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百合のおたく、「ファイアーエムブレム風花雪月」を履修する

神ゲーにして人の心がないだの道徳0点だの散々な言われようもしている「ファイアーエムブレム風花雪月」をようやくやりました。
 このゲームに興味を持っ(てい)た切っ掛けは二つあって、何の媒体でもそういういわゆる”人の心がない”系の話が好きというのと、同性婚ができるらしいという点です。ぼくは百合のおたくなので。
 そういうわけで興味だけは千年持ち続けていたんですが、いかんせんゲームが下手くそなのでちょっと足踏みをしてしまっていました。しかしなんやかんやでようやく重い腰が持ち上がり、女性主人公の同性ペアエンド五人分を回収するというのを最初のモチベーションとして五周してきました。
(ずっとカジュアルモードでやりました。ゲームが下手くそなので)

……いや、きっかけこそそれではあったんですが、本当に男女も生徒教師その他も問わず全てのキャラクターが魅力的で、第一印象がは? なんやこいつ? となっても、支援が進んだり物語が進んだり、或いは別のルートで違った視点から見ると、隠れた一面が見えてきたり成長したりして、結局最終的にはみんな好きになってるんですよね。そしてそれこそが地獄を生むという、実によくできた物語ですね……全ルートやってもなんも印象変わらんかったのはメトジェイとアケロンくらいです。今どきケェッヘッヘ……なんて笑い方するやつおる?
 キャラ、世界観、ストーリー、全てにおいて魅力的な、噂に違わぬ神ゲーでした。最初のモチベーションはクリアしたのでプレイこそしばらくしなくなるとは思いますが、二次創作とかしたり見たりはけっこう続きそうです。
 ほんとにもう……(闇うごとメトジェイとアケロン以外)みんな幸せになってほしい……元教え子と殺し合うゲームだよとは聞いていたけどまさかこんなに皆殺しにするとは思わないじゃん……何かを選ぶことは何かを選ばないことだ、というのを百何十時間かけて執拗に刻み込まれたみたいなゲーム体験でしたね……
 どのルートを選んでも辛くて、完璧に正しいルートやキャラクターは多分存在していなくて、だからこの作品が投げかけてくる”問い”はこの作品をどれだけやりこんだとしてもその中に答えはないんですよね。どうやらみんな幸せになるルートを用意したらそれが”正解”それ以外が”ハズレ”になっちゃうから用意しなかった、ということらしく、んん~~~百理ある…………
 一本道の物語なら、”問い”に対して一応の”答え”が示されて完結、となるはずですが、このゲームをたとえ全ルートクリアしても”問い”は“問い”のまま、棘として刺さりっぱなしになるんですよね。それがこの作品を多くのプレイヤーにとって印象深いものに――印象深くあり続けるものにしているんじゃないかな~とぼくはおもいました。
 最近は夜な夜な考察ブログとかを読んでほえ~~となっています。

銀雪→(煤闇→)蒼月→翆風→紅花→銀雪、の順で五周しました。最後の銀雪おかわりは置いておくと、四つのルートとDLCシナリオを回った順番としては割と正解だったんじゃないかと感じています。地獄控え目な銀雪でまず基本の世界観やゲームシステムを把握して、煤闇で作中世界とゲームとしての遊びやすさを広げてから、”復讐”という比較的分かりやすい感情をエンジンにしていく蒼月で世界観の真実及び地獄に突入し、割合俯瞰的にフォドラを見つめられる翆風で情報を整理しつつひと味違った展開と結末で口直し、そして満を持しての紅花、と。これからやるよ~という方には僕はこの順番を勧めるかな。

本当にキャラクター一人一人が”人間”しててすげ~と思ったんですが、ペアエンドが必ずしも異性とに限らず、また必ずしも恋愛・結婚とも限らないというのもまたその一助になっていますね。同性婚できる子もできない子もいるし、主人公以外となら同性婚があり得る子、異性とのペアエンドでもずっと親友や相棒である子……
更に言えば、これらキャラクターのその後の話がすべて”後世の誰かが記した”という体裁で語られるのが非常に上手い。”恋愛だったというのが通説である”とか”一説では夫婦だった”とか、時々そんなことも言うんですよ。本当のところは分からない……と解釈に委ねてくれるあたりが、人間の本当のところなんて本人にしか分からないよね、という優しい断絶でもあるし、二次創作やりたいマンが溢れかえるこの時代のキャラゲーとしても優しいですね。

無双も楽しみですね~! 前主人公が先生にならず”灰色の悪魔”のままである世界線を、新主人公を据えて敵対する形で描く、なるほど~という感じですまじで楽しみだ……そして所属する学級によって分岐するのは同じらしいので、やはり同じように”問い”が”問い”のままこの胸に残されてくれることを期待します。
 新ビジュアルの生徒たちともう一度出逢えるのも嬉しいし、無双ゲーってやったことないのでその面でも楽しみ。

以下、各ルートの感想とかです。説明書きしきれないくらい色々のネタバレを含みますのでまあ既プレイの人が新参の新鮮な悲鳴を見て実に愉快ですなククク……となる用の文章と思っていただければ。
 なに!? まだやってない!? やれ!!!!


・一周目:銀雪√
 ペアエンド:ドロテア
 スカウト:なし

ゲームのシステムとかを掴もうと思い、まずはDLCを入れない状態で、スカウトもせず、黒鷲のみんなと向き合ってみました。とにかく圧倒的なテキスト量と”やること”の量に若干目が回りそうでしたが、とはいえこのゲームの世界にはどんどん引き込まれていったのでむしろテーマパークに来たみたいでテンション上がるなあ~でした。
 ぶっちゃけた話ちょっとだけ調べてから臨んだので、どのルートをどの順で回って誰と結婚する、は予め決めていましたが、キャラの人となりとかはほぼほぼ初見でした。なのでこの世界線での伴侶になるドロテアはどんな子なのかな~と名簿を見て「嫌いなもの:自分自身」「ドロテアさん!?!?」となりました。王子様にどこか陰を感じる~とか言ってたらもっと近くに質量を持った陰が聳え立っていた。
 個人主義感と団結の案配が絶妙な感じがあって、黒鷲は個人的に一番好きな学級です。いやまあ多分大抵のプレイヤーは最初に選んだ学級を親だと思い込むんでしょうが。

剣と魔法、騎士にドラゴン、選ばれし血統に宿る特別な力とそれに対応するつよくてかっこいい武器、と王道ファンタジーな世界観が展開され、その裏側にいかにも現代風なきな臭さや隠された真実が見えてくる、という物語は、何というか何度触れても良いものです。
 様々なキャラクターたちが語る、主に紋章至上主義が生むこの世の地獄たちは、時に素でうえぇ……って声が出たくらいマジもんの地獄。世を儚んでさようならしてても全然おかしくないような子たちが、それでも頑張って強く生きてるのがほんとうに偉い。いやまあ生きられなかった子たちはもう生きていないんですけど……
 そしてそんな子たちが人を殺すことを覚え、世界の真実やこれまで知らなかった地獄を知っていくのを間近で見守る、つれえ……こんなつらいゲーム体験があるかよ……
 ジェラルトが死ぬのは正直何となくそんな気はしてた(最初からいる最強キャラなんて途中退場すると相場が決まっておる)けど、「初めて見るお前の涙が俺への手向けとはな……」の台詞はかなりぐっと来ました。Ep.1で「赤の他人だ」とかクソみたいな冗談言ってごめん……ってなりました。

銀雪/紅花の分岐点がどこかも把握していたので、いつか辿り着くエデレスのためにと(この時は正直”最後に覇権CPエデレスに辿り着くゾ”みたいな意識だった)、敢えて戴冠式にも同行せず銀雪に入りました。あのメトジェイという人は何なんですか? 全ルートやってもあの人のことは分からなかった、別に分からなくていいんですけど。pixivで検索したらえっちな絵とか支援S世界線SSとかが沢山出てきて宇宙猫(リーガンフェリス)になりました。
”白きもの”、かっこいい……個人的にああいう元々腕だったのかなって感じの翼が好きなんですよね(ニッチな拘りを突然語り出す男)

五年後の世界へどんぶらこし、第二部、成長した教え子たちと再会。みんな見た目も変わり(ここで一番びっくりしたのはやっぱツィリル)、人によっては背も伸びて声も大人びて、支援会話から内面の成長も窺えますが、一番じんと来てしまったのは”講習”と”高度教練”ですね……得意なことに関してはむしろ先生を越え、先生や皆に教えてくれるまでになっている、こんなに嬉しいことないでしょう。
 五年の間に何してたかも人それぞれなのが深みですね。講習内容にも個性が出てるし、戦闘時の台詞も変わったり、同じ台詞でも言い方が変わっていたり、とんでもない情報量だともはや途方に暮れました。

そしてローレンツとアッシュが敵対。この時点では正直、ああ見かけた子だ……と一抹の哀しさ程度で済んでいましたが、まあ地獄の一丁目というやつですよね。

銀雪、なんか帝国が頑張って塗り塗りした地図を横からかっ攫うような形になるのがあんまりすっきりしないなあという印象です。レア様も帝国には怒りつつも割としゅんとした状態から力が暴走して討たれてしまい、しかも最期の一言が主人公を見て「お母様……」なのでどうしても可哀想って印象のが強かったです。この時点ではね……
 あと正直、手紙を遺すというファインプレーによってエーデルガルトよりむしろヒューベルトかっけえじゃん……ってなった。
 しかしエーデルガルト、最期にあんなこと言うのすげーずるいですよね。

レア様が”禁忌を犯した”目的とか、ジェラルトのこと、紋章地獄をはじめとした多くの生徒たちの事情から、”親子”ってのが大きな軸としてある物語なんだなと読み取れますが、そのテーマ持ってこられると俺弱いんだよな。親子とか家族とか、自分の意思と関係なく繋がってしまっている絆/自分の意思で無から繋いでいく絆、そういうやつ。

ペアエンドはドロテアでした。二人が贈り合った愛の詩が後世に残されている、というのがすごく印象的でした、あの先生が詩、詩を……想像がつかねえ……これが”愛”の力……ってコト!?
 こういう男を利用して幸せになっちゃるわよ~みたいな女性が最終的に本当の愛を女性同士で結ぶ、という流れ、まあ成人百合のひとつの王道っちゃ王道ですが、やっぱ”良い”から王道なんだよな~とおもいました。ドロテアにとってみれば国王兼大司教の伴侶になるとかいうスーパーアルティメット玉の輿オブフォドラではありますが、そういうこっちゃないんだよな。(というか国王と大司教を兼任するってのは正直、現代日本に生きている身としてはだいぶびっくりした……)
 同性婚できる全ての組み合わせの中でドロテアだけが性別を気にする、というのを後からpixiv百科事典で読んで確かに~となりましたが、個人的にはそれと同じくらい「もう先生とは呼べないわね。何と呼ぼうかしらねえ……」も気になるところです。名前とか肩書きとか、そういうしがらみ的なものがどうしても気になっちゃうんですね。

あと第二部最初で先生を拾う村人、後々新しい王様だか大司教だかの顔見てあの時の川から流れてきた奴やんけ!?!?!? ってなるんだろうなあとおもった


・1.5:煤闇の章
 DLC、一周やって面白かったら入れよ~と舐め腐った態度で見ていたんですが、たぶんEp.5あたりでもう買ってました。
 追加要素によってシステムとしても幾分楽になったし、アビスの様子やそこに住む人々の言葉、禁書の並ぶ書庫などで世界観の深みもぐっとプラスされて、いっそうこのゲームにのめり込むこととなりました。教会に握り潰された発見や発明の記録とかいうめちゃダイレクトヤバ情報、正直興奮した
 灰狼の四人もそれぞれの闇を抱え込んだ魅力的な子たちで、やっぱり全員幸せになってくれ……願わくばアルファルドさんも……


・二周目:蒼月√
 ペアエンド:メルセデス
 スカウト:コンスタンツェ、ハピ

煤闇をやったので、灰狼の四人の支援も少しづつ見ていこうと二周目からスカウトをしていきました。コンスタンツェ、メルセデスと支援あるんだ~と何気なくスカウトしたらいきなりお姉様とか呼び始めたのでびっくりして椅子から転げ落ちました。あらあら~タイが曲がっているわよ~
 あとハピとの支援A会話、突然無から悪役令嬢が生えてきて面白かった。

青獅子の生徒たちは幼馴染・主従・親友、”騎士”の偶像や志(或いは呪縛)でも結びついて、かなりできあがった関係性の集まりになっていて、個人個人という印象が強かった黒鷲とは好対照ですね。黒鷲は仲良くなりたての和気藹々感と時たまのぎこちなさ、青獅子は仲はいいけど時々息苦しくて、イングリットの差別意識を筆頭に相容れないという気持ちもはっきりしてしまっている、みたいな。そして物語が進むにつれて全体の雰囲気がどんどん苦しくなっていった印象です。
 第一部終盤のハジケちゃったディミトリ、シンプルに怖かった。陰があると感じるどころの騒ぎじゃない、というかその程度の印象にまで抑え込んでたのがマジで凄い、或いは抑え込めてしまうことこそが彼の悲劇。もしかしてなんですけど人の頭だか首だかを素手で握り潰しましたか? こわい……

そして二部……銀雪って元生徒との敵対が圧倒的に少ないルートだったんですよね。なので”道徳0点”の所以を真に実感するのはここからでした。一周目では生徒としてでっかいわんこみたいに可愛かったフェルディナントが「私の槍の錆にしてやる」とか言ってきたのでぼくは号泣しました。
 一周目の伴侶だったドロテアとももちろん敵対し、せめて……と自らの手で斬りました。この時はなんかもう号泣とかじゃなくて心が空っぽになった。
 そしてこれは五周した中で一番引っかかってることなんだけど、血の同窓会ことグロンダーズ会戦、同盟の子たち殺す必要あった????? クロードも「敵が分かんなくなっちまったのか?」とか何とか困惑してたじゃん……

コルネリアさん、突然闇マリクみたいな顔するからびっくりしちゃった。私は闇魔法が好きでねえ
 闇うごが歴史の闇でうごうごしているのは確かだけど、それは人間たちの思惑だの陰謀だのがうごうごしているのを利用されているんだなあ、というのがよく分かるシナリオですね。

そんなわけないと分かっていながらも、エーデルガルトとの会談にはこれでなんとかなんねえか……と祈ってしまいました。おはなしがハッピーを生むんだっピ
 結末、短剣を返してきたエーデルガルトに色んな解釈ができるようで、しばらく考え込んでしまいました。”道を切り開く”というメッセージごとディミトリに返してくれたのか、最後の最後までディミトリを討とうとしたのか、情けを掛けられたくなくて手を振り払う意味合いだったのか、ディミトリの苦しみを少しでも軽くするための訣別だったのか……

メルセデスとのペアエンドは、メルセデスの方からプロポーズしてくれたのが驚きでした。でもずっと流されてきた彼女がはっきりと自分の意思で何かを選択し手を伸ばす、という結末は、これまで紡いできた支援会話の辿り着く先として感慨深いですよね。先生に限らず誰と誰とのエピローグでもきちんと支援会話が踏まえられていて、本当に誠実なつくりだなあと思います。あとドロテア支援S会話の時にはまだ先生の世間ズレがそうさせてるだけかもしれんと疑いの余地がありましたが、やはりフォドラは同性婚でもしたいと思えばしましょうと言える・できる感じなんですね。

ディミトリはドゥドゥーとのペアエンドだったんですが、ディミトリは病没したとのことで、心労というか心の傷が祟ったんだろうな……と想像させてしゅんとなりました(でもなんか暗殺されたとかじゃなかっただけ幸せな最期だったのかもしれない)
 あとこれは後から調べて知ったことなんですが、シルヴァンとフェリクスの王国以外でのペアエンド、すげーーしんどいっすね…………ていうかフェリクスのペアエンド何かしらのしんどみがあるやつ多くない……? そしてレオニーとのやつだけ様子がおかしくない???


・三周目:翆風√
 ペアエンド:ソティス
 スカウト:バルタザール、アンナ

一周目からずっと、第一部で全員に誕生日の花を贈ることを欠かしていなかったのですが、ここら辺になるとなんかだんだん弔花を贈っているような気分になってきていました。

翆風は、前の二ルートが”前提”としていたような世界観に、第一部からもうばしばし切り込んでいくのが実に魅力的でした。むしろ最初にこのルートをやってしまうと他の二ルートが若干道化に見えてしまうのでは……などとも思ったり。
”白きもの”の絵をセテス殿に没収されるところなんてあっこいつやったな!!! ってキャッキャしちゃった。笑いごとじゃないんですけど。
 一方で正直なところ、生徒たちに対する興味関心としては、僕は前の二学級に比べると若干湧きづらかったかもしれない(個人の感想です)。これはどうしてだろうと自分の中ではっきり答えが見えていないのですが。アクが強すぎたのかなあ(個人の感想です)。他の学級を担当してる時に校内でちょっと話せる、くらいの距離感がちょうどいい感じがしました(個人の感想です)
 物語としてのクライマックスから結末はなんか一番すっきりイイ話って感じでしたね。クロードが最後旅立っていくのも他のルートと明確に違う味わいで、一ルートこういうのが仕込んであるのは飽きさせない工夫としてもいいなあなどと感じました。
 リビングデッドネメシス軍が一ヶ月待ってくれるのだけはちょっと笑っちゃった。

いやもう、今回はソティス様エンドをやるぞと決めて進めてはいたのですが、翆風ルートは正直クロードが……好きになってしまった……ていうか割と本気で疑問なんですけどこの内容だったら男性主人公でも支援Sあって然るべきなのでは????? パルミラはフォドラほどそういうとこが寛容じゃないんですかね……?
 ちなみにうちのクロードはフレンとの支援がなんでか全然進んでねえ! と焦ってめっちゃ一緒にご飯食べてたらそのままくっついちゃった。

ソティスとのペアエンドは、エピローグの文章が独身エンドの時と変わらないというのが寂しい……ですが、後世の人間が書いたような体裁である以上、主人公にしか知覚できないソティスのことが記されるのはありえないんですよね。最も想像に委ねられたペアエンド、とも言える。
 あと第一部の先生がソティスとひとつになるムービー、ソティスが消える寸前僅かに首を傾げて、キスをしてるようにも見えるんですよね。百合のおたくの幻覚ですか? 誓いのキス……人と女神のそれなので意味合いは違うとしても、ある意味”帰結”と言うべきペアエンドなのかもしれません。


・四周目:紅花√
 ペアエンド:エーデルガルト
 スカウト:メルセデス、ユーリス(+リシテア)

ここまでで既にぼくの心はだいぶダメージを受けてフラッフラでしたが、覇権CPたるエデレスを拝むぜ! と気合いを入れて……というか覚悟を決めて……臨みました。まーーーー想像を超えて地獄でした。ぐえーとなりました。
 いや紅花√、他ルートでも語られ続けてきたエーデルガルトの先生への想いが叶えられるし、先生は神の力を失って元に戻るし、神が斃れ”人の時代”が来るという結末まで含めて真エンドという雰囲気がありますが、こんな血塗れの道の先にしかない真エンド・覇権CPとかある? あっていいのか?
 あと真エンドへ至るにしてはムービー少なくない? 一部最後の先生が落っこちるとこなんて先に他のルートで見てないとえ、そうなの? ってなるでしょ。二部冒頭の再会の場面すらムービーないのもびっくりしちゃった。

ベルナデッタの「また生き残った、また殺した!」は、五年間戦い続けていた分こっちのルートで聞く方がより重くて辛いですね。
(黒鷲の子たちの中でドロテアが唯一、”帝国軍の将やってた”と書かれていないんですよね。エーデルガルトにとってドロテアはどちらかというと精神的な支えとしていてほしい存在だったんでしょう。あとメティオ)

神を討つこのルートでは、敢えてニルヴァーナを辞めてエピタフで戦いました。
 ここまで三ルート連続で味方だったフレンとセテス殿が敵に回り、しかも主人公たちのことを最後まで憎みきれないまま、死ぬのではなく姿を消して隠居する、という結末は血塗れの物語の中でひときわ物悲しく際立って感じられました。デアドラ戦ではヒルダが撤退するもんだと思ったら死んでしまったのでえーっ! となるし……ランベールくんとラディスラヴァさんには結局救いはないし……挙句門番さんまで死んでるし……
 あととにかく全体的に敵対台詞が他ルートより苛烈だし正直返す言葉もないし……「裏切り者!」だの「心の底から失望しました」だの、みんな言いたい放題。でも裏を返せば、このルートが一番先生の”エゴ”が出てるんですよね。他のどのルートでも何となく言われるがまま・流されるままという印象が拭いきれなかった先生が、「やらなければ・守らなければ」ではなく「自分はこちらを守りたい」でレアに剣を向ける。どんな言いたい放題されても、元生徒に剣を向ける。
 そしてそれを以て先生を”失敗”と呼ぶレアは、やっぱり討たれて然るべきというか、正しい間違ってるというよりは”更新されるべき旧い秩序”だったのでしょう。

闇うごとの決着が一切描かれないで終わったのは面食らいました。他のルートと違ってただの敵対勢力ではない分、描こうとしたらすげーー長くなっちゃうんでしょうかね。同時に、紅花は”神を討つ”話であり、言ってしまえば闇うごとの戦いは神が死んだ後の世界において何遍も繰り返されるもののひとつに過ぎないから、ということでもあるのかも。

ペアエンドはエーデルガルト、いやエルでしたが、先生はこんなルートに入っておいて他の子を選ぶなんてことができるんですか? 責任取って添い遂げろよこんなん……血染めの覇道を走破させてしまった責任を取れ……
 そしてpixivにはエデレスがめちゃめちゃ蜜月をしている二次創作がたくさんありますが、こんな……こんなにも血塗れの手を無邪気に繋がせ触れ合わせることなんて……俺には描ける気がしないよ……みんなつらすぎて現実逃避してるのか……?? いやもちろん過去を理由として幸せになっちゃいけないだろなんて言い出したらこの世界は幸せになっちゃいけないやつばっかりじゃないかぁ!(才賀勝)
(エーデルガルトの支援相手、黒鷲以外は同じ境遇のリシテア・旧知の仲のコンスタンツェ・先生のハンネマンとマヌエラだけなんですね。本当に極力関わらないようにというか、仲良くなってしまわないようにしていたんですね……いずれ殺すかもしれない相手だと分かっているから……)

ヒューベルトとフェルディナントはくっつきました。今までの百合おたく人生の中で一番「この男男は実質百合」言説を”実感”しました。


・五周目:銀雪√
 ペアエンド:レア
 スカウト:イングリット、メルセデス、コンスタンツェ、リシテア、マヌエラ

一周前が紅花だったので、「やはりあなたも失敗だったのですね」とか言い放つレア様の極低温の表情がまだ記憶に新しかったんですが、きっとこのペアエンドに辿り着けば印象がただの悪者で終わらないはず、という希望も込めて。
 スカウトは、四周目でイエリッツァとの支援を見たので敵対する世界線も見るか~とメルセデス、それからドロテアやベルナデッタとの支援が気になったのでイングリット、エーデルガルトと敵対する世界線だとどうなるんだろうと思ってコンスタンツェ、同じ理由+フェルディナントとの外伝も見たいのでリシテア、あと先生勢を一回もスカウトしたことないなと気付いたのでマヌエラ。やることが……やることが多い!

最初にも言った通り、同性ペアエンド五人分を見るのが目的の一つだったので、一ルートは二回やることになるなあ、と若干もにょもにょしていたんですが、最初にやったルートを改めてやるという形になって結果的にはよかったです。
 しかし全ルート回った後の改めての銀雪、黒鷲の他の子さえついてきてくれないという、他の二学級ではありえないエーデルガルトの孤独があまりにも想像されてしまってかなり辛かったです。五年後ここで集まろうの約束するシーンとかめちゃめちゃ胸が痛んだ。
 きっともしこのルートでエーデルガルトが勝って統一王になったとしても、あまりいい治世はできなかったんじゃないかな、などと思います。既存の仕組みを燃やし破壊する炎の帝王には、焼け跡に新しいものをつくってくれる仲間が絶対に必要だったでしょう。歌姫ドロテアや芸術に通ずるベルナデッタ、研究に才を発揮するリンハルト、貴族に代わる仕組みをつくると明言したフェルディナント、異国の風を吹き込んでくれるペトラ……カスパルくんは正義を胸に……ヒーローショーとかやる?
 一緒に戦う生徒たちにしても、皆揃って祖国と戦うというのはやっぱり他のルートにはないですし、なんかみんなしんどいな……

二部に入って最初に出てきた支援がマヌエラAだったので、何の話????? となった。マヌエラさんはあくまで相手は男しかありえないわ~! という人なので、可愛い後輩のドロテアがベレスとかペトラとかとくっついたらやっぱびっくりはするんでしょうかね。
 あとセテス殿との支援A会話、「君は身内みたいなものだからいつまでも味方だ」「子が親を裏切ることもある」って話してて、たぶん一周目でも見たはずの会話なんだけどゾクッと来ました。ルートによって全然関係性が変わる感じの相手だと、こういうのがたくさん仕込んであるんでしょうね……
 一方その頃ツィリルとリシテアはいちゃいちゃしていた。字が読めないとかいう割と重めの話題からこんな甘酸っぱい支援会話が出てくることある???

割とあずかり知らぬところで戦いが進むので、地獄地獄アンド地獄の後だと、みんな自分で殺す方がまだしも……と二周目辺りと逆のことを思うようになっていました。ふしぎだね

ゲームシステム上仕方ないのかもしれないけど「覇鎧隊」「獅子王隊」「不死隊」使えちゃうのちょっと冒涜的で面白かった(使った)(つよかった)

レア様ペアエンドは、まず第一部の間に支援Aまで持っていかないとならぬと聞いたのでたくさんお茶を飲みたくさんふくろうの羽根を献上したくさん剣を教えて貰いました。しかし支援A会話を見てもまだ先生越しにお母様を見てるという印象は全然変わらなかったので、どうなっちゃうの~? となりました(語彙)
 はらはらしながら支援S見ましたが……第一声でお母様が先生の中じゃなく空にいると言ったから、ほっとしました。上で”自分の意思と関係なく繋がってしまっている絆/自分の意思で無から繋いでいく絆”って言いましたが、レア様ペアエンドという結末は先生の意思によって辿り着いたものだとレア様が認めてくれて安心しました。そう、それは”愛”なんだよな……

そして他キャラのペアエンドは概ね若い人たちの成り行きに任せたんですが、カトリーヌ×シャミア、ドロテア×マヌエラ、メルセデス×コンスタンツェと同性ペアが三組も成立しました。やったぜ


いやもうほんと、夢中で駆け抜けた180時間でした。たのしかった……

そして僕は百合SSを書く人間なので、百合SSを書きました。
銀雪・ドロテアペアエンドの話↓
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17276219
蒼月・メルセデスペアエンドの話↓
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17504338
 どちらも「ベレスもまた彼女たちから大切なことを学んだ・これからも学んでいく」「そしてそれがフォドラのためにも活かされていく」ことを描く、というのを一種のルールとしてつくりました。

あと僕は絵の落書きもする人間なので、落書きもしました。
四周目まで↓
https://www.pixiv.net/artworks/97778347
五周目まで↓
https://www.pixiv.net/artworks/98187846
 これは本当にただの落書きです。

それから……今まで幾つかのジャンルで60000字前後のSSを電子書籍として頒布してきたのですが、紅花√を題材として久しぶりにそれをやろうかなと思っています。頓挫する可能性は大いにあります。
 構想としては、「イングリット・メルセデス・コンスタンツェをスカウトした紅花√(あと紅花なのでリシテアも合流する)」で、この面々ならこんな話をするんじゃないかな~という想像とか、交流のあった人と殺し合ったりとか、そういうやつです。道徳の点数を低く取ることにかけてはちょっと自負があるので。捨てちまえそんな自負

メルセデス:共に紋章至上主義のせいで酷い目に遭ったこと、弟の恩人といえること、聖教会を解体しようとしていることについて、などエーデルガルトと喋ることがいっぱいありそうだと思ったから
コンスタンツェ:メルセデスを入れると決めたことでいよいよアビス以外の支援相手が揃ったので、潤滑油的に。あとアビスとの繋がりなど物語が広がりそうなので
イングリット:引き抜いたら地獄がたくさん生まれそうだな~とおもったから

いや、そもそもが青獅子の学級から来た子がそのまま帝国についていくのを選択するのはどういうわけなんだろう……という疑問から始まった構想だったので、祖国への忠心が強そうな子を一人引き抜くのは必然なんですよ。
 しかしまあ実際紅花やって思いましたが、お気に入りの先生が「あなたも失敗だったのですね」とかヤバい目でバッサリされたらそら教会の味方なんてできんわ。あと紋章至上主義に関しては多分どう思う? って訊かれたらよくないとおもうって皆答えるだろうし、それを潰したいというエーデルガルトのビジョンを直接語られていたらまた違うのかもしれない(実際イングリットもセテス殿との支援で紋章主義ちがうとおもうってはっきり言ってるし、シルヴァンという地獄マンも身近にいるし)

エデレスSSを書いていないのでその要素も入れられたらいいなとは思いますが、詰め込みすぎかもしれない。生徒8人+スカウト3人+リシテア+ベレスとイエリッツァ、最低でも遊撃軍14人の群像劇みたいになるので……

ま、頭の中で考えているだけの間は楽しいんですよ。書き始めたら地獄を見るに決まっていますこんなもん……
 あと正直、上に貼ったSS二本が僕史上類を見ない大爆死をしているので、どうせ読まれへんの諦念が強すぎて普通にモチベーションが保たないかもしれない。



そしてこれは余談なのですが……ずっと積んでいた風花雪月をようやくやり始めた数日後に、現実でマジの戦争が始まってしまいました。タイミング~~

とりあえずアドラステア帝国軍は虐殺だの略奪だのはしていないと信じたいところですが、それにしたって主人公も生徒たちもなんやかんや言って人殺しには変わらんのだよな……いやそんなこと言ってたらアクションゲームなんてやってらんないんですが、なまじ明確に”戦争”やってますよと言われている分、やっぱりふと考えてしまうところはありましたね……
 SS書いてる間も正直、昨日見たニュースが参考になってしまうみたいな場面がありました。どうしたって戦後処理の話を避けて通れませんからね。

インターネットエンターテイメント生命体として、現実のなんやかんやの諸問題に言及することは極力しないできましたし、これからもするつもりはないんですが、今回はちょっとあまりにタイミング~~となってしまったので最後に追記しました。
 同時に、僕がこれまでつくった・これからつくる風花雪月の各種二次創作はいずれも、現実のことがらに対する意見表明や提言の意味合いを込めたものでは一切ありません、と書き添えておきます。


 ともかくも「ファイアーエムブレム風花雪月」、あらゆる面において神ゲーでした。やってよかった~

こちらはいわゆる投げ銭機能です。頂いた収益は秋山幽の健康で文化的な生活を維持するために使われます。