見出し画像

アルゼンチンライフ折り返し  ー中間レポートその2

 前回に続きアルゼンチンライフの中間レポートです。その2の今回は以下の2点について書いてみます。
4. 日系コミュニティ
5. 日本語

4 日系コミュニティ
 私のここでの大きなミッションは「日系社会支援」です。来る前はほとんど知識のなかった日本からの移民の歴史と現状ですが、いろいろな人に出会い、話を聞くうちにうっすらとその輪郭が見えるようになってきました。
 現在アルゼンチンに住む日系人は約5万人と言われます。他の民族との婚姻も進んでいるので、正式な数はすでにわからなくなっています。ブエノスアイレスの周辺では、ごく狭い地域に日系人が集まって住んでいる場所もありますが、たいていは全国に散っていて、大きなコミュニティはすでに存在していません。そんな中でも一世、二世の方々は、なんとか日本文化を継承しようと踏ん張っていますが、世代交代が進むにつれて、それも難しくなっていくのが現実です。日本からの移民にはおとなしい人が多いのか、ひっそりと静かに暮らしていて、注意してみないと目にもとまらないような暮らしぶりのように感じます。

ハルディン・ハポネス 手入れが行き届いていて四季の花が楽しめる

 それに引き換え、中国からの移民はしっかり中華街「バリオ・チノ」を形成し、商売にいそしんでいます。バリオ・チノはおしゃれなデートスポットとして挙げられるほどの人気で、週末は活気あるにぎわいを見せます。もちろんそこでは中国語が話され、町中の表記も中国語です。 それを見たり聞いたりするにつけ、中国からの移民のたくましさを実感します。

5 日本語
 最後に私にとっての目玉である「日本語」の立ち位置について、少し書いておきたいです。上記に書いたように、日系社会の世代交代が進むなか、日本語の継承というのも現実的に難しい状況になってきています。親世代も日本を知らないのが当たり前になってきていますが、それでも子どもたちに「せめて少しは日本語が話せるようになってほしい」との思いで日本語学校に通わせている家庭が大半です。動機づけが難しい学習環境のもと、先生たちの奮闘が続いています。
 半面アルゼンチンでは、若者たちの間で日本文化ブームが続いていて、気軽に日本語を習ってみようかと始める人はあとを絶ちません。(続くかどうかは別問題ですが)
 特に漫画家の鳥山明さんが亡くなったときは、街の真ん中で追悼イベントが催されたり、人気のあるサッカー選手が追悼コメントを出したりと、この地でも大きな悲しみをもって祈りをささげていたのが印象的でした。

鳥山氏追悼イベント 子どもにシャツを着せて参加する親が目立った

 また、日本語能力試験の最高レベルであるN1に合格している若者たちに出会い、ほぼ独学でそこにたどり着いたという話を聞く機会もありました。もはや日系にとらわれることなく、これから日本と仲良くしてくれるのは、こうした若者たちではないかと感じる日々です。

いいなと思ったら応援しよう!