チーズとメロンのアペリティフ -1
果房 メロンとロマンがメロンを使ったお家で楽しめるレシピを発信する企画、「メロンのレシピノート」。
第5回は第3回目に引き続き、果房 メロンとロマンが位置する東京・神楽坂にある店舗とコラボレーション企画です。
神楽坂の地で20年以上お店を営む「チーズ専門店 アルパージュ」さまが一緒にレシピを考えてくださりました!
↑神楽坂の裏路地にあるチーズ専門店「アルパージュ」
店内には200種類以上ものチーズがズラリ。チーズを買うのが初めてでも、とても詳しいスタッフの方が丁寧に相談にのってくれ、おすすめのチーズを教えてくれる。
今回、レシピを一緒に考えてくださったのは、オーナーの森 節子(もり せつこ)さん。
ご近所の方や遠方から、多くの人が訪れるお店アルパージュのお話もお聞きしながら、メロンのレシピについて教えてもらいましょう。
➖私もチーズが大好きで、よくお伺いしております!意外と都内にはチーズの専門店が少ないように感じます。お店をオープンされたのはどのような経緯だったのでしょうか?
私は社会人になった当初は都内で会社員として、チーズと全く関係のない仕事をしていたんです。子どもの頃から発酵食品が好きでチーズもよく食べていました。でもその頃の日本のチーズは何か物足りない、と子どもながらに感じて、チーズを海苔で巻いてみたりして自分で美味しい食べ方を模索していたんです。
社会人になった頃には、輸入チーズが日本にも入ってくるようになります。それを初めて食べた時に、「なんて美味しいんだろう!」と思いました。もっとチーズを知りたいと思って、会社帰りにチーズを買って研究したり、チーズについて学べる講座にも1年ほど通いました。味だけでなく、チーズが作られた場所や、作られるようになった歴史など、チーズの背景を知れば知るほど、面白さが増して、ますますチーズの魅力に取り憑かれていきました。
次第に、「チーズに関わる仕事をしたいな」と思うようになり、チーズを輸入する会社に転職しました。1年ほど働いた後、自分でやってみようかな、と思って大好きだった神楽坂にチーズ専門店を開こう、と思いました。
➖会社を辞めて、自分でお店をやるにあたっては勇気が必要だったと思います。迷いはなかったですか?
お店を自分でやると決めた時、周りの人からは、「えー!チーズだけで上手くいくわけないでしょ!」と言われました。でも私は「みんなチーズを好きになってくれるはず!」と謎の自信があって。(笑)
上手くできるかどうか、不安はありましたよ。人は習い事とか、新しいことにチャレンジしたりしますが、それって、「自分の生きる意味」の模索だと思うんです。人間は、「自己実現をしたい」という願望のある生き物だと思います。だから、チーズの仕事を始めた時は不安よりも、自分の人生の中で「これだ!」と熱中できるものを見つけられた喜びの方が大きかったです。「会社員は守られていて安定しているようで、そうではない」と個人的に思っていました。「明日から来なくていいよ」って言われたら終わりですしね。怖くてなにもやらないより、やりたいことにチャレンジするほうがずっと意味があると思いました。
➖色々なお店でチーズを取り扱っているのを見ますが、アルパージュさんのチーズはどのような特徴があるのでしょうか?
まず、チーズには大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴は下記の通りです。
・ナチュラルチーズ…生乳などを乳酸菌や凝乳酵素で凝固させ、ホエイ(乳清)の一部を除去したもの、または、これを熟成させたもの。微生物が生きており熟成が進み、時間が経つごとに味の変化が楽しめます。
・プロセスチーズ…「ナチュラルチーズ」を乳化剤などを加えて加熱して溶かし、再び成形したもの。加熱処理を行うため、微生物は死滅しています。そのため、熟成することが無く、品質が一定で保存性に優れ、大量生産のため安価であることが特徴です。
※ここでいう微生物とは乳酸菌、カビ、酵母等を言います。
アルパージュでは、前者のナチュラルチーズのみを扱っています。さらにナチュラルチーズ には、様々な分類法がありますが、一般的に下記の7分類があります。当店にも下記すべてのタイプのチーズを取り揃えていますので、是非楽しんでみてくださいね。
・フレッシュ …熟成させないクリーミーなもの
・白カビ …チーズ表面が白いカビに覆われているもの
・青カビ …チーズ内部に青いカビを繁殖させるもの
・シェーブル …ヤギのミルクを使ったもの
・ウォッシュ …チーズ表面を塩水やワインなどのアルコールで洗ったもの
・ハード …長期熟成向けのチーズのうち、水分量の少ないもの
・セミハード …長期熟成向けのチーズのうち、水分量の多いもの
➖チーズはこんなに種類があるのですね。今回、メロンとチーズについてレシピを考えてくださいましたが、チーズと合わせる食材を考える際、合う、合わないはどのように判断できるのでしょうか?
チーズと食材を合わせる場合、下記のような組み合わせがうまくいく場合が多いと思います。
①お互いの味や風味を補完する組み合わせ
②相反する二つの味の組み合わせ
例えば①は、甘いものと酸味の強いものを合わせる、
②は、甘いものとしょっぱいものを合わせる、というような具合です。
上記2パターンだけでも、組み合わせは無限にありますね。
➖なるほど、個性の違うものを合わせると美味しくなるというのは、無限の可能性がありますね。今回考えてくださった1つ目のレシピはどんなチーズをつかったレシピでしょうか?
はい、今回の1品目は、「ブリア・サヴァランとメロンのアペリティフ」です。
アペリティフとは、フランス語で「おつまみ」のことですね。今回は、「ブリア・サヴァラン」というフレッシュタイプのチーズをメロンと合わせました。
➖ブリア・サヴァラン!素敵な名前のチーズですね。どのようなチーズなのでしょうか?
はい。甘くないレアチーズケーキのような味わいで、ほのかな酸味がありながら、まろやかな風味のチーズです。名前は、フランスの美食家の名前が由来となっています。
➖よく知られているクリームチーズよりも、濃厚でなめらか、食べ応えがありながらフレッシュ感もありますね。メロンに合わせるチーズとして、ブリア・サヴァランを選んだ理由を教えてください!
メロンの甘みを活かしつつ、酸味のあるチーズを加えることで、味を補完しました。ブリア・サヴァランは脂肪分も高いので、とてもクリーミーです。メロンのみずみずしい食感と、チーズのクリーミーな相反する食感がまとまってとても美味しくなります。また、単体でたべてもそれほど塩辛いと感じないのですが、ブリア・サヴァランにはしっかりとお塩が入っています。その塩味がメロンの甘みを引き立ててくれています。
また、チーズとメロンだけでも合うんですが、両者にない「旨味」の要素を生ハムによって加えることでより美味しく召し上がっていただけると思います。
➖とてもよく合いますね!色々なチーズとの組み合わせを試してみてくださったと聞きました。
メロンの上品な風味と香りを活かそうとすると、チーズの香りや風味が強くて。カマンベールやシェーブルタイプなど数種類のチーズを試したのですが、あまり合わないものもあって、難しいなと思いました。
➖メロンの甘みがさらに感じられて、とても驚きました!見た目も可愛らしく、パーティーでも楽しめそうなメニューですね。
出した時に見た目が楽しくて、食前にこんなメニューあったら嬉しいなと思って考えました。シャンパンや白ワインと合わせても楽しめると思います。もし、ブリア・サヴァランが手に入らなければ、市販のクリームチーズでも代用できますので、ぜひ試してみてください。
(インタビューは次回、「チーズとメロンのアペリティフ-2」に続きます!)
チーズ専門店アルパージュ・森さんが教えてくださったレシピ:
ブリア・サヴァランと生ハムメロンのアペリティフ
(4人分:12個分)
事前の準備:チーズとメロンを刺すためのピックを準備。(ない場合はつまようじも可)
材料
ブリア・サヴァラン(フレッシュタイプチーズ)…100g
生ハム…6枚程度
メロン…8分の1玉
オリーブオイル…適量
※ブリア・サヴァランはチーズ専門店で買えます。手に入らない場合は、市販のクリームチーズでも美味しくできます。
※生ハムはお好みの量でご準備ください。
※チーズは形状が崩れやすいので室温に戻し過ぎないようにしてください。
つくりかた:
1.メロンを四角くカットする。(9g程度のサイズ)
2.生ハムを縦半分に切り、1.に巻いておく。(生ハムのサイズはお好みで調整する)
3.ブリア・サヴァランを8gに分け、手で丸める。
4.2.の上に3.をのせ、ピックで刺して留める。
5.4.を綺麗にお皿にに盛り付け、食べる直前にオリーブオイルを適量かけて、完成。
レシピ考案にご協力くださったお店:
Fromagerie Alpage
チーズ専門店 アルパージュ
https://alpage.co.jp/www/
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-22
tel 03-5225-3315
営業時間 11:00 ~ 19:00(月~木・日祝)
11:00 ~ 20:00(金・土)
定休日 なし(年末・年始のみ休み)
※新型コロナウイルスの影響で営業時間が変更となっております。
お知らせのページをご確認、
または店舗(03-5225-3315)にお問い合わせください。
text:
Mayuki Tsujihara
(果房 メロンとロマンのディレクターとして働きながら、ライターとして日本の島々や地域で働く方々に取材なども行なっております。好きなメロンはタカミメロン。)