クレカ会社 訪日観光客 増加でも赤字
日本のクレジットカード会社は、インバウンド(訪日外国人)の急速な回復に警戒感を抱いています。訪日客がカードを使うほど海外に支払う手数料がかさんで赤字が膨らむため、カード業界全体で年間200億円の赤字になる可能性があります。カード会社は加盟店を増やし、海外で発行されたカードの利用に伴う手数料を支払っており、国内向けの利用は黒字になります。国際ブランドの手数料率は上昇傾向にあり、日本政府は手数料の開示を求めていますが、詳細な手数料はまだ公開されていません。
日本のクレジットカード会社が、インバウンド(訪日外国人)の急速な回復に警戒感を示しています。訪日客がカードを利用するほど、海外に支払う手数料が積み重なり、カード業界全体で年間200億円の赤字が生じる可能性があります。
三井住友カードや三菱UFJニコスなどのカード会社は、加盟店でのカード利用を促進するために、カード読み取り端末を設置し、加盟店を増やす努力をしています。これらのカード会社は加盟店から一般的にカード利用額の1.9%程度の手数料を受け取っています。
訪日客が海外で発行されたカードを使用する場合、カード管理会社は収入の1.9%から海外のカード発行会社に1.8%、国際ブランドに0.8%程度の手数料を支払います。そのため、システムや人件費を考慮すると、最終的には0.7%の赤字となることがあります。
コロナ禍前の訪日客数(約3200万人)まで回復すると、国内カード会社全体で年間200億円の赤字が生じる見通しです。訪日客の旅行消費額のうち約6割がカードで支払われると仮定してこの試算が行われています。
一方で、日本で発行されたカードを使用する場合、国際ブランドに支払う手数料は0.05%程度であり、カード管理会社の収入は0.2%程度の黒字となります。日本国内向けの決済手段としてQRコードや電子マネーが広く利用されており、これらの手数料は比較的抑えられています。
ビザやマスターカードなどの国際ブランドは自社でカードを発行せず、手数料によって収益を上げるプラットフォーマーとしての側面を持っています。多くの日本のカード会社は、国際ブランドの決済網に依存しており、訪日客による利用手数料を支払うことが一般的です。
日本政府は、カード利用に伴う店舗側の手数料負担がキャッシュレス普及の阻害要因の一つであるとみなしており、公正取引委員会と経済産業省が手数料率の開示を国際ブランドに要請しています。ただし、日本のカード会社が国際ブランドに支払う詳細な手数料はまだ公開されておらず、その内容は不透明なままです。