ナイトホークス
ナイトホークス・夜鷹は、草木も虫も動物も眠りについた闇夜に
キョッ、キョッ、キョッと高い声で森に響かせる。
鷹と呼ばれるのも恥入る容貌で、昼間は枝に隠れて静かに目蓋を閉じる。
鷹がよだかを訪ねて言った。
「俺は青空を雄々しく飛ぶのが信条だが、お前はコソコソと夜しか
飛ばない、それに見ろ俺のような獰猛な口ばしや爪はなく、
お粗末な奴が申し訳にくっ付いているだけだ。
どうだ鷹という名前を引っ込めないか、
お前は俺と夜と両方から名前を借りてるんだぞ」
夜鷹はこれを聞いて只々小さく蹲るだけだった。
グリニッジビレッジのハドソン川のピア45から3ブロック入った角の
カフェが俺のいつもの止まり木だ。
夜も更けてこんな時間になればこのカフェもスピークイージーに
変わるのさ。
スピークイージーって何かって?
馴染みの客にコーヒーと見せかけて酒を出す店さ。
お堅いキリスト教のばあさんが、酒は魂を汚すとか云って、
あれよあれよという間に酒を禁じる法律にしたのさ。
俺はもちろんドライなんかじゃない、ウエットだから酒を飲むさ。
大恐慌から随分経つのに不景気なままで、今日もネタを拾ったので
相場を張ったが、ケチな儲けで面白くねえって訳だ。
オヤジ、そろそろイイだろう出してくれ。
「ヘーイ」