#21 4歳の発達障害児が70歳のおばあちゃんの価値観を変えた
MelonPapaです。発達障害の4歳の息子との生活を通して感じたことや見聞きしたことを発信しています。(自己紹介はこちら)
今回は、私の息子(4歳の発達障害児)の生き様が私の母(70歳のおばあちゃん)の価値観を変えた話を書きます。
最初は障害を受け入れられなかった母
私の母の周りにも、私や私の兄弟の周りにも障害を持った方がいなかったこともあり、私の母はこれまで障害を持った方と接する機会がほとんどありませんでした。そのため、息子が発達障害であることが分かり、それを伝えても、なかなか受け入れていませんでした。実家に連れて帰った時に息子がくるくる回ったり、手をひらひらさせたり、全然しゃべらなかったりしても、「今日は機嫌が良くないのね」とその時の気分のせいにしているようでした。療育に通い始めたという話をしても、自分からは決して「療育」という言葉を発さずに、「あの、園みたいなところにはまだ通っているの?」というような曖昧な表現を使っていました。
きっかけはコロッケ?少しずつ変わり始めた母
3歳になったぐらいの頃だったと思います。息子はコロッケが好きなのですが、ある時実家に帰った時に母が作ったコロッケを美味しそうに食べていました。母は自分のコロッケに自信を持っているので、とても嬉しそうでした。
そして、その次に実家に帰った時。息子が母を見てすぐに「コロッケ!」と言いました。息子は母のコロッケが美味しかったことを思い出し、思わず「コロッケ!」と口から出たんだと思います。それまで息子が母に何かを話しかけることはほとんどなかったので、母は驚くと共に、とても嬉しそうでした。息子が発した言葉は「おばあちゃん」ではなく、「コロッケ」でしたが、間違いなく息子が母のことを認識していることが分かったはずです。あまり言葉を発しなかったり、苦手なことが多いけれど、息子が自分のペースで少しずつ成長していることを母は実感してくれたのだと思います。
それがきっかけになったのか、母は自分でも発達障害や自閉症について調べるようになったようで、妻とのLINEでは、よく「インターネットに〇〇と書いてあった」などと話すようになったそうです。また、「療育」という言葉も使うようになりました。以前は明らかに使うのを避けていたので、母が「療育」という言葉を使うようになったのは、私はとてもうれしく思います。
ちなみに余談ですが、実家に息子を連れて帰ると80%の確率で食卓にコロッケが並びます(笑)。また、最近になって息子はきちんと「おばあちゃん」と呼べるようになりました。コロッケのままじゃなくて良かった・・・。
習字の生徒の個性への理解!母の価値観が変わった。
最近話していて驚いたのは、母の習字の生徒の言動への考え方が大きく変わったことです。母は小中学生を対象に習字教室を開いているのですが、習字教室に来る子は本当に色々なタイプがいるようです。真面目に習字をやる子もいれば、ずっとしゃべっている子、習字じゃないことをやっている子等々・・。「習字を教えたい」と思っている母(けっこう頑固者)は、まじめに習字に取り組まない子にずっといらいらしていたそうです。
ところが、最近話した時には「〇〇ちゃん(息子)を見ていて、色々なタイプの子がいることが分かった。だから前よりもイライラしなくなってきた」と言っていました。さらに、以下のような話もしていました。
・習字を書かずにずっと折り紙をしている子がいるんだけど、その子は一枚の紙で連なった複数の鶴を折ることができる。あれはすごい。
・習字が終わって迎えを待っている間に騒がしい子のために、漫画で勉強できる本(ドラえもんが歴史を解説する本)を置くようにしたら、黙って読んで待つようになった。中身がきちんとしていれば、漫画でも良いと思う(←ちなみに、昔から漫画は大嫌いで実家には一冊もありませんでした)
上にも書きましたが、母はかなりの頑固者で、自分と異なる考えを受け入れることはこれまでほとんどありませんでした。そのため、上記の発言は母の息子である私にとっては、衝撃的でした。70歳まで築いてきた考えが、こうも変わるものかと。できないことよりも、その子の得意なことや個性に着目しているのが嬉しかったです。
今回の私の母の話を通して、息子の生きる姿は人間の価値観を変える力があるなと思いました。「個性を生かしましょう」という本は世の中にたくさん出ているし、良く言われるけれど、そんな本よりも圧倒的な力があると思いました。
今回はこれで終わりにします。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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