チームで企業のデジタルマーケティング運用支援を行うEMC事業と、専門スキルを有するDCを提供し企業のプロダクトやサービスのグロースを支援するPGT事業を統合し、新たにDGT(デジタルグロースチーム)サービスといたしました。
これまでは旧EMC事業が、主に大手企業向けにWeb制作・運用を成果型チームで提供する事業モデルで、市場におけるポジションを確立・拡大し、当社の成長をけん引してまいりました。
今後DGTモデルでは、需要の変化に対応し、旧EMC事業のお客さま企業に対して、旧PGT事業が中心となって展開しているWeb制作・運用以外の幅広いデジタル領域(非Web運用領域)を拡大する方針です(上図では横軸、左から右へ)。
加えて、旧PGT事業においては、これまで進めてきた成果型チームモデルへの転換を一層加速させ、お客さま企業1社あたりの売上・利益の最大化を図ります(上図では縦軸、下から上へ)。
具体的には、Webの運用にとどまらず、様々な専門スキルを持つクリエイターがチームとなって、お客さま企業のビジネス成果を追求します。デジタルマーケティングにとどまらず、お客さま企業のデジタルビジネスの運用を、DGTとしてお客さまに伴走し、内製化支援を目指してまいります。
-どのような領域で需要が高まっているのか
データ分析やSaaS製品の活用、UXリサーチ、EC支援、AI活用などのデジタル領域における運用に対する需要が高まっております。
旧EMC事業のお客さまからも様々なご要望をいただいており需要の強さを認識しているものの、提案しきれていないお客さま企業も多くあり、非Web運用領域の拡大余地は大きいと考えております。
-何が競争力となるのか
現在、専門カンパニーが15社あり、多様な職種・領域において専門スキルを持つDCがいることが競争力であり、成長の源泉であると考えております。
DGTモデルを確立するためには、後述する専門スキル育成と専門カンパニーの立ち上げによる非Web運用領域の拡大が肝となるため、これらの取り組みに注力してまいります。
専門スキル育成等により稼働率を高め、高成長・高収益モデルへ
-2023年4月に入社した新卒585名は、どのようにして早期に稼働させるのか
今期は新卒社員数が多いため配属時期を分散し、一部の社員は前期よりも早い1Qから配属する計画です。無償稼働※や、独自のサービスやソリューションを持つベンチャー企業等と連携した「実践型スキル教育」制度を活用するなど、早期に現場での経験を積むことを重要視しております。
新卒社員は、今期末の稼働率目標を90%と定め、一年を通じて稼働率を高めてまいります。
また、2022年4月以前に新卒で入社した2年目以降の若手社員は、スキル育成を行い、より高度な案件や専門スキルが必要とされる案件に移るサイクルで、稼働させる方針です。
-既存DCはどのように稼働率と単価を高めていくのか
お客さま企業の需要が高く、高成長が期待される先端技術領域において専門特化型カンパニーを年間4社以上立ち上げ、専門カンパニーに所属するDC数を増やし、稼働率および単価を高めてまいります。
今期末には、専門カンパニーに所属するDC数を700名に拡大する方針で、それに向けたスキル育成を推進しております。
今期より設置されたスキル育成本部が主導し、職種別の専門スキル認定制度によるスキルの可視化や資格取得などを促進し、専門特化型カンパニーへの配置転換を通じて、高稼働を実現してまいります。
-今期上期が赤字計画である理由は
今期の1Qは、新卒社員の人件費が計上されるものの、稼働は徐々に高まるため、例年通り営業赤字を想定しております。
上期においても、中途採用の強化など費用が増加するため営業利益はマイナスとなる計画です。なお、中途採用は前期下期より想定通り順調に拡大できており、今期以降も中途採用を戦略的に拡大してまいります。
今期計画につきましては、成果型チームモデル提供社数の拡大や既存案件の拡大等により利益率が徐々に回復すると見込んでおり、4Q単独では、付加価値売上高を前年同期比25%成長、営業利益率10%ペースを実現してまいります。
2025年3月期以降の本格的な高成長、高収益モデルへの転換を目指し、営業体制の確立、社員のスキル育成を実施してまいります。
二代表制で成長を加速させてまいります!
-なぜ今のタイミングなのか
2023年4月より剣持が代表取締役会長に、髙野が代表取締役社長に就任いたしました。二代表制とすることで、経営のスピードを高め、VISION2030の達成に向けて経営基盤を強化することが狙いです。
代表異動のタイミングについては、事業が順風満帆に進んでいる時よりも、現在のように減益となり、組織を立て直している時期の方が、新社長のリーダーシップを発揮しやすいため、最適なタイミングだと考えております。
また当社を永続的な組織にすることを考えた際に、社長は45歳前後で交代していくことが良いと考えていることや、VISION2030の実現に向けた節目である今、経営をさらに強固なものとするために、今回二代表制へ移行いたしました。
-それぞれの役割はどうなるのか
戦略策定や経営課題への対策は共に行い、次世代経営人材の育成は剣持が、業務全般の執行およびマネジメントを高野が担い、経営執行を加速させてまいります。
VISION2030の達成のためには社員がこれまで以上に主体性をもって事業に取り組む必要があると考えております。創業者のリーダーシップに頼らずとも、永続的にお客さま企業や社会に対する価値を創出し、企業価値を高めていける組織作りをしてまいります。
編集後記
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
前期通期決算では改善方針の進捗が見られたものの、当社の成長目標に向けた本格的な回復は道半ばであります。今期は、営業および人材育成の体制を確立し、新たな事業モデルの基盤を築くための施策を展開し、高成長・高収益モデルへ転換してまいります。
投資家のみなさまに有益な情報をお届けできるよう、IR活動を行ってまいりますので、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
今回の記事のほか、決算後のQ&A等をご紹介する記事は『メンバーズの決算を知る』マガジンにも揃えております。ぜひ併せてご覧ください!
最後に今回の記事や当社IRに対するアンケートにご協力をお願いします。
(担当:中島)