オリンピックからもらった勇気(ロス五輪の思い出)
オリンピックというものは、時にとんでもない勇気を与えてくれるものだ。
1984年のロサンゼルス五輪(以下ロス五輪)、私は高校2年生だった(年がバレる)。
夏休みの補習に毎日通っていたけど、オリンピックもしっかり観ていた。
ロス五輪は、なんといっても開会式の演出が見事で、「アトムのように人間が空を飛ぶ!?」みたいな演出もあったし、ジョン・ウィリアムス作曲のファンファーレはかっこいいいし。
カリフォルニアの青い空に白い雲、日に焼けて笑顔が似合う選手や観客、、、明るくてさわやかで、まぶしかった。
どの競技も感動したけど、私がめっちゃファンになった、目がハートになった選手がいた。
競泳男子自由形のローディー・ゲインズ選手(USA)。
テレビの解説によれば、前回大会のモスクワ五輪をアメリカがボイコットしたので、“幻の金メダリスト”と呼ばれる選手が何人かいたけど、
ローディー・ゲインズ選手もその一人、ということだった。
ロス五輪の時点で25歳。
水泳選手としてはモスクワ五輪の時(21歳)に絶好調と言われていたらしく、その時、アメリカが五輪をボイコットしたのは、ご本人もさぞ無念だっただろうと、解説を聞きながら想像した。
4年間またトレーニングを重ねてベストに持っていくという時間の長さと、覚悟というか決意の強さをその時想像して、胸が熱くなりながらテレビを観ていた。
ローディー・ゲインズ選手のファンになったのは、まず見た目と強いことと、目がキレイというか笑顔がいいなと思ったんだろうと思うけど(いや、理由なんてなく好きになったな)、なんとなく水泳選手の中ではすっきりした小柄な感じにも見えた。
なんだろう、やっぱり、体全体から醸し出しているアスリートとしてのローディーゲインズの雰囲気、準備運動も含めてのスイム全部かな。
そこにとても惹かれたんだと思う。
前述の、モスクワ五輪ボイコットを経てのまた再起というのも感動したし。
その大会で彼は、国民の期待どおりに金メダルと取るという快挙を成し遂げた。
ゴールして結果表を見た時の、腕を突き上げて喜びを爆発させたシーン、よーく覚えてる。
テレビのこっちで、私もきゃー!とか言っていたに違いない。
✳️その映像がYouTubeにありました!⤵️
まぁ、本当に感動した!
ローディー・ゲインズに会いたいと思った!
そして私は、ファンレターを書きたい!と思い立った。
もちろん、レターの宛先なんて知る限りどこにもない。
1984年当時、パソコンのパの字もまだ知らない。
でもなんとしても送りたいし、宛先を誰か知らないか?と思いあぐねて、家にあったスポーツ誌(おそらく父が買っていたもの)に目がとまった。
ベースボールマガジン社だったと思う。
オリンピックの特集号だったのかもしれないけど、雑誌の中身は全く覚えてない。
ただ、雑誌の裏表紙の発行日とか小さく縦書きで書かれてあるところに、小さく電話番号も書いてあったのだ。
私は、思い切ってそこに電話をかけた。
高2で、友達の家以外に、電話の掛け方もよくわからかったけど。
東京だよー、どうしよー、とか、電話代で後で母親にバレて叱られる?ともちょっと思ったけど。高2女子の勢いは止まらなかった。
男性が出て、雑誌社名を告げてくれて、おそらく編集部です、と名乗ってくださった記憶がある。
私は、「今オリンピックに出ているアメリカの水泳選手で、ローディーゲインズ選手に手紙を書きたいのですが、宛先はそちらでわかりますか?」
みたいな尋ね方を、したと思う。
もう、心臓バクバクしながら。
男性は、とても忙しそうだったし、めんどくさそうな印象(疲れていたのかもしれない)だったけど、
「こちらではそういうことはわからない。もし分かったとしても、今オリンピックの最中で対応できる状態じゃない。オリンピックの後だったら対応できるかもしれないから、その時またかけてください。」
みたいな返事を返してくださった。
私はそこで、あぁ、今わからないんだ、、、ここではわからないんだ、、、とがっかりきて電話を切った。
お礼ぐらいは言えたと思う。
その電話は、どうしてもファンレター出したいという熱い思いと勢い、があったからできた。
でも、オリンピックの後、再び電話はできなかった。
相手の男性の、あの忙しそうで、「とんでもない電話してきたな」と思われてるだろうな、、と思ってしまって、もうできなかった。
しばらくは、ローディー・ゲインズさんの雑誌の切り抜きを下敷きに入れていたけど、ファンレターは書けなかった。
クラスで友達にこのことを話したら、結構呆れられたから、ここまでする人はいないよね、、、と思ったけど。
今、思い出すと、いい勇気出せた、いい思い出だったな〜、と思う。
スポーツって素晴らしいから! こんな勇気が出せた。
今はいいな〜。
選手本人がSNSしてる時代なので、ダイレクトに応援メッセージも送れるもの。
ネットにすぐ情報見つかるもの。
それでも、手書きで手紙を書いて送るということは、私にはまだSNSのダイレクトメッセージよりも数倍ありがたみがある気がしてならないのです。
ローディー・ゲインズには送れなかったけど、
読んだ本の作家さんには、何度か感動のお手紙を送ることができたし(出版社気付にして)。
あの時の勇気がきっと、原点だ。
これからも、感動の気持ちは忘れないうちに早いうちに、相手に届けたい。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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