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#30 思い込みが強くなった時の対処(ジャムおじさんvsコックさん)

MelonPapaです。発達障害の4歳の息子との生活を通して感じたことや見聞きしたことを発信しています。(自己紹介はこちら)

今回は、最近息子が療育トレーニングを受けている時にあった出来事について書きます。誰でも「これが正しい」と自分で思い込んでいる時は、他の人が何と言おうと聞かないことってあると思います。発達障害の息子は、よりそういう側面が強いのかもしれないと感じた事例です。まだ解決策は思いついていないですが、まずは現状の共有を。

まるで機械学習を見ているような物の名前の覚え方

息子は「図鑑を見る」と「現物を見る」という2つのやり方で物の名前を覚えていっています。

まず図鑑で見る方法。我が家には絵とその名前がずらっと描いてある図鑑が4~5冊あるので、息子はそれらの図鑑を見て物の名前を覚えています。初めて見る物や分からない物で出くわした時には、親に「読んで!」と頼むか、タッチペンでタッチして機械音声で名前を聞いて、まずは自分の頭の中でイメージを作り上げます(後者の方法はまさに現代的ですよね。私が子供の頃にも欲しかった・・)。例えば、同じ犬でも図鑑によって、種類や大きさ、リアリティが違うので、それらが同じ犬であることを理解するのに最初は苦労していますが、色々な本で犬を見ることで、「犬とは何か?」を感覚的につかんでいっています。

次に「現物を見る」。公園に遊びに行くと、犬を見つけては、「いぬ?」と聞いて確認し、自分が本で見た犬に加えて現物の犬の情報も加えて「犬とは何か?」の理解を深めていっています。しかし、時には図鑑に載っていないタイプの犬に出くわすこともあります。私はあまり犬に詳しくないのですが、ある日公園でボルゾイ(後日ネットで調べた)という顔がシュッとした大型犬に出くわした息子は、「たぬき!」と言っていました。自分が図鑑で見た犬の中にボルゾイはおらず、図鑑で見たたぬきの顔に形が似ていたから?なのか、息子の頭の中の動物リストの中ではボルゾイはたぬきに一番近かったんでしょう。私は、息子がたぬき!と言った理由を推定して、なるほど~と感心しながらも、「これも犬だよ」と伝えると、息子は「いぬ?いぬ・・」と言いながら、しぶしぶ納得しているようでした。

これは発達障害の有無に関わらずだと思いますが、子どもが物を覚えていく過程が、AIが機械学習で犬や猫を認識する訓練と同じだ!と思って、感心してしまいました。(※子どもの物の覚え方が機械学習に似ているというのは表現が適切ではないかもしれないですね。逆で、子どもの物の覚え方を機械学習に適用しているのかもしれません)

本題:ジャムおじさん vs コックさん

さて、ここからが本題。上記のように物の名前を覚えている息子は、アンパンマンが大好きで、かなりの数のキャラクターを覚えています。毎晩歯磨きの時にアンパンマンを見ているので、アンパンマンのキャラクターの名前にはかなり自信を持っています。

そんな中で、先週の療育トレーニングで、物の名前を言うトレーニングがあり、そのトレーニングの様子を妻から聞きました。読者のみなさんはもう想像がついているかもしれませんが、そのトレーニングの中で「コックさん」の写真が出てきてました。先生に「これ何?」と聞かれた息子は、自信たっぷりに「ジャムおじさん!」と答えました。すると、先生は「違うよ。ジャムおじさんじゃないよ。コックさんだよ」と言ったそうです。ここで、異変が起きました。息子は「ジャムおじさん!」と言って聞きません。先生が何度も「違うよ、コックさんだよ」と言っても、ジャムおじさん!と主張し続け、最終的には大泣きして癇癪を起こしてしまいました。

思い込みが強い時はどうすれば良いんだろう?

息子の立場からすると、「ジャムおじさんではない」ということが全く受け入れられなかったんだと思います。これまで、コックさんを図鑑や実物で見たことがなく(注視したことがなく)、あの白いふかふかした帽子をかぶっている人は「ジャムおじさん」しか見たことがなく、かつそれを毎日のように見ているから自信もあったわけです。だから、ジャムおじさん以外のものであるはずはなく、しまいには自分自身が否定されているかのように感じてしまったのではないでしょうか。

以前、#18 発達障害児の子育てにおいて、"「~しない」を褒めることより、正しい行動を提案すること"が有効であることを再認識の記事で書いたように、発達障害の子に対しては、単に否定するのではなく、正しい行動を伝えるのが大事だと思っています。今回の先生の対応も単にジャムおじさんじゃないというだけでなく、「コックさん」という名前を伝えているので、そういった観点からも間違った伝え方ではないと思います。

ではどうすれば良いか?まだ結論は出ていないのですが、「ジャムおじさんもコックさんだね」といった、「ジャムおじさん」と「コックさん」を横並びにして伝えるのが良いかなと考えています。本当は、コックさんという職業があって、その中にジャムおじさんも含まれているんですが、そういう、●●が〇〇に含まれているという概念はまだ息子には少し難しいかなと思っています。ただ、動物図鑑を見ている時に、「かば、どうぶつ」「きりん、どうぶつ」と言うことがあるので、息子の中でも、動物という大きなグループがあって、かばもきりんもその中に含まれているということをぼんやり理解している気がしています。そういう現状を踏まえると、「ジャムおじさん、コックさん」と並列して伝えれば、息子には少しは伝わるのでは?と思っています。
ポイントとしては、思い込みが強い状態であったとしても、息子が「自己否定されている」と思ってしまうことは極力避けた方が良いなと思っています。発達障害の方は自己肯定感をなかなか持てないとのことなので、自己肯定感を失うことを防ぎながら、思い込みをうまく修正していけたらと思います。

【余談】
半年ほど前に発達検査を受けた時に、検査官から家の写真を見せられて「これ何?」と聞かれた息子は、小声で「パン工場・・」と答えたそうです(妻が立会)。結局検査官の方には聞こえなかったようで、答えられなかったという判定になったんですが、当時それを聞いた私は、「大正解じゃないか!」と妻に話しました。息子がそれまで見聞きした中で必死に考えた末に小声で回答した「パン工場」、是非検査官の耳まで届いて欲しかった・・・。もし届いていたら、どう判定されていたのかも気になります。


長くなってしまいました。今回は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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