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ありがとう「ライザのアトリエ3」

「ライザのアトリエ3」、めちゃ最高ゲーでした。
 1はとにかくストーリーが最高で、2はストーリーこそ響かなかったもののゲーム性やグラフィックといった面においては確実に進化していました。そして満を持しての3は、2より更に進化したシステム・グラフィックを以て描かれるもっと広い世界で、1のストーリーが持っていた空気感を受け継いだ集大成の物語が展開されていきました。完璧じゃん。

 とりあえずネタバレなしの感想を少し書きます。

・グラフィック
 異世界ファンタジーと聞いて想像するもの、けっこう人それぞれだと思います。
 しかしこのゲームは欲張りなので、おおよそ全部あります。

(一部ちょっとミスっててキャラ調整モードの矢印みたいなのが残ってしまいました。いやそれはUIオフにしたら消えてくれていいだろ)(そしてクーケン島を撮り忘れている)

 観光だけでも楽しいのはいいゲームですね。switchでやったんですが、ps4や5だともっときれいなんですかね。
 あと街には犬や猫がいて撫でることができ、アイテムをくれます。良ゲーの証。

・ストーリー
 今作の物語は大きく三つの軸があって、「過去を知り、未来を描く」「隣にあるけど異なるものを、繋ぐ」「それぞれの知や力を、誰かのために使う」みたいな感じに纏められるかなと思うんですが、これが錬金術という要素一つから綺麗に枝分かれしていき、また戻ってくる、という形です。一つ一つのエピソードがしっかり描かれてキャラクターの中に意志として残り、大昔の錬金術師たちが残した負の遺産と対峙する最終ステージに、みんながそれらを持ち寄ってくるので、広げた風呂敷をしっかり畳み切ったという印象です。
 そしてキャラクター全員がいつも少しでも「良き人」であろう・になろうという気持ちで歩みを進めているので、見ていてつっかえるようなところがなく読み進められて心地よかったです。

 というかほんと、シンプルに面白かった! シナリオライターが1を書かれた『灼眼のシャナ』の高橋弥七郎氏復活ということで、シナリオ面に関しては期待していたんですが、それ以上のものを読めたと思います。

 エンディングテーマ「travelers」、確かソフトの発売と同時にストリーミングで聴けるようになっていたと思いますが、僕はエンディングまで聴かないでおこうと判断しました。これはね、大いに正解だったと思います。ネタバレというのとは少し違いますが、かなり核心的な「想い」が語られているので……

・キャラクター
 パーティに入れられるメインキャラは大所帯の11人。
 ……なんですが、1からずっとそうだったんですが、大所帯の扱い方がうますぎるというか、あるキャラを中心にして相関図を考えてみた時にどんな組み合わせでもそれぞれ違う関係性、共通点や対照的な面があって、おおよそ誰と誰を一緒に配置してもきちんと独自の物語が立ち上がってくるんです。
 たとえばライザなら、
 +レント、タオ、クラウディア:1からずっと冒険を共にしてきた4人組
 +レント、タオ、ボオス:幼馴染組
 +クラウディア:無二の親友
 +ボオス:島のことを見つめてきた二人
……と、同じ面々であっても誰かを足し引きしてみるだけで別の関係性のグループになります。
 フェデリーカなら、ライザは恩人、クラウディアやボオスとは商売の話ができて、パティとは年が近くて一番気安い友人、ディアンに対してはお姉さんな感じが出て……と。
 つまり大所帯でありながら、「固定グループ」感が薄いんですよね。もちろん最初の4人組やリラとアンペルみたいに、特に濃く描かれる組み合わせというのはそれぞれにありますが、全員が他の10人みんなと関係性を築いているよ、というのが不自然でない範囲で描かれ、それによってあまり描かれなかった組み合わせに対しても十分に想像をめぐらすことができるようになっていると感じます。これはすごいことですよ。

・システム
 1から思ってたけど、想像してたよりずっとバトルに力が入ってるんですよね。アトリエシリーズってもっとほんわかのんびりなイメージだったから面食らった覚えがあります。なんかのインタビュー記事で「調合したアイテムを結局どこで使うかというとバトルだから、そこには力を入れなければ」みたいなことを偉い人が言っていて、確かになとなりました。
 1の戦闘は正直けっこうもどかしい仕様で(溜めて溜めて一撃、みたいなそれはそれで考えること多くて面白かったですが)、2での大きな仕様変更により一気に爽快感の方へ伸びた印象でしたが、3もそちらの方向性に伸ばしています。
 楽しかった、ですがやっぱり改善の余地はまだまだあったんじゃないかな~~~と思わんでもないです、正直。やってるといつの間にか横で死人が出てたり、せっかく凝ってるモーションやエフェクトを見てる余裕があんまりなかったりもしました。

 パーティメンバーは5人まで、ですが条件を満たすと発動できるスキルにはパーティから外れたメンバーのそれも設定できますし、バトル中に差し込まれる会話も常に全員分から抽選されているので、みんなで戦ってる感はちゃんとあります。

 採取や調合はおおむね2の流れという感じ。
 新要素の鍵システムは、自分は難易度ノーマルでやったので、便利ではあれど必要性とまではいかなかったんですが、難易度上がるほど使いこなせないとまずくなっていくんだろうなという印象です。
 中ボスから鍵を取るのを忘れなければ、大抵何らかのめちゃすご鍵が手に入るので、それを持たせるなり装備品の調合時に使うなりすれば一気に戦力が整う感じですね。
 そもそも鍵というアイテムが単純にかっこいいからテンションも上がります。(そしてちゃんとシナリオ的にも「鍵」が印象深く出てくるんですわ。必然なんですよ、鍵であることは)



 以下、ネタバレありの感想です。
 上述のことで興味持ってくれた方はぜひプレイしてほしいです……がやっぱり1・2を踏まえてほしいのでボリューム的に今からお勧めするってのも気が引けます……けどやっぱり自分でプレイしてみてほしいです。できれば夏にね。
 1からずっと追ってきて本当によかったなってしみじみ思いました。





・システム
 タイミングよくボタンを押す、が微妙に難しくて、アイコンばかり注視していたので、モーションがあまりよく見られていないんですが、すごくアクロバティックな動きや派手なエフェクトが連続してなんかすげ~ことになってるなあとは思いました。
 ただやっぱり正直これは良し悪しでもある気がしていて、自分の操作キャラに集中してるといつの間にか横で他の子が死んでたり、いつの間にか相手の行動が始まってたり、若干「いま何が起きているのか」が分かりづらくなる要因でもあったのかも。ぼくがゲーム下手なだけかもしれないけど。

 一度コンテナがいっぱいになると結構いたちごっこというか、消費ペースより手に入るペースの方が圧倒的に多いのでうわ~~となりますよね。

 一か所だけ戸惑ったのは……ラスボスとその1つ前のボスというか戦闘、流れ的にほとんど連戦みたいな形なのにレベルが違いすぎない? なんとか倒せたしこのままラスボスまでいけるだろ! 思って突撃したら秒で消し炭にされたんだが。
 

・ストーリー
「あなたのために行う」ことが繰り返し描かれていた気がして、すごく印象に残りました。クラウディアはライザのために、パティはタオのために、リラはアンペルのために、レントはザムエルのために……お節介かもしれない、迷惑かもしれない、それでも間違いなくあなたのためなんだ、と。
 最近ってなんとなく、こういうのを独りよがりだとか結局自分が気持ちよくなりたいだけとか言って冷笑する方が多いように思いますが、この物語はそれをあたたかなものとして描いています。そういうのって大事だよな。

 根柢の部分になんというか……”慈愛”みたいなものが流れている物語だなって思いました。異界を脅かす恐ろしい生き物フィルフサも、言ってしまえば「そういう生態の生き物」であり、更に言えば被害者でもあったということが描かれていく。

 「万象の大典」一派がまあ悪者っちゃ悪者だったんだけど、彼らも結局とっくにそれぞれの旅に出た後で、与えられた使命のまま動き続けていた機械がラスボス、っていう。悪い奴をぶっ飛ばしてスッキリ! みたいな話じゃなく、いやまあだいぶ悪い奴ではあったんだけど、戦いの終わりはまるで弔いのようにしんみりしていたのが、このシリーズの決着に相応しいなって思いました。
(逆に言うとこのゲームが悪者ぶっ飛ばしてスッキリ! ではないだろうというところから、大典一派がもう都市にいなくてラスボスはシステム的なものだろう、と予想がついちゃった、というのはある)(でももうクエスト名が「一派の末路」みたいな感じで、あんまり隠すつもりもなかったのかも)

 特別な力を持った鍵をいくつも作って、色んな扉やら結界やらサプライポートやらを開けて開けて、からの最後にアトリエの扉を閉めて「ただの鍵」をみんなで持ってお別れする、っていうの、綺麗ですよね……

〈共には描けない未来へ せーの!で行こう〉ってすーーーごい歌詞じゃないですか……?? なかなか言えないよこんなこと

・キャラクター
 子供が大人になっていくのを描いているのはもちろんなんですが、アンペルにも試練が訪れたり、レントとザムエルの話にも決着がついたり、大人にも大人の物語があって、そのうえで大人になっても旅を続けて・始めてよいとするのが徹底していますね。

(ストーリーに直接絡みはしないにしても)1・2で出てきたひとたちがもれなく登場したり言及されたりして、きっちりとあのふたつの冒険を踏まえての今回なんだなというのが描かれていたのが嬉しかったです。

 ボオスの突然のプロポーズには本当にびっくりした……キロに対する感情がどのようなものなのか、ずっと明言やあからさまな描写を避けられていただけに、「ええ⁉」とマジ大声が出てしまいました。
 縁談がどうのでライザがどうのって話になった時、一瞬なんやかんやでそういう可能性も……? と思ったんですが、あんなことになるとは。
 
 個性豊かなキャラが11人、サブキャラ含めればもっとたくさんいるのに、そういえばいわゆる「大人のおねえさん」キャラが出てこないんだなって、ふと思いました。男を手玉に取りながら生きてるとか、パーティの男キャラに変な誘惑めいたことをしたり、女の子たちに変な知識を吹き込んだりする感じのやつ。いや、いなくて正解だと思います。(ていうか今ってそういうキャラいないもんなんですかね? あんまりRPGとかやらんから最近のことはわからん)(老人)

 これは百合のおたくとしてどうしても言いたいんですが、クラウディアの「錬金術ってものをつくるだけなのかな……?」はどう考えても告白する勇気もつくってくれたらいいのにだったでしょ。あそこらへんのキャラシナリオのクラウディア、思わせぶり感というかおいお前まさか本当に……⁉ 感があった。あったよなぁ??
 クラウディア、確か1の最後の方で「なんなら二人で旅してもいい」みたいなこと言ってたと記憶しているんですが、最終的な着地がそれと反対のところだったのはやっぱり大人になったってことなんですかね。”愛”じゃんな、そんなん……

・残念だった点
 アンペルとリラの関係がああいった感じに着地したのが若干そうなの~?? とはなったかな。結局どうなったのかは明言されていないので何とも言えませんが。

 しかしそれよりもタオ……パティと向き合わない、のが本当にパティの気持ちに気付いてなくてだったらまあ前途多難だね頑張って、で笑い話にもなっただろうけど、気付きながら先延ばしにしてて結果パティにあんな決断までさせてしまったの、ちょっと印象悪かったな。大人になったというか悪い大学生みたいになっちゃってた感じもします。家庭教師やって年下の女の子ひっかけて……文章にすると最低だな……頭脳に関してはたぶん大天才なのが余計タチ悪いわ。
 せめてエンディングで二人仲良くしててくれでもすれば、まあ納得してるならそれでいいのか……と吞み込めもしたけど、そうでもなかったし。共に行くことを選んだレントとディアンはちゃんと二人で映ってたから余計になんかなあ。

 システム的な面で言うと、ランドマークに着いてマップが解放された時の「雲の範囲詐欺」感はありました。すげー広いマップじゃん! と思ってたら全然そんなことなかった、みたいなことは割と何度もあった気がします。しかもそれがちょっとじゃなくけっこう狭いからガッカリ感が強かったかもな~。
 その柵は飛び越せていいでしょとか、ジャンプで掴まれる段差と掴まれない段差の違いがわからんとか、細かいところを挙げるとまあ色々。そもそもマップの解放の仕方も、歩いたところがマッピングされていく、でもよかった気もしますね。どうしてもランドマーク目指して一直線~になってしまったところはあります。

 結局続投され続けた、ライザに変な姿勢させるためだけのステージギミックは、本当に最後までノイズでしかなかったと思います。上述した「大人のおねえさん」不在の件も含め、全体にかなり「健全さ」があるから、何でシステム側でそんなことをさせてくるのか……としょんぼりしてしまいました。それこそディアンなんてお誂え向きなショタキャラって感じですが、ライザのことを「ライザ姐」と純粋に慕うに留まりますしね。
(他の方の感想とか読んでると、「男女の関係」についてアトリエシリーズにしては大胆に描いててびっくり、みたいな言を見かけますが、とはいえそういう話題の語り方が決して「下世話」ではなかったから、読み味はべたついてなかったと感じます。タオをからかうくだりだけちょっと多かったかなってくらいですが、それも尻を蹴ってたのかなと思えばまあわからんでもない)

 あとどうでもいいっちゃどうでもいいんですが、アプデで追加されたフォトモード時のポーズ、ちょっとノリがよくわからなかったです。なんで今・このゲームにそれを……? と困惑してしまった。まあ使いようで化けるかもしれないですが。塩振るポーズがなにに化けるんだ? わかんね
 近いところで言うと、クリアデータ作った時にめちゃシンプル水着が追加されるのちょっと情緒~~~ってなった。たとえばだけど礼服とかだったら何となくクリアおめでとう感が出てくると思うんですけど……


・まとめ
最後にごちゃごちゃ言ってしまったけどまじでいいゲーム、いい物語でした。続編とか続きものってどうしても一抹の怖さが付きまといますけど、追ってきた甲斐があったなーと心から思えました。

DLCはなんかサウンドコレクションとか衣装とか色々出るっぽいですが、僕は追加マップとクエストのやつだけ単品で買おうかなと思います。今公式ページ見たら無料DLCで王都周辺も追加されるとのことで、こちらも楽しみですね。
あと「極東の旅人」のフェデリーカ、なんか刀剣男子にこういう人いなかった?

サプライポートをレア以上の鍵で開けるとレシピが出てくるとかいう情報を検索して初めて知ったんですが、魂のゆりかごの鍵しか持ってないのでまあしゃーなしと思って探しに行ってきます。

追伸

1をやっていた時に書いた妄言noteがすげー読まれてるっぽいんですが誰が犯人ですか? いや素晴らしいnoteだと自分でも思いますが
https://note.com/meltymaze/n/n3fd68a2630cc

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